コラム

第88話 地域猫活動、やるのは誰? その1 自治会への訴え

2011年の2月に里親として龍馬と凜子を迎えたところから始まった私の猫ライフ(第1話第2話第3話)。その後に自分の不注意で龍馬を脱走させてしまい(第5話から第26話)、その捜索中に出会った沢山の野良猫の避妊去勢手術に関わったことで、猫ボランティアを予定外に始めることになる。最初のきっかけは、2013年11月に猫道と呼ばれる場所にて偶然猫の大群を見かけ(第26話)、人馴れした子猫の保護譲渡や、保護できない猫の不妊去勢手術をしたことだった(第28話から第35話)。その後も餌やりさんからの相談を受け、捕獲、手術を手伝っているうちに色んな事件に遭遇するのだった(第36話から第86話)。  

第83話から野良猫の餌やりへの苦情問題を取り上げ、第87話でその解決策としては地域で協力して野良猫を減らす地域猫活動しかないという提案をした。

今回もそのテーマで続けたい。

これから猫の発情期に入る。放置したら春にはまた大量に子猫が生まれてしまう。歯止めをかけるためには、ボランティアだけでは到底追いつかない。どうしても一般住民の意識を上げ行動を起こしてもらわなければならないのだ。

前号でも説明したが、地域猫活動とは行政、ボランティアが協力をしながら地域で野良猫問題の対策をすることだ。具体的には、地域住民で飼い主のいない猫を適切に管理し、不妊去勢手術をし、その猫一代限りの命を見守ること。適切に管理をするとは、適切な場所で適切に餌やり、トイレの設置と糞尿清掃、片付けと清掃をし、周囲に捨て猫や虐待をする人がいないかの目配りをすることだ。これで糞尿や餌の残骸をめぐるトラブル、遺棄や虐待などの犯罪も減り、地域の住環境の改善にも役立つ。地域猫活動とはまさに猫だけでなく住環境を守ることにも通じるのだ。

それを言葉で聞けば、ふむふむ、その通りだと言われる方も多い。しかし、実際、自分もその地域の一人として動かねばならないというと俄然しり込みする人が大半だ。
他人が動くのを待っていてはどんどん生まれてしまうので、仕方なく自分一人で野良猫を捕獲し、不妊去勢手術をし、人なれした猫は保護して譲渡し、お金も自分で負担するというあらゆる側面の活動を個人負担でやっているボランティアが大半だ。そしてボランティアが疲弊し、経済的にも大きな負担にあえいでいるというこの悪循環を断ち切らねばならない。

そのためには動かない住民を動かさなければならないのだ。

私のような新米ボランティアおばさんに何か言われても動かない人は多い。ある程度の権威を持った存在からの指示が必要だと思って、区の保健所に、他の地区の行政でやっているような地域猫セミナーを開催してほしいと訴えかけても、お役所の腰は重い。自治会や大きな団体からの訴えなら動くが、個人ボランティアからの訴えは聞かないという姿勢でいるような印象を受けた。お役所への対応については言いたいことは沢山あるので、それはまた別の機会に。とりあえずは、うちの行政は不妊去勢手術への助成金を出し、それを個人ボランティアが使いやすいシステムになっているだけでもまだ良しとし、今は行政には現場での活動支援は期待せず、住民に焦点を当てることにした。

住民に対して一括でメッセージを発信できる組織はないものか…と考えたところ、自治会を思いついた。近所の住民に回覧板を回す、自治会の掲示板にポスターを貼ることができるのは自治会だ。自治会へ訴え、自治会の名前で、野良猫対策に取り組む必要性、地域猫活動の紹介をしてもらいたいと思いついた。

一部の動物虐待をする犯罪者や、人間さえ潤えばよくて動物の命なんかには目もくれないという冷血漢、自分のことしか考えない自己中を除けば、大半の「普通」の住民は、殺処分は反対、動物の命も大切、動物が不幸になることは望まない思っている。そうだろう、そうだろう。一応、我々は幼稚園や小学校の時から、生き物は大切にと教わり、鶏やウサギを飼って世話もしてきたのだ。家庭でも、大半の「普通」の親は、命を大切にと子供にも教えているはず。だから、一般論で殺処分をゼロにという話には大半の人が賛成する。そのためにも町にあふれている野良猫問題を解決するには、不妊去勢手術を進めるしかない、と言うと理解される。ボランティアが保護譲渡するだけでは追いつかない。ボランティアが崩壊する、というと 理解してくれる人は多い。そういう「普通の心」を持った人を、リソースとして使わないのは勿体ない。私もかつてはそうだったのだ。心はあるが、多忙を理由に活動はしていなかったが、うちの猫の脱走をきっかけに(第5話以降)ボランティアの世界に入ってきたのだから、何万人かいる地域住民の中には、きっかけさえあれば私のように動いてくれる人も数人はいるのではないかと思ったのだ。

そう思ったら早速行動開始。仕事が多忙で自治会へのかかわりもなかった私だが、商店街のある店舗の方の紹介で自治会長へ連絡をとってもらい、野良猫問題の現状と解決策として地域猫活動をすべきであり、それを住民に周知徹底するために回覧板で紹介すべきである、その回覧板に記事は私が書くという提案をレポートにまとめ、その裏付けとして区役所が作成している地域猫活動のパンフレットを添付して提出した。

案の定、連絡はこなかったので再度商店街の人にプッシュしてもらうと、自治会長は猫には興味なく、野良猫問題があるということも認識していないようで、なんだかよくわからないという反応だったそうだ。でもそこでラッキーだったのは、よくわからないから、自治会の役員会に私に来て説明してほしいとのことだった。 

町ぐるみで取り組んでもらえるかもしれない。これは大きなチャンスだった。しかし、役員会とは、私の住む町の各ブロックの長が約40人が集まる会だ。野良猫問題も放置され、手術をしていない猫があふれている町だ。野良猫に優しい街とは言えない。役員の中に猫嫌いもいるだろう。無責任餌やりもいるかもしれない。猫の活動をつぶされるかもしれないという恐怖心もあった。
続く。

コラムニスト:Candy (キャンディ)
ネコジルシ:保護猫日記
猫の里親募集:勝気で甘えん坊の三毛/スコミックスのメイちゃん

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