かかりつけ獣医の選び方と専門病院について
この記事は2017年2月8日の記事を再編集しました。
動物病院を街中で見かけることが増えてきてると実感してる方も少なからずいることでしょう。犬の飼育頭数より猫の飼育頭数が増えペットを飼育する家庭が増えてきたこともあり、地域によってはコンビニの件数と動物病院の件数がほぼ同じだったり、1キロ以内に2~3件の動物病院があるなど、動物病院がひしめき合っている場所もあります。
ペットを飼い始めると「かかりつけの動物病院」について考えるようになります。また、より高度な医療や専門治療を求める飼い主さんもいます。
今回は、かかりつけ獣医をどのように選ぶべきか、そして特定疾患に特化した治療を行う専門病院についてご紹介します。
1 動物病院を選ぶ時に確認したいこと
2 どのような時に獣医へ相談をしたらよい?
病気の初期症状や不調のサイン
3 定期検診の必要性
4 医者嫌いは早いうちに克服させましょう
5 専門治療をしてくれる動物病院
歯科専門病院
ガン専門病院
6 ペットの種類に特化した病院
7 予防診療のみに特化した病院
動物病院を選ぶ時に確認したいこと
ペットを迎え入れ、初めて受診した動物病院を、ペットが亡くなるまで主治医として通い続けるというデータがあります。つまり、かかりつけの病院を見つけることは、いつか迎えるシニア期に、十分な医療が出来ることや、飼い主さん自身が負担にならないことを考える上でも大切なことと言えます。
かかりつけの病院や獣医師を選ぶ際は以下の点を確認の上、検討しましょう。
- 飼い主との会話がスムーズかどうか
飼い主に対して症状を説明する時、専門用語を多用したりせず、分かりやすい言葉で丁寧に説明してくれるかどうか。 - 飼い主の話をきちんと聞く姿勢があるかどうか
飼い主がペットの日頃の様子や症状を説明する時に、面倒がらずに丁寧に聞き取りを行うかどうか - 看護師や関係者への対応が適切かどうか
獣医師によっては横柄な態度で関係者へ接することがあります。良質な医療には、関係者の積極的な協力は欠かせません。 - 施設内が常に清潔で整理整頓されているか
動物の病気は空気感染する場合があります。診察室内が常に清潔で、消毒が行き届いていることはとても重要です。 - 固定の患者さんがいるかどうか
季節や時間帯によって混雑具合の差がありますが、ある程度の利用者が常にいるかどうかを確認しましょう。いつ行っても患者数が少ない場合、突然閉院してしまう可能性もあるので、近隣の評判も参考にしてみることもおすすめです。 - 診察時間、時間外対応、夜間や救急対応について
診察時間と休診日だけでなく、時間外対応や夜間、救急対応についても確認しましょう。いつ何時、病院に駆け込むことになるかは予想が出来ません。また、勤務時間が決まっている飼い主は特に、平日でも通える病院かどうかも踏まえて考えないとなりません。 - 往診の依頼ができるかどうか
大型犬を飼っている場合、骨折や末期医療の際に、歩くことが出来ない愛犬を連れての通院が困難になることがあります。その場合、往診対応が依頼できる病院であると将来的にも安心出来ます。 - 手術設備、入院設備が整っているかどうか
大型犬の場合、規模が小さい病院では大型犬用の設備がなく、近隣の動物病院を紹介、移転となることがあります。愛犬のストレスを最小限に抑えるためにも予め確認しておきましょう。 - 待合室に十分な広さがあるかどうか
大型犬を飼っている場合は、待合室で過ごすのに十分な広さがあるかどうかを確認しましょう。規模が小さい病院だと、大型犬は病院の外や車中で待ち時間を過ごさなければならないことがあります。
上記にピックアップした事柄以外にも、通院の交通手段も含めて検討しましょう。
どのような時に獣医へ相談したらよい?
犬を飼っている場合、動物病院を受診するのは、年に一度のフィラリア予防の時だけということも多いと思います。愛犬が若くて健康なうちは、目立った体調不良もみられず、動物病院とは疎遠になりがちです。
しかし、犬は1年間であっても人間の数倍の早さで歳を重ねています。一見若く健康そうに見えても、内臓機能や健康面に異変が起きていることもあります。
病気の初期症状や不調のサイン
一見病気とは思えないような症状も、実は何かしらの病気の初期症状であることもあります。以下のようなサインを見逃さないようにしましょう。
- 体に小さなしこりがある
- 脱毛が目立つ
- 食欲がない
- 下痢、軟便の症状が数日~数週間続いている
- 便に少量の血液が混ざっている
- 食後に嘔吐する
- 陰部を舐める回数が多い
飼い主が病気と気が付くような明らかな症状が出てからでは、治療が手遅れになることもあります。初期症状に気が付くことが出来れば、病気や不調を飲み薬の治療で対応することもでき、手術等が不要になることもあります。
些細な事であっても、不調や異変を感じた場合には、こまめにかかりつけの動物病院へ相談をしましょう。
定期検診の必要性
不調や異変を感じたらすぐに病院に行こうと心がけていたとしても、どうしても都合が合わず時間を確保することが難しくて、つい先送りにしてしまうこともあることでしょう。
こういったケースを少なくするためにも、多くの動物病院では「定期健康診断(定期検診)」が推奨されています。若く健康なうちは1年に1回、シニア期を迎えてからは半年に1回を目安に検診を受け、大病になることを未然に防ぐ策を施してあげましょう。
主な検診内容
定期健康診断では、以下の簡易検査を受け、病気のサインがないかを確認します。定期的に検査を受けることで、病気の早期発見、早期治療に繋がります。
- 全身の触診
- 体重測定と食事量の見直し
- 血液検査
- 便検査
医者嫌いは早いうちに克服させましょう
ペットの中には医者を苦手とする性格の子もいます。飼い主以外の人間に慣れていないことや、動物病院の特有のにおいが苦手だったりします。もちろんペットにってその理由は様々で、注射や治療を受けた経験がトラウマになっていたりすることもあります。
しかし、いくら健康的に暮らしていたとしても、シニア期を過ぎる頃から病院のお世話になることも出てきます。以下のことを考え、若く健康なうちから定期的に通院の機会をもうけ、動物病院や医師に慣れさせておくようにしましょう。
- 通院のたびに過度なストレスを感じないこと
- スムーズに治療や処置が進むこと
- 入院させても落ち着いて過ごせること
ペットが人見知りだったり怖がりな性格の場合には、治療の際に少量のおやつを持参することをおすすめします。治療後に獣医師から与えてもらうようにすることで、次第にペット自身が獣医師に対して、好意を抱くようになります。
専門治療をしてくれる動物病院
近年、動物病院の中でも、専門的な治療をしてくれる病院も増えてきています。今回は犬に対し、専門治療をする動物病院にどのようなものがあるかご紹介します。
歯科専門病院
ドッグフードが多様化し、柔らかい食事やおやつを若い頃から食べる機会が増えたことにより、市に飽きに差し掛かる頃には、歯や歯垢、歯石で歯が変色してしまう犬が増えています。
また、小型犬を本来の血統より、さらに小型化を目指して繁殖を行うブリーダーが増えたことで、生まれながらにして、顎の骨格形成異常や乳歯残存などの問題を抱えてしまうというケースもあります。
このような背景もあり「歯科」に特化した動物病院があります。
日常的な歯垢や歯石の除去処置はもちろん、歯や口内に関する専門的な治療機材を揃え、高度な治療ができるようになっています。
犬の歯は、人間のように差し歯や詰め物で処置を施すことが難しいため、抜歯するのが一般的です。健康な若いうちに抜歯してしまうと、食生活に影響が出るだけでなく、常に舌が出た状態で生活をおくることとなり、喉や気管等、他の病気を併発することがあります。
歯や口内トラブルが気になった時は、安易に抜歯の処置は行わず、専門医に一度相談してみましょう。
ガン専門病院
世界的に見ても、犬のがん発症率は増加傾向にあります。平均寿命が延びたこと、ドッグフードに含まれている添加物や生活習慣病に起因するものなど、その理由は様々です。
発症部位も人間と同様、胃ガンや肝臓ガン、喉頭ガン、皮膚ガン等、多様です。そして治療方法も、手術によって患部を摘出するだけでなく、抗ガン剤治療や放射線治療と高度になってきています。
病院によって、ガン治療に必要な設備の充実度が異なっており、放射線治療を施すことが出来る病院は限られています。特に、個人病院の場合は利用頻度が少ない専門機材を導入しているところは非常に少ないです。
そのため近年、大学病院と提携したり、近隣の動物病院が共同でガン治療に必要な設備を出資し、高度医療専門の医療センターを開業したりと設備の整った病院が増えてきています。
ガンの初期症状に「しこり」があります。しこりは全身にできる可能性があり、時には尻尾の先のような、日頃飼い主がなかなか触れない部位にできることもあります。
ペットの体にしこりがあると感じたら、たとえ小さなしこりでも見逃さずに、すぐに動物病院を受診しましょう。
ペットの種類に特化した病院
その分野に関する専門化が進むと共に、多様化するペットに応じた病院、つまり、その種の専門病院も増えてきています。
近年では猫の飼育世帯数が増えてきていることから、「猫専門」の動物病院の開業が増えてきています。待合室で犬と同室になることで、猫がストレスを感じてしまう配慮から、施設内は猫以外の動物の受け入れを行っていないのです。
この他、猫専門のトリミングやホテルを併設しているところもあります。
また、治療面においても猫に特化したことにより、さらに専門知識を身に付けられ、最先端の治療を施すことが可能になります。
同じように、ハムスターやウサギ等の小動物に特化した病院や、爬虫類に特化した病院も開業されています。これらの分野は臨床データはとても少なく、獣医師自身も専門分野に特化した研究と経験が必要とされています。
しかし、ペットの多様化により、診察を希望する飼い主が増えていることも事実で、今後の課題となってくることでしょう。
予防診療のみに特化した病院
「日常診療」「予防診療」に特化した病院も増えています。手術や入院等の対応は行わず、健康診断やフィラリア、ノミダニ治療薬の処方、食事の相談等を主に行います。
専門的な治療は行わないためペットが若く健康なうちは、動物病院へ通う頻度も少ないため、病院側もそういったペットを対象とし、高度な医療設備は設けずに、日常的な予防診療に対応するだけにしているようです。
ペットが若く健康なうちは、動物病院へ通う頻度も少ないため、病院側もそういったペットを対象とし、あえて高度な医療設備は設けずに、日常的な予防診療に対応することをメインにしているようです。
おわりに
かかりつけの動物病院を決めると、そこの獣医師とは幼年期から10年以上は付き合いが続くことが予想されます。動物病院のあり方も様々で、細分化されてきています。
通院時のストレスの一つに「待ち時間」が挙げられます。ペットによっては待合室で待ってる間無駄吠えをしたり、落ち着いて座って待っていることもできないペットがいます。
こういった場合、症状や目的によって病院を使い分けるという柔軟性を持って行動しても良いでしょう。例えば犬ならフィラリアやノミダニの予防診療はかかりつけの病院を受診し、病気やケガで高度治療が必要な場合は、専門医を受診する、というように使い分ければ、病院の待ち時間も緩和される可能性があります。
信頼でき、何でも相談しやすい獣医師を見つけると共に、ペットの病気やストレス等負担の少ない方法を飼い主さんが柔軟に選んであげて通い分けると良いでしょう。