コラム

第75話 号外 譲渡条件解説 その13

2011年2月に里親として龍馬と凜子を迎えたものの(第1話第2話第3話)、その数年後に自分の不注意で龍馬を脱走させてしまい(第5話から第26話)、その捜索中に出会った沢山の野良猫の避妊去勢手術に関わったことで、野良猫救済ボランティアをすることになった。その経緯を時系列でコラムに書き始めて第62話まで来たが、櫂君の里親募集を機に(第63話)里親条件について解説しておきたく、号外を出すことにした。

私が課している里親さんへの譲渡条件は第64話に記した通り。第63話から第73話までで、終生飼育義務、ペット可住宅、留守番が少ない事、うちから1時間以内、定収入があること、完全室内飼育、適切な飼育環境の維持、完璧な脱走対策、決定前のご自宅訪問、医療費一部負担、避妊去勢手術、健康管理、高齢者、一人暮らし、同棲者不可について説明してきた。今回もその続きを。

条件14、小さい子供のいない家庭、戸建てよりマンション、賃貸より持家優先

これは絶対条件ではなく、優先すると言うことなので、これに該当したからといって里親として不適格と言うことでは無い。理由は明白だと思うが、一応解説しておくと、小さい子供がいない家庭と言うのは、子供は特に最初は猫をかまいすぎる傾向にある。月齢の低い子猫などはあまりかまいすぎると睡眠が取れず衰弱してしまう。追いかけまわしたり、おもちゃにしたりすることもあると聞いたことがある。何歳以上だったらいいのかは難しい。はっきり言って子供の躾によると思う。

私も小学生のお子さんがいる家庭に譲渡した事はある。勿論以前の条件にも書いたように、家族全員との面談をさせてもらっているので、お子さんにも会い、しかもお子さんとお母さんが一緒の場で会ったので、お母さんの躾の仕方も見えてくる。それで安心して譲渡した。年齢が上がればよいのかということでもない。そうなると親の居ない時間に猫と留守番することも増えてくるので、一人の飼い主として大人同様の審査が必要になってくるのだ。一番多い問題は、小学校高学年になって、留守番するようになり、沢山の友達が遊びに来て出入りする際、きちんとドアが閉められていなかったことにより、猫は脱走、子供たちはゲームに熱中し、親が帰宅するまで猫がいなくなっていることに気づかないと言うケースだ。そうなると中学生未満のお子さんがいない家庭の方が安心ではある。

一戸建てよりマンションの方が優先と言う事について。
これは単純にマンションの方が脱走しにくいからと言うだけである。一戸建て、特に昔ながらの一戸建てはいくらでも脱走できる場所があり、対策もマンションよりは立てにくい傾向にあるからだが、対策できれば全く問題ない。

賃貸よりも持ち家の方を優先すると言う条件について。
それも単純に持ち家の方が今後引っ越しをする可能性が少ないからだ。折角最初の条件に、うちから1時間以内と言う指定をしてあるので、その後もうちの近隣から引っ越して欲しくない。ただそれだけである。理由は、以前にも述べたように、何かあったら行かねばならない。特に私が里親としてやってしまったように、猫を脱走させると、捜索の手伝いに行かねばならない。行かねばならないと言うよりは、心配のあまり行かないではいられないのだ。だから近い方が有難い。しかし、賃貸の人にも譲渡したことはある。里親さんは、一生賃貸派であり、今後も引っ越しの可能性はないと言っていたが、最近 近隣で引っ越ししましたと連絡があった。子供もいないし、引っ越し予定はないと言われていたのに、少し広いところに引っ越したと言われたので、私は、猫のために引っ越してくれたんだわ、と勝手に解釈して密かに喜んだ(笑)。

以上沢山の条件を並べてみたが、相当厳しい条件のように見えるだろうか。ここで実験。

条件パターン1 
1、終生愛情をもって飼育。
2、ペット可住宅。
3、お留守番が少ない(子猫や甘えん坊の場合)
4、うちから一時間以内。
5、定収入があること。
6、完全室内飼いのこと。
7、適切な飼育環境を維持。
8、完璧な脱走対策をすること。
9、決定前にご自宅の訪問させて下さることと、ご家族全員に合わせて下さること。
10、医療費の一部を負担。
11、子猫の場合、時期が来たら避妊去勢手術をすること、
12、毎年のワクチン、定期的な健康診断、必要に応じて医療を提供すること。
13、高齢者、同棲者は不可。
14、必須条件ではないが、小さい子供がいない家庭、賃貸より持家、一軒家よりマンション優先。 

条件パターン2
終生愛情を持って家族として適切な環境で飼育する。

パターン1パターンにを比べてみてほしいどちらが厳しく見えるだろうか。誰もが一見してパタン1の方が厳しいと答えるだろう。
しかし、これは全く同じことを言っているのだ。

細かく具体的に条件を指定した方が、解釈に相違が出てもめることがないので安心であるという考え方で私は細かく指定している。

契約書もそうだ。譲渡主の中には、意図していることはパターン1のような条件なのだが、誓約書には一行、「終生愛情を持って家族として適切な環境で飼育する」としか書いていないと言う人もいる。ご本人曰く、だって、愛情を持って適切な環境って書いてあるんだから、これでいいでしょと。

いやいや、現実の社会ではそうはいかないものだ。もちろん、保護猫を迎えようと言ってくれる人なのだから、ほぼ全員が善意で、愛情を持って可愛がってくれる人だとは思うが、愛情を持つとか適切とか、抽象的な言葉では解釈に幅を生んでしまう。譲渡主は室内飼いが適切な環境を持った飼育だと思っていても、命の危険があったとしても出入り自由にした方が愛情だと言われるかもしれない。不適切に狭い空間に押し込めた飼育だとこちらは思っても、可愛がっていますよ、と言われてしまうかもしれない。それでは契約書の意味がないのだ。

だから一般社会でも解釈に幅ができないように、契約書の文言については当事者が、それぞれの立場で検討し協議するものなのだ。里親さんが、そういう社会通念を理化してくださっている人だととても話が早い。これまでは会社員のご家庭という里親さんが多かったので、譲渡の際に、とても長い契約書ですが、びっくりしないでくださいね、と前置きをしてから見せて署名をしてもらうが、一度も私の契約書の文言に異議を唱えられたことはない。ご自分の仕事をする中で、契約書に触れた経験のある人ならば、とても一般的な契約書であることは理解できるはずである。

先日もある社会経験豊富な里親さんに譲渡をした時も、「とても普通な契約書ですよ」と言っていただき、私は自信を持ってこの条件で今後も安心した譲渡をしたいと思っている。

コラムニスト:Candy (キャンディ)
ネコジルシ:保護猫日記
猫の里親募集:勝気で甘えん坊の三毛/スコミックスのメイちゃん

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