セキセイインコ・オカメインコに多い病気を知ろう
この記事は2017年4月4日の記事を再編集しました。
豊かでコミュニケーション能力のある鳥のことをコンパニオンバードと呼びます。このコンパニオンバードとして知られるセキセイイインコや特徴的な頬の柄で性格もかわいいオカメインコはインコの中でも飼いやすい品種として人気があります。
しかし、少しの環境変化があっただけでも鳥たちは病気になりやすく、飼い主さんが病気のサインを見逃さないことが重要です。
インコに多くみられる病気とその症状から、病気のサインを読み取れるようにしましょう。
インコがなりやすい2大疾患
PBFD
PBFDとは、正式名称を「Psittacine Beak and Feather Disease」と言い、オウム類嘴(くちばし)羽毛病と呼ばれることもあるウイルス疾患のことを言います。感染経路は複数あります。
- 親から遺伝で受け継いでしまう場合
- 感染している仲間の排泄物(踏ん)や吐瀉物が乾燥し、飛来するなどによって起こる空気感染
- 飲食を共にする際にお互いに触れるなどでの接触感染
があります。
ウイルスに接触したことのある成鳥は、免疫ができることがあります。その場合、発症はしませんが、ウイルスだけをばら撒くことがあるため注意が必要です。
また、免疫システムが完全に機能してないヒナの頃から2歳頃までのオウムは感染しやすく、感染後の治療法が現状確立されていないため、危険視されています。
症状
PBFDは急性と慢性があります。急性の場合だと食が細くなり、嘔吐や下痢を繰り返している間に、二次感染症にかかってしまい、一ヵ月としない間に命を落してしまいます。
慢性の場合だと、羽が褐色化してくるので異変に気付くことでしょう。その後、羽が抜け、羽の奇形や壊死が起こり、エサを食べる事ができなくなるなど、重症化していきます。二次感染に見舞われることも多く、このことによって命を落とすことが多いのも特徴の一つです。
治療方法
病気の特定はPCR検査(微生物検査)によって行います。感染が確認された場合、インターフェロンを飲み薬や注射で定期的に投与することになります。
病気を特定するまでには数種類の病気を同時に疑うことになり、便や血液検査、数種のPCR検査費用など含め、費用は1.6万円~3万円ほどになります。その後、定期的な診察及び薬代などを合計すると1ヶ月で1~2万円ほどになることが多くなるでしょう。
PBFDは完治させることが難しく、嘴などの変形が顕著になり、飲食すること自体難しい状態に至った場合、安楽死を薦められることもあります。
気道炎
気道炎は鼻炎、気管支炎、肺炎、副鼻腔炎、結核、アスペルギルス症などと呼ばれる病気の総称をいいます。炎症が起こる原因は、
- 埃や塵によるもの
- 細菌によるもの
また、急激な温度変化やたばこの煙、排気ガス、ウイルス、細菌、不衛生な環境が原因となることも多い病気で、稀に抗生物質の過剰投与が原因となることもあります。
症状
気道炎には急性と慢性があります。くしゃみなどの鼻炎症状が目につきやすいです。その他、吐血、嘔吐、下痢、鼻血、膨羽嗜眠(ぼううしみん/体力が消耗した状態で羽毛を逆立てて寝る)、体重減少など、様々な症状がみられます。
時に、呼吸困難による落鳥(死亡)もあるので、気になる症状がみられた場合には、早急に獣医師に診てもらいましょう。
治療方法
治療としては、鼻炎症状を抑えるために、インターフェロン製剤を投与する方法が一般的です。
また、糞の処理や水替えなどを含めた鳥かごの掃除など、衛生環境を改善することで、埃やカビなどを吸い込むことによる炎症を抑えることができます。
アスペルギルス症が原因の場合、抗生剤や抗真菌薬を投与し経過をみます。注意したいのは、鳥類はステロイド剤を使用することによって免疫力が低下し、逆にアスペルギルス症を発症しやすくなることです。
ステロイド剤を投与する治療を行うと言われた場合、不安を感じた時は、獣医師にしっかり説明を受けるようにしましょう。
気道炎の治療は一度で済む場合もあれば、手術が必要となることもあります。その場合、治療費は数千円で済む場合もありますし、数万円になるケースもあります。
いずれにせよ、症状が悪化する前に病院を受診するようにすることが大切です。
足が腫れる病気には注意
PBFDや気道炎の他にもインコが注意したい病気があります。
その中飼い主が気づきやすい、見た目でも分かる足が腫れる病気にはどのようなものがあるのか見てみましょう。
気道炎
尿酸が体の中に溜まり結晶化することで、足の関節部分が腫れ、白や黄色っぽい色になります。痛風は関節に激痛が走る病気ですので、上記のサインを見逃さないようにしましょう。
痛風は主にセキセイインコに多くみられる病気で、慢性化しやすいため、異変が見られたら早めに病院を受診することをおすすめします。
治療は、尿酸生成抑制剤の投与、ビタミンAおよびミネラル、水分の投与、タンパク質の多いエサを避けるようにするなどの方法で改善を図る治療を行います。
ビタミンD欠乏症
ているなどの症状が出ていたら、ビタミンD欠乏症のサインだと疑いましょう。
ビタミンDが欠乏すると、カルシウムの吸収ができなくなり、骨軟化症や骨粗鬆症による骨の虚弱化によって骨折しやすくなります。
不足したビタミンDは、エサやビタミン剤、日光浴によって補うことができるので獣医師に改善方法などを相談してみましょう。
また、この時足が赤く腫れている場合は、すでに骨折している可能性があります。そのまま放置してしまうと足が壊死してしまい、最悪の場合は切断することになってしまうので注意が必要です。
その他のなりやすい病気
嘔吐する
そのう炎
エサが腐ったり、ケージ内の衛生環境が悪いことで、カンジダやトリコモナスなどのカビ菌が増殖し感染します。ヒナの場合は、食べ過ぎから発症することもあります。
PDD(腺胃拡張症/せんいかくちょうしょう)
ボルナウイルスによる感染症によって、腺胃(消化器官)が麻痺し、筋肉の弛緩が起こり、その部分が拡張する病気です。
糞の異常
ジアルジア症
糞が粘膜を含んだ淡い黄緑色をしていることが特徴的な病気です。ランブル鞭毛虫症とも呼ばれています。体に栄養が行き渡らなくなるため、最悪落鳥する可能性もあります。
感染しているかどうかは便検査を行うことですぐ判別することができます。感染が確認されたときは、抗原虫薬で駆虫しましょう。またこのジアルジア症は人にも感染する場合があります。糞尿の後始末には十分注意が必要です。
メガバクテリア症
メガバクテリアという真菌が原因で胃炎を引き起こし、出血するため、黒い便が出ることがあります。重篤な状態になると、消化が出来なくなるため体重減少が起こり、最悪の場合落鳥することもあるので、検査は必須の病気です。
目の病気
結膜炎
結膜炎は結膜が剥がれ、目の周囲が赤くなり、爛れたような症状がみられます。ケガを含む何らかの原因で、菌や異物が目に入ったり、他の部位から感染症が発症するケースがあります。
肝臓の病気
慢性肝臓病
ウイルスや細菌が原因となることもありますが、肥満による脂肪肝が原因となることもあります。肝臓は沈黙の臓器とも呼ばれ、症状が表面に出にくく、気が付かない間に症状が進行していることが多いです。
進行していく過程で肝不全となり、その症状として嘴は爪が異常に延びたり、同箇所に出血斑が出たり、羽毛の変色や腹部が膨大したり、痙攣等が起こることがあります。
お腹に異常がみられる病気
卵秘(らんぴ)
卵詰まりとも呼ばれる病気で、文字の通り、卵管内で卵が詰まってしまい出てこなくなってしまう病気です。
この病気は、最悪の場合落鳥することもあるので、お腹が膨らんで固くなっているのに産卵をする様子がみられず、呼吸が荒くなったり、羽を膨張させたり、うずくまるような症状がみられたら、すぐに病院を受診するようにしましょう。
おわりに
インコの中でもセキセイインコやオカメインコは小型に含まれます。身体が小さいですので、一度病気になってしまうと進行が早いことも多く、数日様子を見ようと思っていたら落鳥してしまった、命の危険な状態まで悪化してしまったというケースが多数あります。
また、これは動物全般に言えますが、インコ達も外敵から身を守るために、ケガや病気の時はそれを隠そうとする傾向があります。
このことから、日常的に毛艶や行動、体の変化、フードの減り方や排泄物などを観察するようにしましょう。出来ればメモを取ることを日課とし、日々の中で変化があった場合、それが病気のサインであることもあるので、見逃さないようにしましょう。また、少しでもおかしいと思った時には、すぐに病院を受診することも大切なことです。
セキセイインコやオカメインコは小さい動物ですが、いざ治療が必要となった際には、想像していたよりも高額な治療費になってしまったという例もあります。もしもの時のために、慌てず満足な治療ができるようにペット保険の加入なども視野に入れ備えておきましょう。