コラム

第96話 ゆきちゃん・はっちゃん親子の物語 その1

2011年の2月に里親として龍馬と凜子を迎えたところから始まった私の猫ライフ(第1話第2話第3話)。その後に自分の不注意で龍馬を脱走させてしまい(第5話から第26話)、その捜索中に出会った沢山の野良猫の避妊去勢手術に関わったことで、猫ボランティアを予定外に始めることになる。最初のきっかけは、2013年11月に猫道と呼ばれる場所にて偶然猫の大群を見かけ(第26話)、人馴れした子猫の保護譲渡や、保護できない猫の不妊去勢手術をしたことだった(第28話から第35話)。それから4年以上、やめるにやめられずに続けた猫ボラ活動。色んな事件に遭遇した。(第36話から第95話

時は2015年の秋。野良猫のTNR(飼い主のいない猫を捕まえて、不妊去勢手術をして、元の場所に放すこと)も 私が関わっていた2箇所の餌場では、かなりの頭数をやってしまい、それぞれの餌やりさんから新たに手術をしていない猫が来るようになったら連絡をもらい捕獲に行くということが私の主な活動となっていた。

里親募集も、夏にハナコ(第52話第56話)を知り合いに譲渡して以来、人馴れした保護対象の猫を見ることがなくなったので、暫く里親募集もしていなかった。 
ハナコは、初めて知り合い以外の人にも範囲を広げて里親募集しようとしたものの、私には慣れない事で本当に大変だったし、特に知らない人を一度か二度会っただけでハナコを生涯託せるか判断するのが精神的に辛く、自分の猫にしてしまってもう終わりにしたいという衝動と自宅にもうスペースがないというジレンマと戦い、結局知り合いに頼み込んで引き受けてもらったのだった。その時の経験から、自分には譲渡は向いていない、もう保護はしたくないとい思っていた。

他にもTNRだけして保護はしないという人もいる。里親が見つかり易い3か月未満の子猫のみ保護という人もいる。個人の事情でできることできないことあるだろう。それはそれで仕方ないし、何もしないよりマシだ。私も最初はそのつもりだった。しかし、人馴れしていたら、猫嫌いに虐待されたり、事の真偽は定かではないが、猫捕り闇業にさらわれて動物実験や毛皮に使われるとも聞いてしまった。実際うちの近隣でもごっそり外猫が消えてしまっている(第62話)。それ以来、人馴れ猫は保護せざるを得ないと思うようになっていた。
    
どの程度の人慣れなら保護するかという基準については、ハナコほどの人馴れ、つまり、外にいる時から無理に馴らさなくてもべったり人を信用して、問題なく触れる猫ということにした。愛くるしい子猫なら里親募集もすんなりいくが、大人で、美猫とも言えなければ、里親募集も簡単ではないのだ。ハナコのように性格良く、べったり人間を信用していればもらわれる可能性もあるが、それでも簡単ではない。何度も譲渡会に参加、ネットでも募集サイトに載せ、アピールの為、ブログでも様子を知らせるなどの相当の時間と労力が必要だ。

そう思っていたある日、猫道の餌やりのイチゴさん(第29話)からまた新しい猫が餌を食べに来ているから捕獲に来てほしいと連絡があった。捕獲器を持って現場に駆け付けると、そこに見知らぬ女性がいた。 

イチゴさんの友達のミカンさんで、猫道の近くの別の場所で野良猫に餌をやっていると。そこに親子がご飯を食べに来ていると。その親は2回子供を産んでおり、前の子は全部交通事故で亡くなったと。2回目に生まれた子も1匹亡くなり、残った子供メス1匹と共に親子で毎日餌場に来ると。そして人馴れは?と聞くと、馴れていて触れると言う。

え?誰この人?明らかにイチゴさんから私のことを聞いて、そこで私を待っていた。
私は仕事も多忙なので、大掛かりなボランティア活動は物理的にできないし、今関わっている猫道とパンジー公園の2か所の餌場以外に相談を受けるつもりもなかった。私のことをあまり宣伝してほしくないのになぁと思いながら、聞いてしまったら知らないとは言えない。この辺りに他に猫ボランティアがいないのはわかっている。私が手を貸さなければ、この八割れ2匹は産み続けることになる。それは止めなければならない。 

避妊手術だけなら簡単だ。人馴れしているなら捕まえるも楽だし、2日もあればすべては終わる。しかし私は躊躇した。上記に書いたように人慣れしていたら、手術して、はい、元気でね、さよなら、というわけにはいかなくなるのだ。どの程度の人馴れなのか自分の目で見てみるまでわからない。ミカンさんもお婆さんだ。餌やりおばあさんの見立てはあてにならないことが多い。人馴れしているといっても、餌やりさんだけに馴れていて、保護して里親さんを探すのは難しいこともある。また馴れていないと言われても、充分家猫になれる子もいる。
その見極めをするのがとても苦しい。

しかし、聞いてしまったものは見に行かざるを得ない。メス2匹なら手術を急がねばならない。ミカンさんに案内されて行ってみると、親が2~3歳、子供が春生まれとしたら8か月くらいだろうか。2匹が駐車場で待っていた。私が近づくと逃げてしまった。人馴れ具合はすぐには判断できないが、捕まえてみて馴れているとわかったらあとが辛くなる。

人慣れしているなら、ミカンさん飼ってくださいよ、と言ってみたが、それは出来ないと言う。犬がいるし、旦那さんが反対しているのだとか。じゃあ、里親探ししてくださいよ、私が手伝うからと言ってもそれもできないと言う。 
外の生活は危険が一杯なのだ。ずっと外で生きていかねばならないのならば、悪い人間に捕まったりしないように、人を信用させてはならない。可愛いと思うというだけで無責任に可愛がって人馴れさせてはならない。人馴れさせたら自分で飼うくらいの責任を感じてほしい。

その後のことを心配しながら、とりいそぎ2匹捕獲して病院へ搬送した。突然捕獲されて怯えているので、どの程度の人慣れなのかはわからない。ハナコほどではないにしても、病院の先生も馴れそうだと言う。しかし、母猫は2~3歳、子供も8か月なのでもう大きい。しかも、お世辞にも美猫とは言えない。里親募集市場での価値は低い。

はあ、どうするよ。もうよほどのことがない限り、保護しない、里親探しもしないと決めているのだ。しないというよりできないのだ。

でも苦しい。何かしなければこの子達に申し訳ない。
これから手術して外に放すかどうか決断するまでに2日。この2日に奇跡が起きることを願って、ダメもとでSNSでの里親募集をすることにした。
続く。

コラムニスト:Candy (キャンディ)
ネコジルシ:保護猫日記

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