コラム

第83話 猫道の餌やり苦情問題 その1

2011年の2月に里親として龍馬と凜子を迎えたところから始まった私の猫ライフ(第1話第2話第3話)。その後に自分の不注意で龍馬を脱走させてしまい(第5話から第26話)、その捜索中に出会った沢山の野良猫の避妊去勢手術に関わったことで、猫ボランティアを予定外に始めることになる。最初のきっかけは、2013年11月に、猫道と呼ばれる場所にて偶然猫の大群を見かけ(第26話)、人馴れした子猫の保護譲渡や、保護できない猫の不妊去勢手術をしたことだった(第28話から第35話)。その後もその猫道とパンジー公園の2か所の餌場で餌やりをしているそれぞれの餌やりさんからの依頼があれば捕獲、手術を手伝い、色んな事件に遭遇するのだった(第36話から第78話)。

2014年の秋、猫道の餌やりのイチゴさん(第29話)から久しぶりに連絡があった。猫道は私が猫の大群を発見して不妊去勢手術、保護譲渡を初めて体験した場所だ。一気に手術を終えたその場所に保護してやれない猫が約10匹残っており、毎日イチゴさんが餌をやり、新たに未手術の猫が現れたら私に連絡くれることになっていた。また、連絡がなくても、猫道の猫のことはすべて顔と名前を覚えていたので、私も気になり、時々現場に様子を見に行っていた。そしてその後もまた数匹の猫の手術をした。

一度一気に手術してしても、餌がある場所にはたまに新参者が現れる。猫には縄張りがあるので、よそ者が受け入れられることは滅多にないが、たまに要領よく古株猫に受け入れてもらい、ちゃっかり餌場の常連となる猫がいる。そういう猫はきっちり手術をしていくことが大事だ。猫の繁殖力についてはこのコラムでも何度も言及したように、1匹逃しただけであっという間にまた増えて、元の木阿弥になってしまうことも多いのだ。不妊去勢手術は、徹底的な全頭手術と、その後の定期的なメンテナンスが欠かせない。

捕獲、手術なら、私のスキルも上がったし、イチゴさんが毎日餌をやっていてくれるお陰で、猫は餌の時間に集まってくるので捕獲しやすく、さほど苦にならなかった。このくらいのボランティア活動なら多忙な私にも続けていけそうだと思い始めていたところだった。対応する相手は猫と猫好きの餌やりさんだからだ。

ところが、対猫嫌いの人間が関わってくるとそうはいかない。彼らはとにかく理屈はなく猫が嫌いなので、猫だけでなく、猫の味方の人間までも攻撃してくるので、神経参ってしまうような場面に遭遇するからだ。当時の私は、まだSNSなどやっていなかったので、猫ボラの中でも、猫の手術、保護譲渡以外についてはあまり知識はなかったが、動物愛護法の法律改正に向けての活動や、動物虐待、対行政、対猫嫌い、餌やりへの苦情問題など、人間を相手にする活動もあると、うっすら認識していた。猫道にも周囲に猫嫌いがいて、餌やりに苦情を言われたり、また寒さよけに作った小屋を捨てられることもあったが、とりあえずは特に大きな問題にはなっていなかった。
また、忽然と外猫が消えるという事件(第62話)が頻発した時も、警察に訴えても何もしてもらえず、私にはそれ以上、どうすることもできなかった。
    
今回のイチゴさんからの相談というのは、イチゴさんに直接餌やりへの苦情がきて、もう続けられないという内容だった。イチゴさんが住むマンションの管理人から餌やりをやめるようにという手紙が届いたと。マンション内の猫嫌いの誰かが管理人を使って苦情を訴えたのであろうと。そしてそれが誰なのかイチゴさんはわかっているとのことだった。そして、イチゴさんは娘さん夫婦と同居しており、娘さんからマンション内で問題を起こしてくれるな、餌やりやめろと言われるようになったとのことだった。

猫道は車の通らない細道で公道である。マンションに隣接しているので猫は行き来はするが、マンションの敷地内で餌やりをしているわけではない。敷地内ならともかく、外でしている行為について、管理人が住人にとやかく言う権利があるのだろうかと思ったのだが、猫による糞尿被害は、猫嫌いな人にとっては格好の餌やり攻撃の口実となってしまう。イチゴさんはきちんと餌の片づけをする人だったが、近所を回って糞尿まで清掃していていたわけではなかった。今の私なら、同じようなケースに何度も遭遇し、色々勉強し、対処の仕方も少しは心得てきた(それはまた後日伝授します)が、当時は何も知らないし、とにかく猫の手術を請け負うだけで精一杯だ、対猫活動ならともかく、対人間、特に、対猫嫌いの人間の活動なんか真っ平ごめんだと思っていた。

しかしながら、イチゴさんに餌やりをやめられたら猫が不憫だ。猫スポットとして近隣で知られている場所なので、たまに遊びにきて気まぐれに餌をやっていく無責任餌やりはいても、毎日決まった時間にきちんと餌やりをしてくれるのはイチゴさんだけだ。イチゴさんに餌やりをやめられると私も困る。知らん顔はできず、猫ボラの先輩にメールで相談すると、保健所に相談して間に入ってもらって話し合いをするしかないとのことだった。それをイチゴさんに伝えると、保健所を呼ぶということがとても大騒ぎを引き起こしているように思えるのか、それは嫌だという。話し合いなんかしたところで、わかり合えるような人じゃないと。その後にも別の場所で、餌やり苦情について相談を受けたときも、全く同じことを言われたことがあるが、役所を関わらせることを拒否する餌やりさんは多い。では、私が管理人と話をするのがいいのか。でも関係ない私が行って何を言ったらよいのか、当時の私は思いつかなかった。
第一イチゴさんが、騒ぎを大きくしたら娘に追い出される、だから何もしないでと涙声で言うのだ。イチゴさんが猫のことを心配しているのはわかるが、生活ができなくなるようなことを強いるわけにもいかない。かと言って、仕事が遅くまである私が、毎日夕方餌やりに通うことは不可能だ。

正直言って、物理的な問題だけではなく、餌やりは私にとっては精神的に辛いのでやりたくないと思っていた。餌をもらいに来ている外猫達は、人馴れもしていないし、保護して里親をみつけてやれるわけではない。このまま生涯を外で暮らすのだ。台風が来ても雨露しのげる家もない。雪が降っても暖をとれる場所もない。明日のご飯も保証はない。病気になっても医療は受けられない。衰弱して来たら、ひっそりと死に場所を探しに行く。誰にも看取られず孤独に苦しんで息を引き取るしかないのだ。または事故か虐待かで平均3歳から5歳で亡くなる。いずれにしても過酷な生涯しかない。それを毎日目にするのは辛いのだ。一体どうすればよいのか途方に暮れた。
続く。

コラムニスト:Candy (キャンディ)
ネコジルシ:保護猫日記
猫の里親募集:勝気で甘えん坊の三毛/スコミックスのメイちゃん

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