コラム

小型犬は注意!膝蓋骨脱臼

この記事は2017年6月30日の記事を再編集しました。

子犬を家族に迎える時、健康であることを誰もが願いますが、実は元気で食欲も旺盛、人懐こい性格でも先天的に骨格形成異常を抱えていることもあります。中でも膝蓋骨脱臼という症状は、今や小型犬の大半が抱えているとされる深刻な問題です。

「パテラ」とも呼ばれる膝蓋骨脱臼については、正しい知識を持ち、家族として症状のケアに取り組む必要があります。今回は小型犬は特に注意したい「膝蓋骨脱臼」についてのお話です。

小型犬は注意!膝蓋骨脱臼

膝蓋骨脱臼とは

膝蓋骨脱臼とは膝の部分にある皿状の骨が、本来あるべき場所から外れてしまうことで膝のスムーズな動きを阻害してしまう症状です。犬も人間と同じように膝に皿状の骨があり、人間で言われる膝小僧と呼ばれる部分を膝蓋骨と言います。

膝蓋骨は卵のような形をしてじん帯によって包まれ、大腿骨の溝にはまっているのが正しい位置に収まっている状態となります。膝の曲げ伸ばしに応じて前後することで、膝がちょうつがいの状態を果たし、足の骨がスムーズに動いたり、足への衝撃をやわらげるクッションのような役割も担う、とても重要な身体の一部です。

しかし、このちょうつがいであるはずの骨が本来の位置を外れてしまうと、膝の曲げ伸ばしがスムーズにできなくなり、足がまっすぐに伸びたままの状態になったり、歩行時に激しい痛みを伴うようになります。
膝蓋骨脱臼は、脱臼の仕方によって2種類に分かれます。膝蓋骨が身体の内側に外れる「内方脱臼」と、外側に外れる「外方脱臼」です。小型犬には内方脱臼の症状が多く見られます

この膝の骨が外れた状態、もしくは外れやすい状態にあることを膝蓋骨脱臼と呼びます。この病気は遺伝する病気なので、先天的に発症が見られたり、ペットショップの店頭に並ぶ時点で既に症状が確認できることも多々あります。この点は子犬を家族に迎える前に知っておくべき大切なことです。

購買者は購入者に事前告知をすることが法的に義務付けられていますが、法的にはあくまでも告知義務であり、どの程度の症状、重症度によっては販売を禁止するという意味ではありません。
重度の膝蓋骨脱臼を抱える子犬は生後間もない時期に歩行困難な手術の必要性が生じることもあるので、症状の程度、今後考えられる危険性、適正な飼育環境については事前に考える必要があります。

膝蓋骨脱臼が起こりやすい理由

膝蓋骨には本来皿状の骨を収めるための窪みがあります。この窪みは成長と共にしっかりと形成されるものです。
しかし、「室内犬」とも言われる室内飼育が当たり前となる中でフローリング等の滑りやすい床材の家が増えていること・慢性的な運動不足・栄養バランスの乱れた食生活等、様々な理由から本来の骨格の発育が阻害されてしまうことが多々あります。中でもフローリングの床は最も危険な要因と言えます。犬を飼われている方でもあまり意識されていない方が多いようですが、元々犬は関節が弱い動物です。

フローリングは犬の抜け毛やトイレの失敗後の掃除がスムーズにできるからと、あえて施行している家庭もありますが、成長期の子犬を滑りやすい床材の環境で生活させることは、人間が一日中スケートリンクの上で生活をする状態と同じです。

落ち着いている時、座っている時は問題がなくても、立ち上がる時や咄嗟に行動を起こす時、遊びの最中に踏ん張りたい時等、自分の意思とは無関係に足が滑り、膝への負担が大きく加わったり、あらぬ方向に力がかかって身体のバランスを崩します。
このような状態が一日に何十回と繰り返されることによって、次第に膝の窪みの形成が不安定になり、未完成のまま発育期を終えることに繋がります。

膝蓋骨脱臼を起こしやすい犬種

膝蓋骨脱臼の症状が起こりやすいとされる犬種は、トイ・プードル、ポメラニアン、柴犬、チワワ、パピヨン、パグ等、ペットとして飼われることの多い主要な犬種のほぼ全てです。どの犬種も骨が大変細く、その厚みは数㎜ほどしかありません。細くて薄い骨にある窪みは、元々大変浅く、成長期に誤った環境で生活することによって症状がさらに悪化するのです。
また、これらの犬種ほとんどが内方脱臼であることが多いとされています。膝蓋骨脱臼を起こしやすい4犬種

これまで膝蓋骨脱臼は小型犬に限った問題と考えられていましたが、最近では中型犬や大型犬にも発症が増えています。中大型犬も室内で飼育することが当たり前となったため、小型犬同様に滑りやすいフローリングの床や運動不足の問題が蔓延しているのです。

この膝蓋骨脱臼という症状は遺伝性疾患でもあるため、膝蓋骨の未形成を抱える犬が将来繁殖した場合、その子犬も生まれつき脱臼症状を抱えている、もしくは骨の窪みが浅いままで生まれ、発育することで症状が繰り返されていくのです。

膝蓋骨脱臼の原因と症状

膝蓋骨脱臼には先天性と後天性のものがあります。一般的に先天性であることが多く、加齢と共に症状が進行していくのが大きな特徴です。また、先天性の膝蓋骨脱臼は小型犬のみならず、他の犬種でも起こる可能性があります。

原因

膝にある皿状の骨は、本来その後ろ側にある大きな骨の部分に窪みがあり、窪みの中にきちんと納まる構造になっています。窪みの周りにある筋肉や筋が、その動きをスムーズにさせてくれるので窪みを外れることなく稼働させることができます。

小型犬の場合、繁殖による過度な小型化・運動不足による筋肉の低下・発育不良による骨の形成不全・遺伝的疾患で、骨の窪みが浅く、皿状の骨を収容できない・フローリングや階段等の生活環境が原因で幼少期に骨が正しく形成されない等の理由から、膝蓋骨の形成異常が起き、生後数ヵ月で脱臼の症状が起こることがあります。中には生後間もない時期に既に明確な症状が現れ、離乳期には歩行に支障がある程に重篤な症状が出ることも少なくありません。

症状

本来膝の中央部分にあり、ちょうつがいの役目をしているはずの骨が横にずれ落ちしてしまう、ちょうつがいが外れてしまった場合、犬には様々な不調が起こります。不調の一例を見てみましょう。

  • 足を引きずるように歩く
  • 片足だけ曲げたままで歩く
  • 横たわった状態から起き上がることができない
  • 膝に触れるとキャンキャンと甲高い声で鳴き、痛みを訴える
  • 足を曲げることができず、うさぎのように飛び跳ねながら歩行する
  • 両足共に重度な脱臼症状を起こしている場合、両後肢を引きずりながら歩くといったケースもあります。

    膝蓋骨脱臼の症状は両足同時に発症することが多く、日常生活が困難になります。特に若く健康なうちは、自身の筋力で不自由な膝の動きをカバーし、走り、飛び跳ねることもできますが、年齢を重ねることで筋力が低下し始めると次第にその症状が顕著に現れるようになります。

    症状の進行には個体差があり、生後間もない時期に発症を確認できることもあれば、数年経過してから確認ができたり、現状維持のまま数年生活できることもあります。症状の進行には個々の生活環境、体質、体重等が密接に関係しています。

    膝蓋骨脱臼の治療法と予防対策

    治療法

    症状が悪化し歩行ができない、痛みがある等、日常生活に支障をきたす程であれば手術による治療をします。一般的には膝の窪みを人工的に深く掘り下げる処置を行います。彫刻刀で溝を掘る作業に似ている方法です。手術によって膝にある皿状の骨が本来の場所に収まるようにスペースを作ります。

    しかしこの手術は骨が細い小型犬には大変危険を伴い、術後は数ヵ月に及びリハビリも必要になります。完治の保障がない以上、できる限り回避してあげたい対処法です。

    予防対策

    膝蓋骨脱臼は先天性異常のケースが多く、特に小型犬の場合は兆候が見られない個体を探すことさえ困難な状態です。また、生後間もない時期には兆候が見られなくても、生活環境を理由に急速に症状が進行する場合もあります。

    膝蓋骨脱臼の予防でまず大切なことは、犬は関節が弱い動物であることを意識して生活することで、日常生活の上で愛犬の足に負担がかからないようにすることを注意しましょう。

    犬を室内で飼育する場合は、次のことを心掛けておきましょう。

    室内の床材は犬の足が滑らない素材に変える

    フローリングは滑りやすく、関節へ負担をかけてしまいます。過ごす時間が多い空間は、一部にカーペットやコルクマット等を敷き、関節への負担をやわらげる工夫をするのが予防対策の一つです。

    階段やソファーからの飛び降り等をさせない

    階段やソファーのような高さがあるところは、犬が飛び降りることで膝に過度な負担がかかり、脱臼に繋がる恐れがあります。
    たとえば、ソファは床との間に段差を作ってあげられるよう、台になるようなものを置いてあげるのが良いでしょう。

    肥満予防、体重管理

    白チワワ犬の体重管理は十分注意が必要です。過度が肥満状態になると、それだけでも関節への負担が大きくなり脱臼しやすくなってしまいます。

    食事管理を今一度振り返り、余分な食事やおやつは控えるように心掛けましょう。

    日頃から十分な運動をさせる

    飼い主との引っ張り合いの遊びや他犬とのじゃれ合い等、筋肉を活かした運動をさせましょう。肥満気味の場合はダイエットにも繋がります。

    しかし、散歩やおもちゃで遊ぶ運動だけでは不十分なので、ドッグラン等を利用して思い切り走り回ることができる環境を作ってあげることがおすすめです。

    その他

    関節に対しては栄養補助や痛み緩和の役割を持つサプリメントもいくつか販売されています。使用する場合には、事前に専門店や動物病院で相談することをおすすめします。

    また、膝蓋骨脱臼の症状は時間をかけてゆっくりと進行するので、毎年定期的に動物病院を受診し、膝の状態の確認や適性体重の管理をしておくと安心です。

    おわりに

    病気や怪我というものは、いち早く発見してあげることによってその後の愛犬の生活が大きく変わるものです。

    膝蓋骨脱臼は今や小型犬にほぼ発症する病気です。日頃から適度な運動をさせて肥満を防止し、健康的な食生活を意識した環境を整え、安心に生活ができるように気を配り、つらい膝蓋骨脱臼の発症を予防してあげましょう。

    そして愛犬とはコミュニケーションをしっかり取り、小さな変化も見逃さないようにしましょう。

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