コラム

第85話 猫道の餌やり苦情問題 その3

2011年の2月に里親として龍馬と凜子を迎えたところから始まった私の猫ライフ(第1話第2話第3話)。その後に自分の不注意で龍馬を脱走させてしまい(第5話から第26話)、その捜索中に出会った沢山の野良猫の避妊去勢手術に関わったことで、猫ボランティアを予定外に始めることになる。最初のきっかけは、2013年11月に猫道と呼ばれる場所にて偶然猫の大群を見かけ(第26話)、人馴れした子猫の保護譲渡や、保護できない猫の不妊去勢手術をしたことだった(第28話から第35話)。その後も餌やりさんからの相談を受け、捕獲、手術を手伝っているうちに色んな事件に遭遇するのだった(第36話から第84話)。

2014年の秋、猫道の餌やりのイチゴさん(第29話)が、近隣から苦情を受け、もう餌やりができないと私に相談してきた時、一時的に私が餌やりに通い(第83話第84話)、餌やりさんの大変さ、大切さを思い知ったことがあった。その時はしばらくして事なきを得たが、またその後もイチゴさんの餌やりへの攻撃が起こった。 

それは最初の事件の1年後の2015年の秋。イチゴさんは猫道で毎日餌やりを続けてくれていて、さらにそこから20メートルくらい離れた場所の空き家でも、他の猫に餌をやってくれるようになっていた。たった20メートル離れた場所でも、猫にとっては別の縄張りなのだ。常連猫以外は入れない。猫社会はシビアだ。
イチゴさんはその空き家の所有者に許可をもらって餌やりをしていた。イチゴさんは餌をやった後 きちんと片づけて行くし、それ以上猫が増えないよう、不妊去勢手術をする必要性も理解しており、耳カットの無い未手術の子がいた場合には私に連絡をくれており、すべての猫は手術済みだったので、周囲から苦情を言われる筋合いは無いはずだと私も思っていた。

ある日、その場所に私がイチゴさんと一緒に猫の様子を見に行った時のことだった。イチゴさんが空き家の庭で餌をやっていると、空き家の向いの大きな一軒家の主婦が2人つるんで近づいて来て、鬼の形相で餌をやるなと怒鳴ってきた。すかさずイチゴさんは、空き家の所有者からは許可をもらっていると言ったが、その2人はそれがどうしたという態度だ。2人はそれぞれに猫が自宅の庭で糞をするのが臭くてたまらない、餌やりたいなら自分ちに連れて帰ってやれと文句を言っている。当時の私は、まだそういう餌やり苦情者にはどういう対応をしたらよいのかの知識があまりなかったので、うまい説得は思いつかなかったが、とにかく、「その猫達は、無責任な飼い主が飼育放棄をして遺棄した猫かその子孫であり、悪いのは餌やりではなく、捨てた人である、猫達はその地域に住み着いており、そこで生きる権利はある、むやみに殺傷することは犯罪である、その猫達は人馴れしていないので家猫にはなれず、その地域で生きていくしかない、すべて不妊去勢手術済みでありそれ以上増えないので、一代限りの命を地域で見守っていくしかない」と、聞きかじったことを一通り説明してみた。イチゴさんも糞尿については自分が清掃するから庭に入らせてくれと言ってみた。しかし、全く相手は聞く耳を持たない。庭にも入れてくれない。繰り返して出てくる主張は、糞が臭いからどこかへ移動させろということだけだった。

猫には縄張りがあるので別の場所へ移動させられない。車で遠くに連れて行くのは別の場所に捨てるのと同じことであり、つまり遺棄罪にあたり犯罪行為である、だから、こちらからその人達の庭に掃除に行くと言ってみたが、それも拒否。全く解決のための話し合いになっていない。つまり、相手は猫が嫌いで、猫を見たくないだけなのであろう。だから掃除をしてもらったところで納得はしない。ただ猫を別の場所に移動させ、自分の目の前から猫が消えればよい、ほかの人の家で糞をすればよいという単なる自己中なのだ。
ヒステリックに糞が臭いのよ!と繰り返す。
その時から2年以上経過した今であれば、もう少し行政の方針や、餌やり苦情への対応の仕方も勉強したので、もう少しうまく対応できたであろうが、当時はそういう経験も知識もないので、うまい策も思いつかず、私は怒りで爆発寸前で、「じゃ、あなたのは臭くないって言うんですか?」と言ってしまった。相手は意表を突かれ、唖然とした顔で言葉を失っていた。未熟だった私はそれで少しだけすっきりしたが(苦笑)、本来は私の気持ちがすっきりすることより、本質的に野良猫問題を解決する方向にもっていかねばならなかったのだが、当時の私は、そこまでの知識も苦情対応のスキルもなく、対猫嫌いの人間の活動はする気など毛頭なかった。イチゴさんも怒りと恐怖で、もう帰ろうと私に言い、私たちはその場を去った。イチゴさんはそこには二度と行きたくないと言ったが、そこの猫が不憫なので、もう少し話し合いをしてみようと勧めるも、イチゴさんの答えはノーだった。イチゴさんは猫道で餌やり攻撃をされたときに一度餌やりをやめようとしたことがある(第83話)。また止めると言われても困るので無理強いはできず、仕方なく私も諦めた。結果的には数か月後に、そこの猫たちの殆どは猫道に来るようになり、ホッとしたのだった。

苦情者は見たところ40代後半の大きな家の裕福そうな奥様だ。それが食べ物も寝床もない野良猫を不憫に思って年金から餌代を捻出してくれている70代の老人を怒鳴る。これは私が近隣で経験した餌やり苦情問題の典型的なパターンだ。悲しいかな、我が町ながら、裕福な人ほど冷淡な町という印象を抱きかけている。 

日本全国 野良猫の餌やりをめぐるトラブルは後を絶たない。それは、野良猫問題は、猫好き対猫嫌いの問題ではなく、地域で対応すべき環境問題であるということ、そして、餌やり禁止をしても猫は減らないどころか逆効果であることが理解されていないからだ。どう対応していくべきなのかを次号でゆっくり説明したい。
続く。

コラムニスト:Candy (キャンディ)
ネコジルシ:保護猫日記
猫の里親募集:勝気で甘えん坊の三毛/スコミックスのメイちゃん

■関連記事
犬や猫の去勢・避妊手術(ペットタウンの保険編集部)
第86話 餌やりへの苦情対応 その1 餌やり禁止は逆効果(Candy)
ペット保険を探そう!
  • Facebookでシェア
  • Twitterでシェア
  • Google+でシェア
  • LINEで送る
  • このエントリーをはてなブックマークに追加