コラム

第93話 ペット生体販売ビジネスの実態

2011年の2月に里親として龍馬と凜子を迎えたところから始まった私の猫ライフ(第1話第2話第3話)。その後に自分の不注意で龍馬を脱走させてしまい(第5話から第26話)、その捜索中に出会った沢山の野良猫の避妊去勢手術に関わったことで、猫ボランティアを予定外に始めることになる。最初のきっかけは、2013年11月に猫道と呼ばれる場所にて偶然猫の大群を見かけ(第26話)、人馴れした子猫の保護譲渡や、保護できない猫の不妊去勢手術をしたことだった(第28話から第35話)。それから4年以上、やめるにやめられずに続けた猫ボラ活動。色んな事件に遭遇した。(第36話から第92話

時系列で綴ってきたこの猫ボラ奮闘記、丁度第第85話で餌やりのイチゴさんが、近所からの攻撃に遭ったところまで書いてから、餌やりへの苦情にどう対応すべきかという話や地域猫活動の紹介をしていった(第87話から第92話)が、ここで時系列の話の続きに戻ろう。

時は2014年秋。当時の私はまだ本格的にボランティアしようという意思が固まっていた訳ではなく、餌やりのイチゴさんやシマコさんに未手術の子が餌場に現れたと聞いたら捕獲の手伝いに駆けつける事がメインの活動だった。

ある日捕獲した野良猫を不妊去勢手術を受けさせるため、動物病院に連れて行こうとタクシーに乗ったら、運転手さんが猫を入れた捕獲器を見てびっくりして(カバーで覆っているので中は見えない)、なんですか、それは?と聞いてきた。
おっ、これは啓蒙のチャンスと思い、自分がボランティアとして、野良猫の避妊去勢手術をして回っていること、野良猫がいかに多いか、その原因は無責任な飼い主が最期まで飼わず捨てたり、引越しの際に置き去りにしたり、脱走させても探さなかったりしていること、また、餌だけやって手術をしない無責任な餌やりも多いこと、猫の繁殖能力はすさまじいこと、など滔々と述べた。

運転手さんは猫好きらしく、うちにも猫いるんだよ、アメショーで抱っこさせてくれないんだ、と言っていた。アメショー?じゃあ、ペットショップで買ったの?と聞いてみる。
こんなに野良猫が町にあふれていること、無責任飼い主が多いことの原因の一つが、命を商品として販売するペットビジネスだという話をしようとした。

「だめよ、おじさん、ペットショップなんかで買っちゃ。買う人がいるから大量生産してもっと売ろうとするし、相手が責任もって最期まで飼育するかどうか確認もしないままに、商品として売ってるんだから。そんな売り方したら、また捨てる人も出てくる、また野良猫が増える、そしてまた私が大変になるんだから。」と言ったところで、運転手さんはその実態をよく知っていた。

「知ってるよ、おれのカミさん、動物が好きだっていうんで、OOOOOOっていう有名なペットショップで働いてたんだよ。」おしゃれな街に店舗を構える誰もが知る高級なワンちゃんショップだった。

おじさんは続けた。
「それがさぁ、嫌がるわんこを無理やり押さえつけて交配させてるらしいんだ。それを見てるのが辛くてカミさん、すぐやめちゃったよ。」

ペットショップの悲惨な話はよく聞くが、実際の内部者の話を聞くのは初めてだった。やっぱりそうだ、と思った。

運転手さんには、「だから次に犬猫飼うときは、ペットショップで買わないで、私たちが保護した猫を里親会で里親さん探しているから、ぜひそういうところから譲渡受けてね。」と言っておいた。

動物病院へ行くタクシーの中で、一人でも保護猫の譲渡の話を啓蒙できてよかったと思うと同時に、ペットショップへの怒りがまたさらに大きくなった。

ネットで検索すればいくらでもペットビジネスのひどい実態は出てくる。すべてのペットショップやブリーダーが悪徳とは限らない。きちんと道徳的にビジネスをやっているところもあるにはあるだろう。しかし、一般論でビジネスと言えば、収益を上げるために、生産を上げ、より多く売って、コストは節約し、余剰在庫も処分して最終利益を上げる、ということは当たり前のことだ。しかし、それを命でやっていいわけがない。生まれて間もない子犬、子猫を母親から引き離し、できるだけ小さいうちに売ろうとする。長時間電気のついたショーケースに入れられ、四六時中、触れられる。落ち着いて眠ることもできない。
ペットショップの運営については若干規制強化されつつあるようだが、全然不十分だ。

繁殖犬、猫には前述のように、いやがるのを無理やり交配させ、どんどん産ませ、母親は何度も繰り返し出産させられボロボロ、年を取ったり使い途がなくなれば、どうなるだろう?ビジネスにとっては不要な廃棄物だ。生き物であっても手厚くケアされるわけはない。病気になった犬猫は、コストのかかるお荷物でしかない。医療にもかけてもらえず、安楽死すら薬代がもったいないといい、そのまま放置して餓死、病死させる業者もいると聞く。

劣悪な環境に犬猫を押し込めている悪徳ブリーダーをテレビでも見たことがある。ショップの店先に並べられないような商品価値の低い子たちは、ビルの屋上に炎天下放置され、衰弱しているケースもあるとも聞いたことがある。

ペットショップ併設の動物病院の獣医師になった人が、収益重視の会社で、商品価値がなくなった子には病気になっても医療をかけせてもらえず、医者でありながら、その罪悪感と会社の方針のはざまで心を病んでしまった人もいると聞いたこともある。

ペットビジネスが悪いのではなく、命を売るというビジネスが間違っているのだ。生体販売をしている国は先進国では日本だけだと聞いた。動物を幸せにするためのペットビジネスなら幾らでもやってほしいと思うが、命を苦しめるビジネスはあってはならない。動物愛護法違反だと思えるような生体販売ビジネスがどうして無くならないのか私には理解できない。法律改正も進まない。だったら消費者に実態を知ってもらい、消費者が買わないようにするしかないと思う。

ボランティアというタグのついたこのコラムを読んでくださっている読者の方は、ペットショップで買ってきたという人よりも、保護活動に関心を持ち、保護猫を迎えてくださった人の方が多いだろうと推測しているが、動物好きな人の中にも、まだ未だに保護猫の里親募集ということを知らないで、ペットショップでしかペットを所有できないと思っている人が多い。実際、町のペットショップはいつ行っても人が一杯だ。
可愛いと子犬や子猫を抱き上げた人、その子たちの母犬、母猫が一体どのような扱いを受け、どうなっているのかぜひ実態をしってほしい。

コラムニスト:Candy (キャンディ)
ネコジルシ:保護猫日記

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