コラム

第97話 ゆきちゃん・はっちゃん親子の物語 その2 奇跡の救い主現る

2011年の2月に里親として龍馬と凜子を迎えたところから始まった私の猫ライフ(第1話第2話第3話)。その後に自分の不注意で龍馬を脱走させてしまい(第5話から第26話)、その捜索中に出会った沢山の野良猫の避妊去勢手術に関わったことで、猫ボランティアを予定外に始めることになる。
最初のきっかけは、2013年11月に猫道と呼ばれる場所にて偶然猫の大群を見かけ(第26話)、人馴れした子猫の保護譲渡や、保護できない猫の不妊去勢手術をしたことだ(第28話から第35話)。それから4年以上、やめるにやめられずに続けた猫ボラ活動。色んな事件に遭遇した。(第36話から第96話

時は2015年の11月になっていた。2匹の未手術の人馴れした大人親子猫がいる、と私を待ち伏せし助けを求めてきた人がいた。新たな餌やりのミカンさんだった(第96話)。猫の年齢は親2~3歳、子供9か月。

人馴れした猫が外にいると虐待の危険があるので本来なら保護して里親募集したいところだが、子猫ならまだしもこのくらい大きいと里親募集も簡単ではない。
ハナコの里親募集をしたときに、見ず知らずの人に命を託すことがあまりに苦しく、自分には向いていないと思い(第53話から)、もうよほどのベタすり猫しか保護しないと決めていたというのは何度もこのコラムでも書いた通り。
それにうちにはもうこれ以上猫を入れてやるスペースがない。

猫を捕獲して病院に搬送し、手術して猫が戻って来て外に放すまでの時間の猶予は2日。捕獲器で捕まえた猫は、一度外に戻したら、捕獲器の恐怖を覚えているので、もう二度と捕獲器に入らない。その猫を保護して飼い猫にするかどうかは、猫を外に戻すまでのその2日で決めなければならなかった。

そこで無謀を承知で二日間限定で里親募集をしてみることに。当時私はSNSを始め、その中でとある猫グループに参加していた。メンバーは無類の猫好きばかりで、自分の飼い猫の自慢から、保護活動をしている人の活動報告のようなものも沢山投稿されていた。そこで里親募集をする人もいた。
しかし、二日で簡単に決まるような話ではなかった。
残念ながら二日間の間に誰からも挙手は無く、手術を終えた親子を病院に迎えに行く日になった。私は未練がましく再度ミカンさんに、この子達を里親が見つかるまでの間だけでも家にいれてやれないか聞いた。しかし、どうしても旦那さんが了解しないというのだ。大きなお家なのに、なぜそんなに冷酷になれるのか私は腹が立った。それだけではない。病院に猫を搬送するのに、車も免許も無い私はタクシーを使わなければならない。ミカンさんにせめて病院まで車を出してくれる人を探してくれるように頼んだが、近所の人は皆野良猫を乗せるのは嫌だと。

豪邸が並ぶエリアである。普段愛想よく挨拶し、いかにもお上品そうな奥様方なのに、実は冷血な人が多いもんだと私は内心思った。

本当に未練がましいが、最後の最後にまたミカンさんに聞いた。いいんですね、この子達外に戻しますよ、と。ミカンさんはそうしてくださいと。

捕獲した場所にこの親子を戻した。私は人馴れしそうな猫を外に放すのは初めてだった。猫を可愛そうに思う気持ち、申し訳なく思う気持ち、そして飼わないのに馴らしてしまったミカンさんへの腹立たしい思い、寒空に行くところがない親子猫にかけらも情をかけることのないその近隣の人間への憎悪、色んな思いが交錯して、猫を外に放しながら涙が止まらなくなった。
私は後にも先にも人馴れしそうな猫を外に放したのは、これ1回きりだ。いや正確に言うと、一度もないのだ。

そう、実はこのあと奇跡のどんでん返しがあるのだ。

親子猫を外に戻し、ミカンさんにはきちんと毎日餌をやり面倒見てくれるよう頼んでおいたものの、私自身、この子達のことが気になって仕方無くなり、餌を持って頻繁にその親子の様子を見に行く羽目になった。

猫道から少し離れた駐車場に毎日夕方5時になると親子そろってご飯をもらいに来る。
近隣の豪邸の窓に、飼われている猫の姿が見える。同じ命なのに、この子達だけどうしてこんなに惨めな思いをしなければならないのだろう。うちにスペースが無いということと、里親探しが辛いということが、この子達を外に放置していいということになるのだろうかと非常に心が苦しくなった。
私自身がほぼ毎日餌やりに通い、毎日会っているとますます情が湧く。
もう12月。寒さが厳しくなってきた。

まだダメもとで同じSNSの猫グループに、猫はまだ外にいるという状態のまま、里親募集と里親が見つかるまでの間の預かりさん募集をしてみた。

期待はしていなかったが、何と預かりますと挙手してくれた人がいた。頻繁にその猫グループに投稿をしている人だった。彼女も自宅で沢山の野良猫を保護していたし、殺処分ゼロの為、野良猫救済の為、一般の人向けに啓蒙するような投稿をよくしていて、私も賛同する内容が多かった。
SNSで名前を良く見るだけで、会ったことも無い人が猫を預かってくれるなんて、そんな奇特な人がいるとは信じられない思いだった。今考えれば、会ったことも無い人に猫の命を預かりとは言え託すなど無謀なことだが、その時はとにかく親子猫を救ってやれるという希望が見え嬉しいばかり。何も聞かず、ただメールのやり取りだけで、預かりをお願いすることにした。ただただ幸運だったと思うが、その人は本当に良い人だった。そして今でも猫友達だ。ヤッシーというオヤジ風猫を始め、15匹位保護している模様だったし、ヤッシーを頻繁にSNSに投稿しているので、ヤッシーママと呼ぼう。

私は、「預かり先が決まった、これから再度捕獲して里親探しをするから!」とミカンさんに宣言し、すぐに捕獲しに行った。2回目なのですんなり捕まらないかもしれないので、より馴れているミカンさんに現場に来てもらい、手伝ってもらうことに。

子供の方がなかなか捕獲器に入らなかったが、ミカンさんがヒョイと手で捕まえた。
さすが、餌やりだな。猫に信頼されている。

再度病院へ搬送し、エイズ白血病検査、ワクチン2回目、ノミ取り、駆虫など、里親探しに必要な医療ケアを施した。
ドクターは本当に優しい人で、猫に向かって言った。「よかったなぁ、こんなに大きいと普通は保護してもらえないのになぁ」と。

私も罪悪感から解放され、ほっとした。

病院から一旦家へ帰り、時間を調整してヤッシーママさん宅へ親子猫を届けに行く。うちからは車で30分ほどの距離。丁度クリスマスの頃だった。

ヤッシーママさんと相談し、この子達の名前を、母猫ゆきちゃん、子猫はっちゃんに決めた。猫絡みでは嫌な人間ばかりが目につき、人間嫌いになりそうだったが、こんな有難い人もいる、世の中捨てたもんじゃないなと思った。

しかし大変なのはそこからだ。里親募集市場では決して有利とは言えない条件の猫の里親探しが始まる。
続く。

コラムニスト:Candy (キャンディ)
ネコジルシ:保護猫日記

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