コラム

第73話 号外 譲渡条件解説 その11

2011年2月に里親として龍馬と凜子を迎えたものの(第1話第2話第3話)、その数年後に自分の不注意で龍馬を脱走させてしまい(第5話から第26話)、その捜索中に出会った沢山の野良猫の避妊去勢手術に関わったことで、野良猫救済ボランティアをすることになった。その経緯を時系列でコラムに書き始めて第62話まで来たが、櫂君の里親募集を機に(第63話)里親条件について解説しておきたく、号外を出すことにした。

私が課している里親さんへの譲渡条件は第64話に記した通り。第63話から第72話までで、終生飼育義務、ペット可住宅、留守番が少ない事、うちから1時間以内、定収入があること、完全室内飼育、適切な飼育環境の維持、完璧な脱走対策、決定前のご自宅訪問、医療費一部負担、避妊去勢手術、健康管理、高齢者不可について説明してきた。今回もその続きを。

条件13、高齢者、一人暮らし、同棲者不可
高齢者については第72話で述べたが、今日は一人暮らしについて。
この条件は一番悩むところ。一人暮らしそのものが悪いわけではないし、一人暮らしだからこそ猫を飼いたい気持ちもよくわかる。私も老後は一人になっているかもしれないし、そしたら絶対猫と一緒に暮らしたい。

しかし自分が苦労して保護し育ててきた猫を託す相手として考えたときに、やはり家族で暮らしている人と比べると条件としては見劣りするし、不可としている譲渡主も少なくない。それは確率の問題として、家族が複数いた方が、誰かに何かあっても残った家族が猫の面倒を見れるとか、日々の生活の中で、猫が急に具合が悪くなっても誰かが病院に連れていける、そして一人暮らしだと、どうしてもフルタイムで仕事をしているだろうから、留守番が長くなりがちと思ってしまうのだ。

それだけことなので、一人暮らしそのものが悪いことではない。だから、私は猫によっては一人暮らし不可をはずし、幅広く募集することもある。もちろん、子猫や甘えん坊ではない大人猫で、できれば2匹以上で迎えてくれる人だと条件を緩めやすい。里親さん側も、高齢者と一緒だが、自分の状況とそれが猫に与える影響を考えてほしい。高齢者や一人暮らしなのに、子猫がほしいなどと言わないでほしい。それをわきまえて大人猫を希望してくれる人は、猫のことを良く考えてくれていると思えて安心するのである。

実際、大人猫で一人暮らし不可を外して募集したことはあるが、たまたまどの子も、これまでご家族に迎えられていった。今募集しているメイは3歳過ぎているし、人間は好きだが一人の留守番でも耐えられないという子ではないので、一人暮らしでも可としようかと思っている。しかし、その際は仕事で長時間留守にせず、具合が悪くなった時には病院に連れていく時間に余裕がある人が望ましい。しかし、だからと言って短時間のアルバイトしかしていないと経済的に不安が残る。なので、一人暮らしの場合は他の条件と合わせて総合的に判断することにしている。

そして同棲者不可。
これは同棲というものに対する私の価値観が左右している可能性も否定はできないが、これを不可としている譲渡主は少なからずいる。私は古い価値観で同棲の良し悪しを語るつもりはないが、譲渡条件として、今後20年以上猫を絶対に幸せにするというコミットのできる人を求めているのに、法的コミットをする結婚を決めないまま、とりあえず一緒に住んでみよう的な発想を持っているのであれば、本当に何があっても終生適切な環境で愛情を持って飼育する義務を守れるのかの見極めは難しいと思うのだ。猫を生涯引き受けるからには、熟慮して生涯のコミットをしてほしいのだ。とりあえず一緒に住んでみよう、とりあえず猫を飼ってみようというような発想で里親に手をあげてほしくないのだ。

もちろん同棲している人全員が熟慮しないで決断する人とは限らないが、私はそういうリスクをたった1%であってもとるわけにはいかないので、避けたいと思うのだ。

同棲しているかどうかということより、その里親さんの生活環境がどう変わるかわからないということが問題なのだ。なぜ結婚でなくて同棲なのかは関知しないが、少なくとも結婚するかどうかわからないから同棲しているのであろう。ということは、その人が、その後どんな人と結婚してどんな生活になるのかわからないということだ。それよりは、結婚していても独身主義でも良いが、人生がある程度固まっている方が、こちらとしても判断しやすい。では若い人はダメということか、というと、人生が固まっていないという点ではやはり避ける条件だと思う。

以前、私がまだ新米で里親会で誰にどのように対応して良いのかよくわからず不安だった頃、先輩が希望者に対応する様子をじっと観察していた。ある時、若い女性3人組が現れた。23歳とか。とても猫が好きだということは伝わってきたが、正直、私も彼女たちに譲渡するよりは、40代で子供がある程度大きくなっている家族の方が安心だとは思っていた。そこへある先輩ボランティアさんが彼女達に、「猫飼いたいのはわかるけど、まだ貴方たち若いんだから、海外旅行も行きたいでしょう?おしゃれもしてお金も使いたいでしょう?猫がいるとそれがあまりできなくなるけどいいの?これからまだ結婚するでしょう。どんな人と結婚するのか決まってないなら、その人が猫好きでなかったらどうする?また生まれた子供がアレルギーだったらどうする?そんなことがあっても絶対に飼育放棄できないのよ。もっと人生落ち着いてからにしたら?」と、説得していたのを聞いて私は感心した。彼女たちは最初は、旅行行きませんとか、猫好きの人としか結婚しませんとか、食い下がっていたが、そのうち説得されていた。

そうなのだ。若いということは人生が固まっていないのだ。
猫は環境の変化に弱い。人間の人生の局面の変化によって、猫の飼育環境が変わるのは望ましくない。もちろん若い人が両親と同居していて、そこで自分が猫を飼い、万一自分が長期で旅行したり、猫不可の人と結婚しても、そのまま実家に猫が残れるのなら良いが、若くて一人暮らし、その先何がどうなるかわからないようでは、生き物を飼うべきではないと思う。

先日の譲渡会で23歳の男の子が現れた。やっとペット可のアパートに引っ越したから猫飼いたいと言っていた。私は以前の先輩の受け売りで、「まだ若いんだからこれから人生どうなるかわからないでしょ?仕事で海外転勤になったらどうする?結婚相手が猫好きじゃなかったり、子供がアレルギーかもしれないよ。それにこれからどんどん仕事忙しくなるのに、夜中まで帰らないなんてことない?猫が夜中まで毎日一人でご飯待ってるのも可哀想だよ」と言ってみたら、素直に納得してくれた。そして私はその子を、今里親になれなくても、猫好きなら、ボランティア手伝ってみない?とナンパし、電話番号を聞いておいた。
続く。

コラムニスト:Candy (キャンディ)
ネコジルシ:保護猫日記
猫の里親募集:勝気で甘えん坊の三毛/スコミックスのメイちゃん

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