コラム

第65話 号外 譲渡条件解説 その3 ペット不可住宅について 2

2011年2月に里親として龍馬と凜子を迎えたものの(第1話第2話第3話)、その数年後に自分の不注意で龍馬を脱走させてしまい(第5話から第26話)、その捜索中に出会った沢山の野良猫の避妊去勢手術に関わったことで、野良猫救済ボランティアをすることになった経緯を時系列でコラムに書き始めて第62話まで来たが、櫂君の里親募集を機に(第63話)里親条件について解説しておきたく、号外を出すことにした。

私が課している里親さんへの譲渡条件は第64話に記した通り。
第63話より条件その2の何故ペット可住宅でないといけないのかということについて、事例を交えながら説明してきたが、もう一つ逸話を紹介したい。

ジュノンという超イケニャンの男の子の里親募集をした時のこと。ジュノンは顔よし、性格良し、人馴れ抜群のハイスペックのジュノンボーイ系だったため、そのままジュノンと名付け、自信満々でネットで里親募集を開始。応募が殺到すると期待していた。

しかし、あれぇ?来ない。
過去に比べ、保護猫、譲渡という概念も浸透し、里親募集している猫がかなり増え競争が激しくなっていることに気付いた。可愛い子猫がわんさか里親さんを求めているのだ。ジュノンは約1歳。それだけで譲渡市場では子猫に比べて価値は劣る。落胆し始めていた頃、応募があった。
ある里親募集サイトで40代の夫婦Pさんからの応募。殆どの条件は満たしていたが、住所がうちから2時間近くかかる場所であったことと、ペット不可の住宅であったことがネックだった。場所はうちの住所を公開していないので仕方ないとしても、ペット不可住宅については条件を満たしていない応募だった。Pさんは、ペット不可の住宅ではあるが、管理人さんには了解をもらっている、他にもペットを飼っている人がいるから問題ないと。この段階で、二つ条件から外れていることになる。

しかし、とても感じが良い人だったので私の心は揺れた。当時はまだ見ず知らずの人に譲渡した経験があまりなかったので、多少の譲歩をすべきか否か自分のポリシーもまだ固まっていなかった。前話で紹介した愛ちゃんの譲渡よりもまだ前のことだった。
感じは良いが、問題は脱走対策と脱走時に徹底的な捜索ができるかどうかだ。私が龍馬を脱走させた時の体験を話し、万一脱走したら、管理人さんだけなく、マンション中に猫を飼っている事実を公表して捜索できるか、と聞くと返事が鈍った。
Pさんは絶対に脱走させないように気を付けるからと言い張った。それに対して、私はこの私自身が脱走させたのだから、人間はうっかりというものがあり、絶対脱走させないと言い切ることは不可能だ、だからどれだけ捜索できるかが問題だと言った。するとPさんは、少しは信用してくださいよ、と怪訝な声で言った。信用してますよ、そうでなければ最初から譲渡など考えない。信用しても人間にはうっかりがあるのだ。Pさんは管理人さんには協力してもらえるとは言ったが、あとから考えれば、私が想定しているような徹底的な捜索の具体的なイメージは湧いていなかっただろう。

Pさんは猫飼い初心者。夫婦で話し合い、やっと猫を飼うことに決め、ペット不可のマンションで管理人さんにも黙認してもらえるよう話を付け、ずっと気に入る猫を探し、やっと飼いたい猫に巡り合ったんですよ、と今度は情に訴えかけられた。
まあねぇ、私も意を決して龍馬を迎えようとした時の事を思いだせば、気持ちはわからないでもない。当時まだヤワだった私は心が揺れた。

実は丁度その週末に譲渡会に参加することになっていた。Pさんには、譲渡会で条件を満たした人がいればそちらを優先することに了解してもらった上で、候補として検討することにし、譲渡会の前の日に猫とのお見合いをしてもらい、気に入ればその足で私が自宅訪問、環境確認をさせてもらうことになった。

そこからあり得ない展開に。
電話で打ち合わせをしていると、ふとPさんが、『実はマンションの敷地に子猫が生まれている。』と言ったのだ。何の話から出てきたのか忘れたが、それを聞いた私はパニック。だってこれから私はPさん宅に行くのだ。その子猫をきっと見るだろう。それを放置して帰れるだろうか。それに母猫の手術をしないと大変なことになる。どうする、どうする?ジュノンの里親探しなのに、このふってわいた親子猫の方が心配でたまらなくなった。
気の毒にPさんは、ただジュノンの里親になりたくて申し込んできただけなのに、私がすさまじい勢いでその猫達のことを聞くものだから、私の指示に従いその猫達の情報を管理人さんから聞きだしてくれた。どうやら外国人の住人が敷地内で餌をやり続け、子猫が生まれてしまったと。私がその場に行く時に捕獲器を持って行き、親猫は捕獲をする、子猫も保護して里親探すから、そのように話を付けといてくれと頼んだ。その費用をマンションの住人で出せないか検討してほしいと私が言うと、これから内緒で猫を飼おうとしている時に周囲にそんな話を持ち掛けたくないとPさんは言った。そして自分も猫を飼うだけで精一杯だから出せないと。
だからと言って放置はできない。私は2時間も離れた他県の野良猫を4匹も保護するという無謀な計画を立て始めた。私一人では捕獲も難しい、当日手伝ってくれ、失敗したら後日捕獲を継続してくれる地元のボランティアを探さなきゃ。地元の保健所に電話で事情を話し、近隣のボランティアを紹介してくれるように頼む。かかるお金は全額私が払うと言ってみても、見ず知らずの私に連絡先を教えてくれる人はいなかった。困った私はブログやSNSで呼びかけてみる。

その後Pさんからの連絡で、その外国人が若干暴力的な人だったらしく、大騒ぎになってしまい、管理人さんもPさんが猫を飼うことを黙認することができなくなった、ジュノンへの申し込みは取り下げるとの連絡だった。

初めて猫を飼おうと思っただけなのに、Pさんには気の毒な結果だったかもしれない。しかし結局は、Pさんには内緒で猫を飼うということ以上の覚悟はなかったのではないかと思える。ジュノンを引き取った後に、何らかのトラブルがあり、猫を飼っていることがバレても、事件に巻き込まれても、ジュノンを手放さず、引っ越しを考えてくれただろうか。いや、それができる位なら、最初からペット可住宅に引っ越しているだろう。やはりペット可住宅であることは最初から必須だとの思いを強くした。

ちなみに、その子猫達がどうなったのか気になり、後日現地の保健所に電話してみたところ、警察も出動する騒ぎになり、危険で保健所も関与できないので、あなたももう関わらない方がいいと言われた。そんなところにジュノンをやらなくて本当に良かったが、子猫達のことは今でも気がかりだ。
そしてジュノンはというと、とても素晴らしい里親さんに巡り合った。やはりここでも、大事な条件は譲歩するべきではない、必ずその猫に合う赤い糸の里親さんがいるはずだとの思いを強くした一件だった。

コラムニスト:Candy (キャンディ)
ネコジルシ:保護猫日記
猫の里親募集:
●【譲渡決定】かわいい甘えん坊の櫂くん

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