コラム

第60話 猫道の猫達 その20 シロミケ出現② 捕獲、手術へ

【これまでのストーリー】
2011年2月に里親として龍馬と凜子を迎えたものの(第1話第2話第3話)、その数年後に自分の不注意で龍馬を脱走させてしまい(第5話から第26話)、その捜索中に出会った沢山の野良猫の避妊去勢手術に関わったことで、悲惨な野良猫生活の実態を知る。
その後2013年11月に猫道と呼ばれる場所にて偶然猫の大群を見かけ(第26話)、それ以来、猫ボランティア活動に足を踏み入れることになる(第28話第29話)。具体的には、野良猫を保護して引き取ったり、里親募集をしたり、保護出来ない猫の避妊去勢手術をしてその場に戻す(=TNR)ことなど。その間、頭の良い猫との知恵比べに負けて捕獲に苦戦したり、避妊手術反対論者に捕獲の妨害をされたり、捕獲にてこずり妊娠出産されてしまったり(第34話第35話)、里親募集では想定外のケースに遭遇したりで、苦労の連続だった(第29話から第36話第43話から第59話)。 目にした猫達の手術はすべて終了したと思ったところ、猫道に新入りのシロミケが現れ、捕獲に向かうもまた苦境に(第59話)。

時は2014年7月。猫道の餌やりのイチゴさんから、新たに出現したシロミケの手術の要請があり、とりあえずはリサーチと捕獲の予行演習のつもりで現場へ向かうと、何とあっさりシロミケは捕獲器に入ってしまった。そこへ、以前にも書いた避妊去勢手術反対派の不思議なおじさん(第35話)が突如現れたので、とっさに私はシロミケの入った捕獲器を抱えて停車してあった車の陰に隠れた。
このオヤジには既に何度も捕獲の妨害をされたり、説得しようとして喧嘩になったりしたので、とにかく見つからないよう、隠れて捕獲するのがベストだと思っていた。

捕獲は成功したものの、その後どうやって移動したらよいものか途方にくれた。そこで立ち上がり大きな捕獲器を持って移動したらオヤジの視界に入る。オヤジはいつも2、3時間帰らない。私は車の陰にしゃがんだまま身動きできなくなっていた。

とにかく何とかしてこのシロミケを病院に運ばなければならない。普通は、手術は予約しておくのだが、この日は予行演習のつもりで、あっさり捕まるとは思っていなかったので、予約をしていなかった。私の経験の浅さによる落ち度だったが、私は予約がそんなにとれないものとは思っていなかった。車の陰に隠れながら、携帯でいつもお世話になっている病院に電話し、オヤジに見つからないように小声で手術の依頼をしたところ、電話した2つの病院のどちらもその日は受け入れ不可能と言われてしまったのだ。私は青ざめた。

一度捕獲器に入って恐怖を味わった猫は学習し、その後は二度と捕まえる事ができなくなることが多い。従って捕まえた猫を手術しないで放せない。だから、病院の事前予約は必須だったのだ。動物病院はいくらでもある。しかし、野良猫の避妊去勢をやってくれる病院で、自治体からの助成金が使える病院、ボランティアに協力的な病院でないといけない。病院によっては野良猫を全く受け付けない方針のところもあるし、区からの野良猫避妊去勢手術のための助成金が使えない病院だと一般の手術代(平均で2~3万円)支払わなくてはならなくなる。そんな高額な金額は大量に手術しなければならないボランティアが自己負担するのは到底無理だ。困った私は、車の陰に隠れたまま先輩ボランティアのパインさんに電話し、私が連絡した2つの病院以外に野良猫の手術を安く引き受けてくれる病院はないか問い合わせた。パインさんはその道30年のベテランボラで病院とのつながりも多い。隣町のT病院を紹介してくれた。

病院の予約は何とかとれたものの、車の陰に隠れた私は、オヤジに見つからないようにどうやって移動したらよいのか思案していた。その間、捕獲器の中からはシロミケが出せと騒いでいる。
シロミケ、静かにしてくれよ、オヤジに見つかったらどうするのさ、と汗だくになりながら知恵を絞りだす。そうだ!思いだした。近所に、以前うちの龍馬が脱走したときに目撃情報をくれた人がいて、その人も保護猫を里子に迎えたり、保護犬の預かりボランティアをしている人だったので、私のボランティア活動にも何か協力できることがあったら言ってねと言われていたのだ。そうは言っても、それまでは頼んだことはなかったが、このときばかりは、彼女に助けを求める以外に方法を思いつかなかった。

彼女は幸いにも電話に出てくれた。私が車の陰に隠れて身動きができない状況になっていることを伝え、その場所に車で来て、オヤジの視界を遮る形で停車してもらい、見つからないように捕獲器を持って車に乗り込むことができた。その後、T病院にシロミケを搬送、パインさんから連絡をしてもらっていたので、私はそのまま猫を置いて帰った。手術後の迎えにはパインさんが行ってくれるとのことだった。

そこで手術後のことで私はまた悩み始めた。猫道にいる他の猫と違い、シロミケは警戒心が薄い。前述のオヤジにはすぐに懐き、オヤジの見立てでは家猫になれるとのことだった。保護できるか否かの判断は、その時の猫の状態によって、またその評価する人の見立てによっても違う。大半の保護主は、既に沢山抱えすぎているので、大人猫はよほど危険な虐待横行地域でなければ保護しないと聞く。私は経験浅いせいか、人馴れしている猫を外に放すのはどうしても忍びないという気持ちが強い。
シロミケも馴らすことはできるのではないかと思ったものの、以前保護したハナコのように、すぐにゴロスリしてくるわけではない。結局は懐かずうちで抱えることになった真央やミクなどの経験から、私は相当慎重にならざるを得ず、今すぐゴロスリではないという理由で保護は見送り、パインさんには病院からそのまま猫道にシロミケを放してくれるようお願いした。本当にゴロスリになれば、再度捕まえる事も出来るだろうと思ったのだ。後日、パインさんにシロミケを迎えにいってくれた時の様子を聞くと、帰りの道中、捕獲器の中で暴れ大変だったとのこと。パインさんの見立ては、人馴れしておらず家猫にはなれないだろうとのことだった。パインさんの言葉で、保護しない決断をしてよいことに正直ほっとした。

そして猫道にシロミケを放して数日後、パインさんから連絡があった。パインさんが紹介してくれたT病院は、野良猫の避妊去勢手術をしても耳カットしない方針だったと。
え?ということは、シロミケは耳カットしていないので未手術だと思われ、また捕獲されてお腹を切られてしまうかもしれないということだ。メス猫は外観からはわからない。また心配事が増えてしまった。 
続く。

コラムニスト:Candy (キャンディ)
ネコジルシ:保護猫日記
猫の里親募集:大田区のメイちゃん

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