コラム

第70話 号外 譲渡条件解説 その8

2011年2月に里親として龍馬と凜子を迎えたものの(第1話第2話第3話)、その数年後に自分の不注意で龍馬を脱走させてしまい(第5話から第26話)、その捜索中に出会った沢山の野良猫の避妊去勢手術に関わったことで、野良猫救済ボランティアをすることになった。その経緯を時系列でコラムに書き始めて第62話まで来たが、櫂君の里親募集を機に(第63話)里親条件について解説しておきたく、号外を出すことにした。

私が課している里親さんへの譲渡条件は第64話に記した通り。第63話から第69話までで、終生飼育義務、ペット可住宅、留守番が少ない事、うちから1時間以内、定収入があること、完全室内飼育、適切な飼育環境の維持、完璧な脱走対策、決定前のご自宅訪問、医療費一部負担について説明してきた。今回もその続きを。

10、医療費の一部負担について 続き
前話で、参加する里親会によって医療費の請求ルールが決められている場合があり、私の知っている限り3パターンあると説明した(第69話)。実はそれに加え、もう1種類あった。これは私が参加した会ではなく聞いた話だ。それは、費用は請求せず、任意で寄付をお願いするのだそうだ。金額は里親さんにお任せで。このやり方だと医療費の相場をしらない里親さんは悪気はなくても、かなり低い金額しか寄付しないこともあり得る。それまでにかかった医療費の一部として寄付をとお願いをすると、1000円しか出してくれなかったケースがあるという話を聞いた。寄付というので街頭募金のような感覚で1000円出したのであろう。その会の人は驚いていたが、任意の寄付としてお願いしている以上文句は言えなかったであろう。

実額がいくらなのかは、地域や病院にもよるが、避妊去勢手術、ワクチン、ノミ取り、検便、駆虫、エイズ白血病検査、というのが私の理解している譲渡前の通常の初期処置だ。野良猫割引や行政からの助成金もあっても数万円はかかると思う。それ以外にも、風邪をひいていたり、目薬が必要だったりの医療費や、自宅には保護場所がないので、預かってもらう入院費用もかかっている。

このように色々なパターンの譲渡費用回収方法を見聞きし、ネットでも色んなケースを見ながら、私は自分自身のルートで譲渡先を見つけた場合の方針を決めた。

そもそも費用を里親さんに請求すべきか否かについては、以前ネットでボランティアなのにお金をとるのかみたいな心無い書き込みを見たことがあるが、私は当然請求すべきだと思う。

理由1 保護して譲渡するには必ず医療にかけなければならないので医療費がかかる。ボランティアは労力は無償で提供するが、お金を提供する存在ではない。普通の庶民だ。かかった費用はどこかから回収しなければ活動はできず、ボランティアの生活が破たんする。野良猫の避妊手術や病気の猫の保護など、譲渡対象にならない猫については、どこからも費用が回収できない。譲渡した猫からくらい回収しなければやっていけないからだ。ちなみに私のような小規模にしか活動してない新米ボランティアでも、昨年は持ち出し金額は50万円を超えた。これでは継続できない。
理由2 里親さんを審査する上で、きちんと猫の飼育および医療にお金をかけてくれる人であるかどうかを見極めるためにも、医療費支払い条件を課して確認する必要があると思う。そこで渋るような人は将来猫が病気になっても医療費をかけてくれるとは思えないからだ。

では具体的にどのような設定にしようか考えた。全額でなく一部回収とすべきであろう。万が一、交通事故などで高額な医療費がかかった場合、それを全額請求したら誰も申し込まないし、印象も悪い。常識の範囲を見極める必要がある。そしてやはり明朗会計が良い。かかった金額の領収書と明細を見せて、請求するものと、請求しないで自分が負担するもの、そして病院が好意で割引してくれたものをはっきり示すべきだと思う。

私が里親として応募した時は、譲渡主さんからワクチンと手術代だけ請求されたと思うが、提示された金額が、当時知っていた普通の動物病院での避妊去勢手術の相場よりはるかに安いものだったので、一体どういう計算なのか不思議に思ったが、深くは考えなかった。若干の寄付を上乗せして渡したが、当時は自治体からの助成金とか、野良猫割引をしてくれる病院があるということも私は知らなかった。

それに今考えたら、ワクチンと手術代だけしか請求がなかったのだとしたら、それ以外の検便やエイズ白血病検査代は保護主さんが自腹で払ったのだろうか、それらも含まれた金額だったのだろうか、大規模にやっいる人だったので支援金でもあったのだろうか。明細も説明も特になかったので、どういうからくりなのかわからなかったし、特に質問もしなかった。もし、譲渡主さんが払ってくれたのならお礼を言うべきだったし、もっと寄付してあげてもよかったのかもしれないと今は思う。当時の私も、今の大半の一般の人のように、まさかボランティアが自分の財布からこんなに大金をはたいて野良猫を救済しているとは全く思ってもいなかった。どこからお金が出ているのかなど興味もなかったのだ。

自分が譲渡をするようになって、団体を立ち上げて支援金集めて賄っている人はごく僅かで、殆どボランティアが自腹で負担していると初めて知った。
実際私も里親さんから全額もらっているわけではなく自分も負担しているが、それは敢えて説明しなければ里親さんはわからないだろう。また、協力してくれている病院が保護猫割引をしてくれていることも当然知らないと思うので、里親さんに伝え、病院にも感謝してもらうべきだと思う。沢山の人の協力を基に譲渡が成立していることを知ってほしいと思う。

私が最初に設定した請求金額は、私が当時参加していた里親会で決められた請求項目と同じものにし、金額は領収証に明記されている実学とした。たしか、ワクチン、手術、エイズ白血病検査、駆虫、ノミダニ駆除だ。適当にしていると思われないために、領収書通り一円単位の金額とした。知らない人間同士信頼し合うには、お金についてはきちんとする必要があると思うし、敢えて全額もらわないことで信頼も高まるのではないかと思い、風邪などの治療、注射、薬、目薬、入院費などは請求せず自分で支払った。
そして、状況により無理なことをお願いした場合などは、かなりの減額をしたこともあった。なんかこんな駆け引き、かなり神経と頭を使う、仕事みたいだな、と思ったものだ。

そして、譲渡を沢山こなすようになった最近また方針を変えようと思っている。私の自己負担を減らさないと他の猫を多く救えない。お願いしているのは、里親さんとは関係ない外猫ではなく、里親さんが迎えたいと言っている猫に実際にかかった費用なのだから、もう少し負担してもらっても良いのではないかと思うようになった。そもそも、その猫を自分で保護して自分の猫として病院につれていっていたら、ボランティア割引など無しの正規の金額がかかっていたはずだし、そして、そもそも保護猫の譲渡を受けるに当たり、保護活動を理解し支援するという気持ちを持ってほしいと思うのだ。もらってあげるだけで充分支援だと思われる人もいるかもしれないが、すべての譲渡猫の費用を私が一部負担すると、総額では相当な出費になる。それを私は譲渡もされず幸せになれない猫の救済費用に充てたいと思うのだ。

勿論、他にも里親募集中の猫は山のようにおり競争がある。譲渡費用が高いと、うちの猫は競争力が劣る。猫自体が、子猫でないとか慣れてないなど条件が劣れば、そこはバランスをとらねばならない。益々仕事のようだなぁ、と実感。ビジネスにはならない社会事業だ。継続するにはコスト感覚も必要だ。

今度から、里親さんや猫の状況や条件により、強制ではなく任意で、保護した時の風邪の治療費や入院費などを加算してもらえるか交渉して検討してもらってみようと思っている。

譲渡活動は経験でしか学べない。経験積むごとに自分の方針を微調整する日々だ。

コラムニスト:Candy (キャンディ)
ネコジルシ:保護猫日記

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