コラム

第80話 パンジー公園の新入り親子の切ない話 その4 3匹目 フワフワの運命

里親として龍馬と凜子を迎えたところから始まった私の猫ライフ(第1話第2話第3話)。その数年後に自分の不注意で龍馬を脱走させてしまい(第5話から第26話)、その捜索中に出会った沢山の野良猫の避妊去勢手術に関わったことで、猫ボランティアを予定外に始めることになる。最初のきっかけは、脱走した龍馬を発見した半年後の2013年11月に、猫道と呼ばれる場所にて偶然猫の大群を見かけ(第26話)、人馴れした子猫の保護譲渡や、保護できない猫の不妊去勢手術をしたことだった(第28話から第35話)。主な活動は、その猫道と、近所の公園で餌やりをしているシマコさん(第26話)からの依頼があれば捕獲、手術を手伝うことだった(第36話から第78話)。

2014年の秋。
シマコさんからの相談で、子猫3匹を捕獲、不妊去勢手術した(第77話)。そのうち2匹はその半年後にひき逃げ事故で亡くなってしまった。(第78話)。それから約1年後の2016年初頭。兄弟のうち、たった1匹残ったフワフワも事故に(第79話)。それもまたひき逃げで下半身をひかれ歩けなくなっていた模様。事故現場に居合わせたシマコさんは病院に運び、翌日になって私に連絡してきた。

私にとってもそれまでで最大の難問。私自身もどうしたらいいのかもわからないまま、とにかく猫の状態を確認するため病院に電話する。先生によると、どうやら下半身をひかれ骨盤骨折をしている。内臓はとりあえず大丈夫そう。骨盤の手術をしても歩けるようになるかどうかは、神経の検査をしなければならない。その検査はMRIのある病院に運んで見なければならない。骨盤の整形手術をするとしても、設備の整った大きな病院でなければできない。手術をしたとしても歩けるようになるかどうかもわからない。そして、その大病院は非常に高額で、野良猫割引も一切ない。その骨盤の整形手術だけでも最低でも50万はかかるだろう。他にどんな治療が必要かわからないから、総額でいくらかかるかわからない、そしてそこまでして手術しても治るかどうかもわからないというのだ。
聞いているだけで目が回りそうだった。

まず、今の猫の状態は、ぐったりしているのか苦しんでいるのか、と聞くと、痛みはあるだろうが、ぐったりどころか、シャーシャー威嚇してくると。シマコさんは連れてきたものの、自分にはどうしようもないので、簡単に治って外に放せるわけではなかったら安楽死を考えてくれと言ってきたそうだが、とてもそんなことできる状態ではないと。
とにかく今のままでは何の判断もつかないから暫く預からせてくれ、と先生は言ったそうなのだ。何もしないで安楽死させるなら、どうして僕の所に連れてきたのかと思いますよ、と先生。

そりゃ、そうだ。いかに重症でも元気よく威嚇してくる猫の命を止める決断を医者が早々に下す事など到底できるわけはない。先生の気持ちもよくわかるが、そう言わざるを得なかったシマコさんの状況も理解できないでもなかったので、私もとても苦しかった。
先生が預かると言っても、先生自身が手術できるわけではないのに、どうするつもりだったのかわからないが、日ごろから野良猫割引をしてもらってお世話になっている先生だ。預かってくれるんですね、ありがとう、お願いします、と言って知らん顔できるわけもなかった。

とにかく、私に何ができるか考えるので、とりあえず、その猫の苦しみを減らすための痛み止めの処置だけは早急にお願いしますと言っておいた。
先生は驚いたように、本当にいいんですか、いくらかかるかわからないんですよ、それでも治るかどうかわからないんですよ、と念をおした。
その時の私の気持ちとしては、本当にいいかどうかわからない、ただ、知ってしまった以上、自分に出来ることはないかすべての選択肢を考えてみることをしないという事ができなかった。

お金の心配ももちろんあるが、当時SNSもやり始めていて、猫グループにも所属していたので、ときどき「重症の猫を保護したので、手術代を支援してください」と言う呼びかけをしている記事を見たことがあった。いざとなったら私も支援を呼びかければいいだろうと考えた。お金のことより心配だったのが、生き延びて障害が残ったら、この子は里親さんが見つかる可能性があるのか、貰い手がなかった場合、留守がちな私にこの子の面倒が見れるのかということだった。まずは経験者を探そうと思った。

そういえば、そこに手作りの車いすを付けて走り回っている猫を保護している人がいたなぁと思いだした。その子は下半身不随でおむつをつけていた。連絡して、どういう経緯だったのかを聞いてみたが、その猫は事故で手術をしたのではなく、保護した時から下半身不随だったと。その人の知り合いにやはり交通事故で下半身不随になった猫を保護している人がいると教えてもらい、連絡を取ってみた。その人もひき逃げされて倒れている猫を保護したのだそうだ。やはり手術をするかどうか悩み、医師に相談した結果、手術をしても治らない可能性が高いと言われ、手術をせず自分で引き取ったと。その猫は前足だけで器用に動き回るようにはなったが、自分で排泄ができないので、圧迫排泄をしてやらないといけないのだと。しかもその人はもう1匹圧迫排泄をさせなければならない猫を抱えているとのことだった。この二人には本当に頭が下がる思いだった。

しかし、それが自分にできるのかと考えると、遠距離で親の介護も抱え、仕事の多忙な自分にできるとは思えなかった。
それで、次にそのような猫を里親に出せる可能性についても、問い合わせてみることに。
当時は、後日また書くが予定外に保護することになってしまった親子猫がいたので、ある里親会に参加させてもらうことになっていたのだ。その会の主催者に事情を話し、下半身不随になってしまった子は、里親さんが見つかる可能性はあるのかと聞いてみた。その人は、里親会と言うものは何があるかわからないもの、奇跡も起こりうる、保護してあげてほしいが、それは保護主が決めること。万一安楽死などという決断をしたならば、それはそれで仕方ないが、その時は自分も耳には入れないでくれと。
当時の私には譲渡経験が少なく、里親会で奇跡が起こりうることは実感できなかったが、自分の耳に入れないでという気持ちもわかるような気がした。私も結局、知ってしまったのがゆえ、こんなに苦しい思いをしている。しかし、奇跡が起こりうるなら、お金は支援を募りながら、やってみる価値はあるのではないかと思ったのだ。

とにかく私の中では、フワフワは子猫の時に、家猫になれたかもしれないのに救われなかった(第77話第78話)ことがどうしても心にひっかかっていたのだ。外に放したのは私の決断ではないが、その償いに一度はチャンスを与えてやらなければ私の心のつかえがとれないと思った。

コラムニスト:Candy (キャンディ)
ネコジルシ:保護猫日記
猫の里親募集:勝気で甘えん坊の三毛/スコミックスのメイちゃん

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