コラム

第86話 餌やりへの苦情対応 その1 餌やり禁止は逆効果

2011年の2月に里親として龍馬と凜子を迎えたところから始まった私の猫ライフ(第1話第2話第3話)。その後に自分の不注意で龍馬を脱走させてしまい(第5話から第26話)、その捜索中に出会った沢山の野良猫の避妊去勢手術に関わったことで、猫ボランティアを予定外に始めることになる。最初のきっかけは、2013年11月に猫道と呼ばれる場所にて偶然猫の大群を見かけ(第26話)、人馴れした子猫の保護譲渡や、保護できない猫の不妊去勢手術をしたことだった(第28話から第35話)。その後も餌やりさんからの相談を受け、捕獲、手術を手伝っているうちに色んな事件に遭遇するのだった(第36話から第85話)。

2014年の秋、猫道の餌やりのイチゴさん(第29話)から受けた餌やりへの苦情問題では(第83話第84話第85話)、イチゴさんが退散し、根本的な解決には至らないまま終わってしまったが、当時は猫ボラ活動範囲を広げることが難しかったので、野良猫の不妊去勢手術をすることだけに集中し、対人間、対行政、対法律にはまだ関わりたくないというのが本音だったので、大きな揉め事にならずに終わって正直ほっとした。それ以降も猫嫌いの人間には関わりたくないと心から思った。

しかし、そうはいかなかった。その後新たな猫の餌場に遭遇してしまい、そこがいわゆる無責任餌やりの現場だったのだ。つまり、イチゴさんのように、不妊去勢手術をしないといけないという意識を持たず、餌だけやってあとは放置。猫はどんどん繁殖して増えており、私が必死で全頭手術をしたが、常に10匹程度の猫が近隣をうろつき糞尿被害もあり、住民から苦情が出てトラブルになり、行政に連絡したり、警察まで出動されるという実に不愉快な騒ぎに巻き込まれてしまったのだ。

具体的に何が起こったのかは、またコラムを時系列で書き進めていく中で紹介していくが、ここでは一般論として猫の餌やり問題について、私の経験をもとに考えたこと、学んだことを述べてみたい。私もまだ勉強中で、法律や行政の方針を完璧に理解しているわけではないので、ここで述べることは私個人の意見であるということをお断りしておきたい。

猫の餌やりをめぐる問題は日本全国どこにでも起こっている。餌やりさんと猫嫌いの住民のトラブルは後を絶たない。酷いケースは、猫を毒殺したり、虐待したりという犯罪にまで発展してしまっている。猫の命を守りたいというだけでなく、住環境を守るためにも、野良猫問題は根本的な解決が必要だとつくづく思う。
野良猫が減れば餌やり問題もなくなる。要は猫を減らすことが大事なのだ。

そこで、餌やり攻撃や餌やり禁止は、猫を減らすどころか逆効果であると声を大にして言いたい。
時々街で「野良猫が増えるので餌をやらないでください」という看板を見かけるが、それは間違っている。餌をやっても猫は増えない。ご飯を食べただけで妊娠する猫などいない。増える理由は不妊去勢手術をしないからだ。誰が手術すべきなのかという問題はあるが、それは後で述べるとして、とにかく猫の繁殖力はすさまじい。翌年には50倍にもなりえる。四の五の言わず、とにかく手術でそれ以上増やさないことが何より大事だ。

野良猫の不妊去勢手術を進めるためには猫を捕まえねばならない。このコラムでも述べてきたが、一度見かけただけの猫を簡単に捕まえられるわけではない。きちんと毎日決まった時間に餌をやる餌やりさんがいる場所で、毎日決まった時間に来るとわかっている猫しか捕まえられないのだ。それでもなかなか捕獲できず苦労することもある。餌やりを禁止すると、それまで集まって来ていた猫は、餌を求めて散らばり、どこへ行ったかわからず捕まえられなくなる。しかも、餌やりさんを攻撃すると、隠れて餌やりをするようになり、ますますどこに猫がいるかわからずどんどん増えてしまうのだ。

餌やりを攻撃する人は、餌やりが犯罪であると思っているようだ。それは行政による上記のような間違った看板が立てられていることも理由の一つだと思う。勿論、餌やりも手術や片づけを含むマナーを守ったやり方である事が前提だが、私が住む地域では、地方行政が猫の引き取りや殺処分をせず、地域で猫を見守り、手術を進めて猫を減らしていくという地域猫活動を推進しているので、餌やり禁止看板は撤去すると約束してくれたと聞いた。実際に私も公園で昔の餌やり禁止看板を見つけ、役所に電話して撤去してもらった。地域猫活動についてはまた次回。

そもそも野良猫がいるのは餌やりのせいではない。悪いのは猫を捨てた人間だ。人間の住宅街で生活している猫は野生の猫なんかではない。イエネコとして本来は人間と共に家で暮らすべき伴侶動物だ。無責任な飼い主が、捨てたり脱走させて探さなかったりして野良猫になったり、それが子供を産んだ結果なのだ。攻撃するなら、餌やりではなく、猫を捨てた無責任飼い主を探し出して糾弾すべきだ。

猫だって好きで野良猫になったわけでも、好きで外で暮らしているわけでもない。猫の生きる権利を奪うことは誰にもできないはずだ。餌を奪い餓死させろという権利は誰にもないはずだ。

そもそも、私たちは小学校でも幼稚園でも習ったではないか。命を大切に、弱きものを助けようと。それなのに猫がご飯を食べてはいけないと平気で言う人が多い。そのような態度をとるのは毒殺したり、熱湯かけたり殺傷したりする本物の犯罪者だけではなく、普通の常識的な奥様風の人も平気でそう言うのだ。実際私も餌場にいて何度も餌をやるなと怒鳴り込まれたことがある。私はボランティアで手術をし保護活動をしていると言っても、聞く耳持たず、ヒステリックに怒鳴る。上品な顔をした裕福そうな奥様だった。子供には上っ面だけで命を大切にと教えているんだろうなと思った。

猫を嫌いない人がいることも否定はしない。嫌いは嫌いで結構。だからと言ってご飯食べるなと言う権利があるのだろうか。私はその怒鳴り込んできた奥様は大嫌いだが、その人に餓死せよなどと言ったりはしない。命は大切にとか、野良猫にも生きる権利があるとか、小学生でもわかりそうな当たり前のことが、この動物に関しては後進国の日本では通じない大人が多い。

しかし、とあるベテランボランティアさんから学んだことは、猫嫌いの人間と、猫の生きる権利だとか、動物の命の大切さとかについて議論しない、その猫嫌いの人をうまく猫を減らすような活動に巻き込むことだと。
頭では分かったが、今の私にはとてもとてもできそうにない。しかしボランティアだけですべてできるわけではないので、せめて猫を嫌いではない普通の地域住民をうまく巻き込んで地域猫活動を浸透させるしか方法はないと理解し、少しずつ地域へのアプローチも進めている。具体的には次回。

コラムニスト:Candy (キャンディ)
ネコジルシ:保護猫日記
猫の里親募集:勝気で甘えん坊の三毛/スコミックスのメイちゃん

■関連記事
犬や猫の去勢・避妊手術(ペットタウンの保険編集部)
第87話 餌やりへの苦情対応 その2 解決策は地域猫活動(Candy)
ペット保険を探そう!
  • Facebookでシェア
  • Twitterでシェア
  • Google+でシェア
  • LINEで送る
  • このエントリーをはてなブックマークに追加