うさぎの病気!症状からみる病名、治療方法と保険について
この記事は2017年1月25日の記事を再編集しました。
動物たちは病気等で具合が悪くなっても「健康なフリ」をすることは有名な話ですが、その中でもうさぎはその傾向が顕著に見られます。
具合が悪そうと気付いた時には、既に重篤な症状になっていたということを避けるためにも普段から少しの変化も見逃さないことが大切です。
うさぎのちょっとした変化からみる、疑わしい病気とその治療方法等についてまとめました。
1 こんな症状は要注意!その病名とは?
◆涙目、よだれ、歯ぎしり
不正咬合(ふせいこうごう)
◆便秘、便が少ない、食欲不振、歯ぎしり、動かなくなる
毛球症(もうきゅうしょう)
◆耳が赤い、ぐったりしている、よだれが出る、呼吸が荒い、痙攣
熱中症
◆下痢、体重が減る、脱水
コクシジウム症
クロストリジウム症
大腸菌症
◆斜頸(しゃけい/頭が傾いて斜めになること)
パスツレラ感染による中耳・内耳炎
エンセファリトゾーン病
◆いぼができる、しこりがある、毛が抜ける
皮膚病
腫瘍
◆膣から血液のような分泌物が出る・血尿・乳頭が腫れる
子宮癌
2 うさぎの治療費はどのくらいかかる?
3 うさぎのペット保険と加入条件
こんな症状は要注意!その病名とは?
一つの症状だけでは、病気を特定することが難しいかもしれません。しかし、ほとんどの場合、重複して何らかの症状が出ています。
うさぎがかかりやすい病気を、その症状別に紹介します。
涙目、よだれ、歯ぎしり
不正咬合(ふせいこうごう)
歯が変な方向に伸びたり、異常に長くなりすぎてしまい、噛み合わせが上手くいかない状態を不正咬合と言います。不正咬合は、口の中を傷つけてしまうことによって他の病気を引き起こす原因となることもあります。
併発しやすい病気に、皮膚炎・結膜炎・毛球症(消化管うっ滞)があります。
- 原因
不正咬合は切歯と臼歯(きゅうし)のものに分けられます。
切歯の場合、切歯が伸び続けてしまい、上の歯が内側に丸まってしまい、下の歯が前に飛び出してしまいます。ケージをかじる癖や、落下事故、遺伝等が原因で起こります。また、臼歯(奥歯)の場合は、上の歯が頬に向かって伸び、下の歯が下に向かって伸びてしまいます。奥歯で食べ物をすり潰すことが少なかったり、カルシウムの代謝が上手くいかない、栄養の偏り、遺伝等が原因で起こります。
- 治療方法
歯の研磨、高さを調整するためのカット、状況に応じて抜歯をします。その後、歯を摩擦させるようなフードや硬めの牧草を与えて改善を図ります。
治療後に抗生物質を処方されることもあります。 - 予防方法
日常生活において歯をすり減らすことができるように、十分な繊維質を含む牧草を主食にするのがおすすめです。
便秘、便が少ない、食欲不振、歯ぎしり、動かなくなる
毛球症(もうきゅうしょう)
被毛が胃腸に溜まってしまい、胃腸の働きが低下することを毛球症と言います。うさぎが毛繕いをした際に被毛を飲み込んでしまうことが原因です。通常はフンとして排出されますが、排出されなかった被毛は胃腸に残ります。高齢のうさぎがかかりやすい病気の一つです。
うさぎがかかる病気の中でも致死率が高く、重篤になると外科手術しか手立てがなくなるので、早めの対処が大切です。
- 原因
繊維質の不足、異物飲み込み、でんぷん質の摂取過多、運動不足やストレスが原因となり胃腸の働きが低下することで起こります。毛を飲み込んだことが原因で胃腸の働きが低下した場合には、毛球症と呼ばれ、他の原因で胃腸の働きが低下した場合には、消化管うっ滞と呼ばれます。
- 治療方法
毛球症はその程度によって治療方法が異なります。
まず最初の治療は、お腹をマッサージし、胃腸のガスを消し、胃腸の中のものを柔らかくして、消化器官の運動を活発にする薬の投与を行います。
薬の投与でも改善が見られない場合や重篤な場合には、外科手術によって取り除くこととなります。 - 他に見られる症状
水をよく飲む、お腹が張っている、体重が減る - 予防方法
チモシー等の栄養豊富で消化に良いとされている牧草を食事として与えるようにしましょう。また、適度な運動や毛繕いの際に被毛を飲み込んでしまわないように、日常的にブラッシングをしてあげるように心掛けましょう。
耳が赤い、ぐったりしている、よだれが出る、呼吸が荒い、痙攣
熱中症
うさぎは暑さに弱く熱中症になりやすい動物です。熱中症と思わしき症状がみられた場合には、冷たいタオルで耳や顎を冷やし、すぐに動物病院を受診しましょう。
この時、急激に冷やしてしまうのは良くないため、氷水は使わず、水道水で対処するようにしましょう。
主な症状の他に、下痢、くしゃみ、鼻水、首が傾く、ふらつき等の症状がみられる場合、危険な状態であることが多々あるので、要注意です。
- 治療方法
主に輸液療法が行われます。 - 予防方法
うさぎが過ごす上で適切な温度(20~28℃)と湿度(40~60%)を保ち、風通しが良く、直射日光が当たらない場所にケージが置くようにしましょう。飼育スペースは清潔に保ち、手足を伸ばすことができる広さを確保してあげましょう。また、主食は牧草を与え、ストレスがないように適度な運動を取り入れ、日頃からスキンシップを大切にしましょう。
下痢、体重が減る、脱水
コクシジウム症
コクシジウム原虫が腸管に寄生することで起こる病気です。大きくは2種類に分けられます。
腸コクシジウム症の場合、主な症状は下痢です。肝コクシジウム症の場合、より強い症状が出ることが多く、激しい下痢の他に、黄疸や腹水が溜まる等の症状が併発して重篤となることがあります。
- 治療方法
サルファ系抗原虫薬(スルファジメトキシン、スルファメトキサゾール-トリメトプリム等)によって駆虫し、輸液療法等によって脱水や体重減少の症状を軽減させる治療(支持療法)を行います。
クロストリジウム症
クロストリジウム菌は、正常なうさぎの腸内に常駐していますが、何らかの原因によってそのバランスが崩れ、異常に菌が増えてしまうことによって毒素が作り出され、それが血液等を通じて全員に回ってしまう病気です。
- 治療方法
脱水予防のために点滴にて胃腸の働きを良くし、細菌を減らす等の効果がある薬を投与します。痛みがある場合、鎮静剤等を使用しながら腸内細菌バランスを整えます。
大腸菌症
不衛生な器で餌を食べたり、食物繊維が少ない食事が続いたり、不適切な抗生物質の投与等によって発症することがあります。
腸内細菌バランスが不安定な離乳期以前の子うさぎは特にかかりやすく、重篤になることも多いので注意が必要です。
- 治療方法
大腸菌に対して効果が期待できる、ニューキノロン系の抗生物質の投与で改善を図ります。その後は、うさぎの食・住環境を衛生的に保ち、繊維質の多いフード与える、ストレスを与えない等、生活環境を整えることで再発を防止します。
斜頸(しゃけい/頭が傾いて斜めになること)
パスツレラ感染による中耳・内耳炎
パスツレラ菌の感染によって中耳、内耳に炎症が起こると斜頸することがあります。この場合、多くは斜頸と同時期か前に、くしゃみ(スナッフル)の症状がみられます。
また、この菌が全身に広がると肺炎や腹膜炎等を発症し、重篤になる場合があります。
- 治療方法
耳内の鼓膜を切開し、生理食塩水等で洗浄して清潔に保つと同時に、抗生物質や抗菌薬の投与、そして炎症を抑える抗炎症剤等を用いた治療が行われます。
エンセファリトゾーン病
エンセファリトゾーンと呼ばれる寄生虫に感染することで脳炎が起こります。
感染すると斜頸だけでなく、痙攣や麻痺、白内障、腎炎、成長不良等、あらゆる症状が出ます。腎不全を発症することも多いので、早期発見が重要になります。
- 治療方法
駆虫薬の投与をはじめ、副腎皮質ステロイド製剤、抗菌剤、抗生物質等を症状に合わせて使用します。
重症化すると起き上がることができなくなることもあるため、強制給餌や輸液等も併用して行います。
いぼができる、しこりがある、毛が抜ける
皮膚病
細菌や寄生虫(ダニ等)、栄養バランスやホルモンバランスの影響等、様々な要因によって皮膚に炎症が起こると、毛が抜けたり、いぼやしこりができたりすることがあります。
放置してしまうと爛(ただ)れたり、かゆみ等を伴い掻くことでさらにひどくなることがあります。
- 治療方法
細菌や寄生虫が原因の場合、駆虫薬を使用します。床ずれ(褥瘡/じょくそう)の場合には、程度によって包帯等で患部を保護します。ストレスの場合は、環境改善と並行してかゆみ止めや痛み止めを使用することもあります。
また、全ての場合は抗生物質を使用することもあります。
腫瘍
腫瘍には良性と悪性(癌)の場合があります。表面的な脱毛やいぼの他に、触ってみるとしこりを感じることもあります。どちらの場合も、一度獣医師に見せるようにしましょう。
「最近になってできた」「大きくなってきた」等の変化が見られる場合には、特に注意が必要です。
- 治療方法
良性の場合、経過観察をすることもあります。悪性腫瘍やいぼやしこりが急速に大きくなっている場合等は、外科手術にて取り除きます。
膣から血液のような分泌物が出る・血尿・乳頭が腫れる
子宮癌
癌の中でもうさぎがなりやすいのが子宮癌です。3歳以上のうさぎは特に注意が必要です。
人間同様に早期発見が大切なので、症状を見逃さないように注意しましょう。
なお、避妊手術をしておくと予防となります。
- 治療方法
主に外科手術にて治療を行います。
うさぎの治療費はどのくらいかかる?
ペットが病気になった時の治療費は、初めてであればなおさら予想ができなく心配になると思います。調べてみても具体的な数字を見つけることができないとモヤモヤしてしまいますよね。インターネットで調べてみて、明確な数字が出てこなく不満に感じることもあると思います。
動物病院は自由診療となっているため、治療費の金額は病院側で決めて良いという制度となっているのですが、その反面公正取引委員会により基準を定めることが禁止されているので、動物病院によって治療費に差異や幅があるため、調べても明確な数字が出てこないのです。
たとえば、初診料にしても、500円~2000円位と幅があります。痛み止めや抗生物質の注射1本も、病院により1000~2500円位と倍以上の差があります。
開腹手術と入院を合わせた費用となると、平均10万円前後であることが多いようです。同じ病気の手術でも、使用する機器が従来のものか最新のものか、麻酔の方法や種類、使用薬品、スタッフの人数によっても費用額が変わってきます。
毛球症の手術で10万円程の予算で考えていたら、告げられたのは20万円近くだった…ということも事例としてありました。
もしペットが病気や怪我をしたらということを想定すると、健康で若く元気なうちから相性の良い病院を見つけ、ペット保険で備えておくことがペットと飼い主さんにとっても良いことと言えると思います。
うさぎのペット保険と加入条件
動物病院は自由診療のため、治療費がどのくらいかかるのかという予想が難しいものです。もしもペットのうさぎが病気になってしまった時、ペット保険へ加入しておくと治療費の補償が受けられるので安心です。
そこで、加入条件等について少しまとめてみました。
A社の場合
- 加入可能な年齢・・・生後4ヵ月~4歳11ヵ月
- その他条件・・・家庭用ペットであること、健康体であること
加入審査の段階で、既に発症している傷病がある場合、再発や後遺症、関連する疾病も含めて、補償開始日以降も補償対象外とする等の対応があります。
B社の場合
- 加入可能な年齢・・・生後30日~満11歳未満
加入の詳細は資料請求によって判明するようですが、いくつかプランがあり、人間の医療保険と同じようにプランを選ぶことが可能です。
また、加入時に審査があり、加入できない場合はその理由を教えてくれるようです。
うさぎを対象とするペット保険を扱っているのは、上記2社が有名です。
ペット保険へ加入することのメリットは、万一の時に本来100%実費で支払わなければならない高額な医療費の負担が軽減されることです。
筆者の話
私の場合は猫を飼っていますが、ペット保険へ加入していなかったことによって16万円の医療費請求を経験したことがあります。その時は、なんとか分割での支払いをお願いし、少しずつ支払いましたが、我が家も余裕があるわけではなかったので大変でした。
以前、うさぎの医療費は猫よりも高いと聞いたことがあります。もちろん病院や病気によっても異なると思いますが、決して安い金額でないことは確かです。
おわりに
以前調べていたときに、「うさぎを飼う時には、病院代を含めて年間10万円程の経費を見ておくと良い」というのを見たことがあります。しかし、それは開腹手術を要する程の病気にはならないことが前提の話でした。
うさぎの病院代のことを考えると、飼いたくても躊躇してしまうという声も出そうですが、そんな方にこそペット保険が役立ちます。
一部の保険会社ではうさぎも加入対象としているペット保険があり、通常高齢になると加入できない保険ですが、高齢でも11歳未満なら入れます。これは既にうさぎを飼っている方にとっても朗報だと思います。
ペットは大切な家族の一員ですし、健やかに長生きして欲しいと願うのは当然だと思います。病気にさせないことも大切ですが、病気になってしまった時に最善を尽くしてあげるのも飼い主としての役目ですよね。
どういう形であれ、備えあれば憂いなし。ペットのために貯金をすることもできますが、いざという時に安心できるよう、ペット保険も視野に入れて備えてください。