コラム

第8話 龍馬脱走事件 その4

龍馬が脱走して3日目。龍馬の譲渡主のSさんの指示に従いながら捜索を続ける。 (脱走経緯は第5話第6話第7話参照)
指示通り夜中に設置した捕獲器を3台早朝確認したところ、龍馬ではない野良猫2匹が捕まっていたのでSさんに連絡した。Sさんに頼まれ、野良猫が捕まった場合は不妊手術に資金を出して協力することを了解していたので(第7話)、指示通り不妊手術済みか否かを猫の耳で確認する。
不妊手術済みの野良猫は、耳カットをするという暗黙のルールになっている。地域にもよるが、V字に入れたり平行にカットしたりする。うちの地域ではメスは左耳、オスは右耳だそうだ。V字カットしている猫をさくらねこと呼ぶこともある。
>>TNRとさくらねこの参考情報はこちら

【凛子の耳】
8.りんの耳

【しまじろうの耳】
8.しまじろう耳

耳カットしてあれば、手術済みということなので、そのまま捕獲器から出して外に放してよいが、カットがなければそのまま病院へ連れていき、麻酔して手術してから放すことになる。
怯えて威嚇してくる猫は、うずくまったり暴れたりしてなかなか耳を確認できないこともある。捕獲器は高さがないので、中で猫が暴れると頭や顔を檻にぶつけてケガをすることがあるので、捕獲器に猫が入ったらすぐにカバーをかけて外が見えないようにし、猫を落ち着かせる。
この時に捕獲した2匹はどちらも耳カットがなかったので、未手術ということになる。Sさんに車で迎えに来てもらい、手術代を渡し病院へ搬送してもらった。うちの地域で自治体からの助成金があるのか否か、どの病院が野良猫割引をしてくれるのか、まったく当時は知識がなかったので、車で1時間離れたSさんの地域へわざわざ搬送してもらうしかなかった。

龍馬捜索に話を戻そう。
捜索のためにやらねばならないことが沢山あった。
去勢した猫はあまり遠くに行かないので、餌があれば最初の2週間程度は半径50メートル以内に潜んでいるだろうと言われた。とにかく姿を一度見たので、龍馬が移動しないように周囲に餌をまいた。マンション住まいなので共有部分の緑地帯や、龍馬が飛び降りたメンテナンス用の場所などになる為、管理人に許可を得る。
それから情報収集のため、200枚の龍馬の写真と特徴を入れたチラシとポスターを作成し、配布したり貼ったりした。ちなみに電信柱や公的な場所に無断で貼り紙をすることは軽犯罪法違反になるらしい。現行犯と確実な証拠があったら罪になるそうだ。要注意。
直接の聞き込みが最も効果的と言われ、夜と早朝の犬の散歩の時間を狙って、外に出て道行く人にチラシを渡し目撃情報を得る。話しかけた人は殆ど同情してくれた。
他にも、近隣に餌やりをしている人がいないか聞き取り調査も行なう。見つけたらその場に行って龍馬が餌を食べに来ていないか確認する。
そもそも私はこれまで仕事が忙しく、地元の人間関係など皆無だった。近隣の人の顔も覚えていなければ、猫情報の収集など全く不可能だった。
野良猫を見かけることすらほとんどなかった。うちの近所には野良猫はいないと思い込んでいたが、それは大きな間違いだった。今、野良猫救済活動をするようになって、次から次へと際限なく新たな野良猫に遭遇するのだから。
また、つらいことだが、交通事故などで死んでしまっていないか、怪我をして保護されていないかの確認も必要である。事故死した場合は、私道なのか公道なのかによって担当の役所が違うらしいが、事故に遭ったあと遺体が回収されていないかどうか、電話で確認しなくてはならない。時間が経つと記録も消えるので、毎週電話で確認するようにとのことだった。龍馬の特徴を伝え、死体の写真を見て該当があるかどうか確認してもらうのだが、万一似ている子がいるといわれて、遺体の写真を見なければならなくなったらどうしようとドキドキだった。自分の猫でなくても、無残に事故死した猫の死体の写真を見るのはつらい。
ケガをしている猫は、通報があれば動物愛護センターに引き取られ、何日かの間に飼い主が現れなかったら殺処分となると聞いた。タイミングを逃して処分されたらたまらないと思い、そこにも頻繁に電話確認した。
他にも夜中にネットでの迷い猫掲載情報を確認したり、ブログなどで脱走猫捜索情報を検索したり。一番つらかったのは捕獲器の設置、回収、洗浄、消毒だった。数が多く重労働だった。
これだけのことを仕事と家事に加えてやらなければならないのだ。最初は気が張っていて、3時間睡眠でも頑張ったが、長期戦になると疲れてきて気持ちもすさんでくる。仕事は手を抜けないので、家事はすぐに犠牲になり、自分もまともな食事をとらなくなる。買い物とか外食は気持ちの余裕がなくてとてもできない。ますます体も心も疲労し、余裕がなくなり、考えることも危うい方へ向かってしまうのだった。
続く。

コラムニスト:Candy (キャンディ)

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