コラム

第79話 パンジー公園の新入り親子の切ない話 その3 3匹目フワフワの事

里親として龍馬と凜子を迎えたところから始まった私の猫ライフ(第1話第2話第3話)。その数年後に自分の不注意で龍馬を脱走させてしまい(第5話から第26話)、その捜索中に出会った沢山の野良猫の避妊去勢手術に関わったことで、猫ボランティアを予定外に始めることになる。最初のきっかけは、脱走した龍馬を発見した半年後の2013年11月に、猫道と呼ばれる場所にて偶然猫の大群を見かけ(第26話)、人馴れした子猫の保護譲渡や、保護できない猫のTNR(=捕まえて、不妊去勢手術をし、元も場所に戻すこと)をしたことだった。(第28話から第35話)。多忙な日々ゆえ大掛かりな活動はできないので、その猫道と、近所の公園で野良猫に餌やりをしているシマコさん(第26話)からの依頼があれば捕獲手術の手伝いをすることだけ続けていた(第36話から第78話)。

2014年の秋。
シマコさんから依頼を受け、近所のハワイさんと共にパンジー公園で子猫3匹を捕獲し不妊去勢手術へ(第77話)。手術後子猫3匹は公園に戻したものの、2匹は間もなく事故で亡くなってしまったと聞く(第78話)。どちらもひき逃げだった模様。ちゃんと供養してもらえたかもわからず、私もシマコさんも胸の痛みが暫く治らなかった。シマコさんは、餌やりを止めようかしらと悩んでいたが、いやいや、待ってよ、交通事故は餌やりのせいではないし、餌やりをやめたら、毎日待っている子達が不憫だ。雨が降ろうが槍が降ろうが毎日餌やりに通ってくれるシマコさんには労いの気持ち以外ない。お願いだから、体を大事にして、一日でも長く餌やり頑張ってね、と日々励ましている。

1匹だけ残った子猫、フワフワちゃんは暫く元気に餌場に通ってきていた。時は経過して捕獲して手術してから1年半以上、兄弟が相次いで事故死してから半年以上経過した2016年の始めのことだ。このフワフワちゃんもまた悲惨な事件に巻き込まれる。

フワフワちゃんは心細いのか、餌やりのシマコさんのストーカーと化し、シマコさんの家を覚え、バス通りを渡って来るようになってしまった。餌やりの時間でもないのに、シマコさんの家の周りで頻繁に見かけるようになり、危ないからバス通りを渡ってはダメと言い聞かせようとしても、この子には通じない。この子は兄弟が次々死んでしまって寂しいのだろう、家猫になりたいのかなと思うと泣けてくる。きっとこの子は、子猫の時に捕獲して病院に行ったときに、人馴れするかもと言われた子だったのだろうなぁ(第77話)。私は病院には付いていかなかったので、そのような話があったことも暫く知らなかったし、当時は丁度保護譲渡は二度としたくないと思っていた時だったこともあり、自分が当時その場で直接その話を聞いてしまったら一体どうしたのか今となってはわからない。それでも、家猫になれる可能性があったと知ってしまって以来、無事で生きているか心配で仕方がなくなった。
とはいえ、手術して外に放してから1年強たったその頃には、フワフワもすっかり近付くと逃げる立派な野良猫になってしまっていたので、もう飼い猫にはなれなかっただろう。
本当に外にいる猫が家猫に昇格できるチャンスはほんの一瞬なんだなぁと思い知った。

それから暫くした2016年2月のことだ。シマコさんから電話。実はあのフワフワも交通事故に遭ったと。え、また?3兄弟全てだ。しかも2匹目と同じ場所で。今回はシマコさんが目撃したと。餌やりのあとでシマコさんについて来ようとしたのか餌場の近くの道路で、シマコさんはドンという大きな音を聞いて振り返ると、フワフワちゃんが事故に遭い倒れていたと。そしてまた車だったかバイクだったかが、知らん顔で通り過ぎたというのだ。フワフワは下半身をひかれ動けない様子、それでも必死で威嚇してきたと。フワフワは自分の体が動かず身動き取れなくなり、恐怖の余り痛みをこらえながら必死で威嚇したのだろう。シマコさんは自宅からキャリーを持ってきて、威嚇するフワフワを何とか素手でキャリーに押し込め病院に連れて行ったというのだ。

このころのシマコさんは、いつもなら猫のことで困ったことがあるとすぐ私に連絡してくるのに、その時は私に言わず、自分で病院に搬送し、それでもその後どうしたらよいのか困り果てて、翌日になって私に電話してきたのだった。シマコさんなりに私に遠慮したのだろう。捕獲して手術したいという話ならすぐに終わるので、いつも私に助けを求めてくるが、交通事故となるとお金の面でも、その後どうするかについても簡単な話ではない。相談したら大変なことに巻き込んでしまうので遠慮したのだろう。しかし、シマコさんとて何か策があったわけではなく、翌日になってどうしようもなく、私に連絡してきたのだろう。

電話で聞いた途端、私はパニックした。当時の私に(今でも)そんな難易度高いケースは直面した経験はなかった。どうしたらよいのかわからないが、とにかく、とにかく、病院に電話して猫の様子を聞かなければ…。だけど、聞いてどうするのか?私に何かできるのか?いや、いや、出来るとも思えない。整形手術、入院となるとでお金の心配もあるが、それより、その後がもっと心配だ。命をとりとめても障害が残ったらどうする?うちではとても面倒見られない。障害が残らなくても、長期入院したあとでは外に戻せない。すっかり立派な野良猫になってしまったフワフワに里親さんなど見つかるのか…。どうにもできそうにない。でも、シマコさんは私よりもっとどうにもできないことはわかっているので、見捨てるわけにはいかない。

電話の向こうでシマコさんはしきりに私に、迷惑かけてごめんねごめんね、と謝り、もう自分は餌やり止めた方がいいのではないか、フワフワは生き延びない方がいいのではないかと涙声だ。シマコさんには何も責任はない。
悪いのはひき逃げ犯であり、元はといえば捨て猫をした人が悪いのだ。
電話を受けた私は、その日にすぐに私に連絡して来なかったシマコさんの気持ち、一日経過してそれでも私に連絡してしまった気持ち、どうにもしてやれないのに、それでも病院へ運んだ気持ち、助けたい気持ちと生き延びたらどうしようという気持ち、餌やり止めようということしか思いつかない気持ち、痛いほどわかったし、それと痛みと戦っているフワフワのことが心配で、とにかくちょっと待って、猫の状態を病院で確認するから、と言うのが精一杯だった。
続く。

コラムニスト:Candy (キャンディ)
ネコジルシ:保護猫日記
猫の里親募集:勝気で甘えん坊の三毛/スコミックスのメイちゃん

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