コラム

第7話 龍馬脱走事件 その3

脱走事件の続きを書く前に一言。
脱走事件が長編になってしまっているが、それには訳がある。ネットでも「猫が脱走しました」とか「迷い猫発見」という書き込みが後を絶たない。殆どが飼い主の不注意だ。気づかずに窓を開け放したというケースならまだしも、犬のようにドライブや散歩に気軽に連れていって、何かの物音に驚いて猫が想定外の行動をとり、逃げてしまったというケースもある。
現在の私の主なボランティア活動はTNRといい、野良猫を捕まえて(Trap)不妊手術をし(Neuter)元の場所に放す(ReleaseまたはReturn)ことだが、その活動中にも飼い猫と思われるような人慣れした猫に遭遇することが多々ある。
つまり、脱走対策を怠ったり、ペットがいなくなっても十分探さない無責任な飼い主が本当に多いということだ。
私だって脱走させてしまったのだから人のことは責められない。猫の脱走はちょっとした不注意で誰にでも起こり得ると声を大にして伝えたい。折角このコラムを書く機会を頂いたので、私の苦い経験を皆さんに知ってもらい、少しでも不幸な猫を減らすことに繋げたいので、私の体験を1話にまとめて、「大変でした、気を付けましょう」で終わりするのではなく、脱走事件が飼い主にとっても、猫にとっても、周囲にとっても、どれだけつらく苦しく迷惑なことなのかを、物理的、精神的、時間的、経済的などあらゆる角度から本当に実感してもらうため、実際に起こったことと、その都度私の精神状態がどう変化していったのか、反省も含めて、具体的にお知らせしたいと思う。(勿論、登場人物のプライバシーには配慮した上で)。実際、事実は小説よりも奇なりで、検索して出てきた事例や、相談した何人かのベテランボランティアや猫探偵などの助言も当てはまらない部分が多かった。
脱走事件編が長くなるが、これを読んで下さるすべての飼い主さんに、さらに気を引き締めて脱走対策を講じ、万一脱走させた場合はどんなことをしても必ず見つけ出してもらい、不幸になる猫が少しでも減ることを願う。

龍馬脱走事件の続きに戻ろう。
平和に過ぎていた猫との日々(参照:第1話第2話第3話)が、龍馬の脱走を以って一瞬にして地獄に変わり(第5話第6話)、その日から壮絶な捜索の日々が始まった。
脱走後24時間ぶりに龍馬の姿を発見したものの一瞬でまた見失い、意気消沈しているところに、譲渡主でベテラン猫ボランティアのSさん(第1話)が深夜にも関わらず捕獲器を3台持ってうちに来てくれた。
捕獲器とは要するに罠である。野良猫の不妊手術をする為にボランティアさんがよく使う。野良猫は殆ど手で捕まえるのは不可能なので、この罠をしかけ、中に猫が好きそうな匂いのする餌を入れて、猫が入ってくるのを待つ。勿論、これは野良猫がさらに不幸な命を産まないよう上記に描いたTNRを目的にしているので、動物救済のために行う捕獲である。野良猫が嫌いだという理由で捕獲して他の場所に移動させることは遺棄行為に相当するので、虐待は勿論、遺棄も犯罪であり、犯罪目的で捕獲器を使用することは禁止されている。
捕獲器は使い方を間違えると猫が怪我をするとSさんに言われ、緊張しながら設置法を習った。
まずは龍馬が飛び降りた場所に1台設置。そこはマンション敷地内だが、普段は人が出入りできない場所。朝になって管理人さんが出勤してくるのも待てず、深夜に塀を乗り越えて侵入した。その他、マンション周辺で猫が隠れそうな所を、Sさんに指示してもらい2台設置した。
Sさんはボランティア歴も長いので、色んな猫の脱走事例を知っている。
警戒心が強く頭が良い龍馬の場合、よほどお腹が空かないと捕獲器には入らないだろうが、捕獲器以外では絶対に捕まらないとSさんに念を押されていた。(第6話

眠れぬまま、朝5時、ドキドキしながら捕獲器の確認に。
何と3台の捕獲器の内2台に猫が入ってる!!2匹とも龍馬と同じキジトラだ。
娘を起こし一緒に威嚇しまくる野良猫を確認するが、龍馬ではなかった。がっかり。

【捕獲した野良猫】
第7話 龍馬脱走事件 その3

しかし、がっかりして捕まった野良猫をそのまま放してはいけないのだ。猫の繁殖力はすさまじく、1年で2~3回、一度に5~6匹産むこともある。このペースでいくと1年後には10倍になることもあり得る。
ボランティアのSさんには、不妊手術をしていない野良猫が捕まったら手術してほしいと言われていた。Sさんの地域には行政からの助成金もあり、ボランティアの為に安く手術してくれる病院にSさんが搬送するので、私には手術代を出してほしいと言われた。
空腹に耐えかねて捕獲器に入った情けなさそうな野良猫の姿を見ると、外での野良生活が幸せとはとても思えない。不幸な命を増やさないことには賛同するので、私は了解した。
その時はそんなつもりはなかったが、それがきっかけとなってのちに私自身が猫ボランティアを始めることになった。
続く。

コラムニスト:Candy (キャンディ)

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