コラム

第68話 号外 譲渡条件解説 その6

2011年2月に里親として龍馬と凜子を迎えたものの(第1話第2話第3話)、その数年後に自分の不注意で龍馬を脱走させてしまい(第5話から第26話)、その捜索中に出会った沢山の野良猫の避妊去勢手術に関わったことで、野良猫救済ボランティアをすることになった。その経緯を時系列でコラムに書き始めて第62話まで来たが、櫂君の里親募集を機に(第63話)里親条件について解説しておきたく、号外を出すことにした。

私が課している里親さんへの譲渡条件は第64話に記した通り。第63話から第67話までで、終生飼育義務、ペット可住宅、留守番が少ない事、うちから1時間以内、定収入があること、適切な飼育環境を維持すること、完璧な脱走対策をすること、完全室内飼いについて説明してきた。今回は条件その9から解説しよう。

9、決定前のご自宅訪問とご家族との面談について
自宅を見られるということについては、譲渡の世界ではかなり一般的になってきたので譲渡会に来てくださる方は理解をしてくださっているが、単に知り合いを通じて里親さんになってもらうというような場合、抵抗を感じる方も多い。実際私も知り合いに猫をもらってもらった時は、ご自宅へ行かせてもらう必要があることを納得してもらうのに苦労したし、知り合いであるがゆえに躊躇される気持ちも良くわかる。

しかしこれは私にとって、そして私が知っている多くの譲渡主にとって、どうしても譲れない条件だ。命を託す側としては、どのような環境で飼育されるのかを確認せずして決めるわけにはいかない。どれだけメールや面談で話をしても、自宅の様子は見てみなければわからない。実際、ご自宅を見て初めてわかることもある。そして残念かな、そこで破談とせざるを得ないこともあったのだ。

決して豪邸やモデルルームのような美しい自宅である必要はないし、我が家もいつ来られても恥ずかしくない状態ではない。私が最初に龍馬の里親になったときに譲渡主のSさんが龍馬を連れてうちに来られた(第1話第2話)が、前日に必死で掃除したことは言うまでもない。それでよいのだ。

私達譲渡主は、とにかく猫の安全と幸せだけを考えているので、里親さんのプライバシーに興味があるわけではないし、そんな暇はない。家のすべての部屋をみせてもらいたいのではなく、猫が行く場所を見て適切な環境であることを確認させてもらえばよいのだ。つまり狭すぎず、不潔でなく、温度管理もでき、危険がないということを。
殆どのケースで、玄関からリビングに通される前に大体のことはわかるので、寝室までみせてもらったことはない。あとは玄関やベランダなど脱走の可能性がありそうな場所を見て対策を講じてもらうだけだ。

殆どの譲渡主は、猫の譲渡が内定して猫を届けに行くときに初めて自宅を見るということにしているようだ。何度も訪問する時間がないということもあろう。その時にどうしても不適切な環境であることがわかった場合は、一旦猫を連れ帰り改善をお願いするか破談にするのだそうだ。そもそも内定の段階では、そこからお試し飼育が始まるので、まだ所有権は移転せず、お試し期間の間に何か問題が発覚すれば、譲渡主は一方的に譲渡を取り消すことができるので、システム的には問題ないのだが、私の場合、まだ新米で未熟だからということもあるのだが、どうしてもそれができないのだ。つまり、猫を連れて行ってから、やっぱりこの環境はダメなので猫を連れて帰るという勇気を出せるかどうか自信がない。それにご自宅を見ずして決断する自信もない。実際ご自宅を見て初めてわかったこと、驚いたこと、それでお断りをしたことがあったからだ。したがって、内定前、お見合い直後、猫を気に入ってもらい話を進めたいと言ってもらったらすぐにご自宅への訪問とご家族全員への面談をさせてもらうことを条件としているのだ。

それに里親さんの立場からしても、気に入った猫を見つけ審査をしてもらい内定し、道具も買って用意して、猫がくる日を楽しみにして待っていてくださいっているのに、猫が到着してからやっぱりダメです、猫を連れて帰りますと言われたらどんな気持ちだろう。万が一、自宅に難癖付けられたと怒られたらどう対処してよいのか、考えただけでドキドキだ。それに自分の時を思い出しても、龍馬を迎えるにあたり、ケージも買って用意して、前日に必死に掃除して譲渡主さんと龍馬を待った。そこで自宅を見て、やっぱりダメですと言われたらどんなにがっかりしたことだろう。その状況に対応できる自信がないので、事前に訪問し、猫をお届けするときにも訪問しと、二度手間になっても、その方が気が楽なのだ。それを里親さんに説明し納得してもらってから話を進めている。

ベテランの先輩ボランティアに、内定後猫を届ける時に初めて行って見て、猫を連れて帰ることになった時の事を聞いてみると、その理由は、いわゆるごみ屋敷であったり、脱走しやすく脱走防止が難しい家の構造であったこと、などだそうだ。そして猫を連れて帰ったときの里親さんの反応はと聞くと、指摘は正しいので納得されることが多いそうだが、泣かれてしまったこともあるそうだ。しかし、譲渡主としては、猫の安全と幸せを犠牲にすることはできないので、同情で猫を託すことはできない。辛くてもお断りしなければならないのだ。

譲渡条件はそれぞれの譲渡主の基準で決めるので、中には訪問しないという主義の譲渡主や団体もあると聞く。しかし、審査をせず無条件で誰にでも渡すということではなく、訪問しない形で審査をしているということである。あまりにも譲渡件数が多い団体などは、訪問しないで面談の中で口頭や写真で自宅の状況を確認したりしているはずだ。それも経験が豊富だからこそできることであろう。全くの素人が譲渡条件も付けず、ネットでの募集で、ただ誰かもらってください、取りに来てください、どこかで待ち合わせてお渡しします、などの掲示を出しているが、言語道断だ。里親詐欺もまだ多いし、詐欺でなくても責任感が薄かったり、気持ちはあっても環境が不適切な人は残念ながら多いのだ。自分が飼えなくて人に託す以上、きちんと審査をしてから譲渡をすることが託す側の責任だ。どう審査したらよいかわからないという人は、譲渡経験の豊富なボランティアのブログなどを参考にするか、メールを出して個別に相談すれば、答えてもらえると思う。現に私のブログにも知らない人からメールで相談が来たことがあるが、喜んで助言した。どこの誰の猫であろうと不幸になってほしくないからだ。

コラムニスト:Candy (キャンディ)
ネコジルシ:保護猫日記

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