コラム

第66話 号外 譲渡条件解説 その4

2011年2月に里親として龍馬と凜子を迎えたものの(第1話第2話第3話)、その数年後に自分の不注意で龍馬を脱走させてしまい(第5話から第26話)、その捜索中に出会った沢山の野良猫の避妊去勢手術に関わったことで、野良猫救済ボランティアをすることになった経緯を時系列でコラムに書き始めて第62話まで来たが、櫂君の里親募集を機に(第63話)里親条件について解説しておきたく、号外を出すことにした。

私が課している里親さんへの譲渡条件は第64話に記した通り。
条件その2の何故ペット可住宅でないといけないのかということについて、事例を交えながら説明してきたが、結論としては、内緒で飼う事ができても、脱走した時に内緒で捜索することはできないということだ。やはり、ペット可住宅に引っ越すか、またはマンション理事会に掛け合って規約を変更してから飼うくらいの覚悟をもってから考えてほしい。先輩の言葉だが、飼いたいという気持ちだけで飼ってはいけない、飼える環境を整えてから飼うべきだ。

では条件
3、お留守番が少ない について解説しよう。
これは(子猫や甘えん坊の場合)とあるように、大人猫は普通の仕事の時間の留守番くらいなら平気だ。しかし極端に長時間の仕事の人は、世話をすることができないのではという懸念が生じるので敬遠する。男性の一人暮らしの場合、仕事時間が長いだけでなく、夕食を食べて帰ったり、飲みに行ったりで、猫のご飯もおろそかになるのではないかと心配になる。また何かあっても病院に連れて行く時間もなかなか取れないのではないかとも心配だ。

しまじろうというおじさん猫を保護した時に大変珍しい事例に遭遇した。里親募集をしたところ、自分の猫です、と名乗り出た人がいたのだ。その人は何年もの間、外にいたしまじろうを可愛がっていたが、遂に心を決めて保護し自宅に入れたところ、4日目に脱走してしまい、それを私が保護したという話だった。その脱走の仕方がすさまじいのだ。昔の和風の古い一戸建ての住まいで、日本間にいたはずのしまじろうは、その部屋の襖とその隣の部屋の引き戸を自分で開けて風呂場に入り、鍵が閉まっていなかった風呂場の窓を自分で開けて外に出て行ったというのだ。根性だよね、保護されてたった4日で3枚の扉を開けて脱走するとは。すべての部屋の窓を開けようとトライしたに違いない。人間大好き、超甘えん坊のくせにどうして出て行きたいと思ったのだろうかと考えると、相当お留守番が長かったのだ。この飼い主と名乗る人の仕事が超長時間で、朝早く出て毎日帰宅が午前1時だとか。寂しすぎて耐えられず、出て行ってしまったのだ。
しまじろうの逸話はまた後日ゆっくりするが、結局はその飼い主さんとじっくり話し合い、対策を講じてもらう約束でしまじろうを返した。今ではとても幸せに暮らしている。

次の条件の説明に移ろう。
4、うちから一時間以内
どうして遠方ではいけないか。それは私が龍馬を脱走させ時の壮絶な体験があるからだ。譲渡主のSさん(第1話)は車で1時間かけて週に何回も来てくれ、捜索を手伝ってくれた。私も何かあったらかけつけて里親さんをサポートせねばならないのだ。そういう義務を課すか否かは別としても、自分が譲渡した猫が見知らぬ土地で迷子になっているというのだから、探しに行かずにはいられないであろう。それを想定するとやはり近い人の方がよい。それに、私は決定前にどうしても里親さんの自宅を訪問し、飼育環境を確認、およびご家族全員に会わせて頂くことをお願いしているので、決定後に猫をお届けする時と合わせて、最低でも2回は訪問することになる。譲渡する猫が2匹目で、先住猫との仲が気になる時は、猫をお届けに行ってトライアルをスタートさせたあと、先住猫との仲を確認をさせてもらってから正式譲渡にすることもある。そうすると3回訪問することになる。やはり近い方が良い。
だからと言ってその後、絶対に引っ越ししてはならないということではない。想定外の引っ越しなら仕方がないが、なるべくお引っ越しの予定のない人を優先する。しかし、その先どこへ引っ越すことになろうが、何が起ころうが信頼できると思う人にしか譲渡はしない。

次の条件 
5、定収入があること
生き物を養うのだからお金がかかることは当然理解されているはずであるが、意外と甘く見ている人が多いということが率直な感想だ。学生の身で応募してきたり、失業中でまた次の仕事が決まっていない人もいた。心臓病の猫の募集をした時に年金暮らしの高齢者が応募してきたので、医療費がかなりかかるが大丈夫かと聞いたら、大丈夫だと答える。あまりに簡単に大丈夫だというので、一度電話を切り、一晩冷静に考えてからもう一度応募してきてほしいというと、あっさりやっぱりお金がないと言われたことも。はぁ?昨日はお金は大丈夫とあんなにはっきりと言ったじゃないの?ということもあった。また、ペット可住宅に引っ越し予定と言いながら、実は引っ越し費用がないという人もいた。私の場合には、譲渡前にこのような事態は発覚するので、問題になったことはない。
しかし、先輩に聞いた話では、2匹譲渡を受け、1匹原因不明の下痢が続いたので医者に行ったところ、遺伝子検査を勧められたが、その医療費が出せないから下痢猫を返すと言ってきた人もいたとか。結局は2匹とも返してもらったそうだ。
また10歳になって癌になった猫の医療費をご主人が出したくない、猫を返して来いと言ったが、自分は専業主婦で収入がなく、泣く泣く譲渡主に相談してきたこともあったとか。また離婚して猫のフードも飼えなくなってしまったので、フードを寄付してほしいと相談してきた人もいたとか。そもそも何でそんな人に猫を渡したのか、どうして審査中にわからなかったのか不思議に思うが、信用してしまったのであろう。

しかし収入の話はプライバシーにもかかわるので、そうずけずけと質問するわけにはいかない。それとなく、でも確実に、20年以上先まで十分な飼育費用をかけてくれるかどうか見極めなければならない。収入が高くてもケチな人もいる。収入制限だけでは見極められないが、最低でも定収入があることは必須だ。どこかの雑誌に猫1匹の飼育費用年間10万円と書いてあったが、病気をしたらどれだけかかるかわからない。保険や貯金で備えておきたい。
ある譲渡会では、アンケートで一か月どのくらい猫にかけられるか聞くというところもあった。私の場合は、決定前にご自宅で飼育環境を確認させてもらっているので、自宅を見ればかなりのことがわかる。好印象で譲渡の話を進めていく人は皆さん、私の思いを理解して下さり、これまで一度も自宅訪問を拒否されたことはない。

コラムニスト:Candy (キャンディ)
ネコジルシ:保護猫日記
猫の里親募集:
●【譲渡決定】かわいい甘えん坊の櫂くん

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