コラム

第58話 猫道の猫達 その18 チビクロの捕獲と切ないリリース

【これまでのストーリー】
2011年2月に里親として龍馬と凜子を迎えたものの(第1話第2話第3話)、その数年後に自分の不注意で龍馬を脱走させてしまい(第5話から第26話)、その捜索中に出会った沢山の野良猫の避妊去勢手術に関わったことで、悲惨な野良猫生活の実態を知る。
その後2013年11月に猫道と呼ばれる場所にて偶然猫の大群を見かけて以来(第26話)、猫ボランティア活動に足を踏み入れることになる(第28話第29話)。具体的には、野良猫を保護して引き取ったり、里親募集をしたり、保護出来ない猫の避妊去勢手術をしてその場に戻す(=TNR)ことなど。その間、頭の良い猫との知恵比べに負けて捕獲に苦戦したり、避妊手術反対論者に捕獲の妨害をされたり、捕獲にてこずり妊娠出産されてしまったり(第34話第35話)、里親募集では想定外のケースに遭遇したりで、苦労の連続であった(第29話から第36話第43話から第56話)。その猫道で最大の難問であった妊娠猫デビの避妊手術と生まれた子猫の譲渡が終わり、一息ついたものの、まだ避妊去勢が済んでいない猫がいた。

デビには苦労させられたが、無事捕獲して避妊去勢手術も出来たし、生まれた子猫もそこそこ大きくなったところで幸運にも発見することができ、ベテランボランティアのパインさんが里親を探してくれ、幸運な結末で解決することができた。子猫達はデビが一生懸命子育てしたようで、コロコロして元気だったとのことだった。初めてデビを見かけてから半年近く。時は2014年5月になっていた。

幸運と言っても理想ではない。子猫を親から引き離すことは私達とて辛いし、子猫だけ里親を見つけて幸せにして、親だけまた過酷な外猫生活をさせるのも本当は忍びない。でも他に策がないのだ。
保護活動をしている人はみな沢山かかえて、これ以上保護できない状態の人が多い。里親募集も簡単ではない。飼い主のいない不幸な動物が多すぎるのだ。私達ボランティアが理想の動物愛護活動をするには、まずは不幸な動物の数を減らさなければならない。そのためには、何度も言うが、何はさておいても避妊去勢手術だ。ボランティアだけで全ての飼い主のいない猫に避妊去勢手術をまかないきれないので、地域住民の理解と協力が必要である。そこで最近は、地域で管理し見守っていく地域猫という概念が生まれてきた。国も自治体も地域猫を公に推進している。地域猫活動についてはまた後日詳しく書くが、それまでの間、是非読者の皆さんも、野良猫問題は猫好きだけの動物愛護活動だと思わず、自分の地域の環境問題ととらえ、猫嫌いの人も巻き込んで、活動に参加してほしいと思う。自治体に問い合わせれば、避妊去勢手術の助成金などについても教えてくれるはずだ。詳しくは後日書くが、一つだけ今言っておきたい。

よく、「猫が増えて困るから、餌やりを禁止する」という人がいるが、よく考えてほしい。ご飯を食べただけで妊娠する生き物などいやしない。餌を与えないで繁殖を防げるなんてことはないはずだ。そう信じている人は、小学校の保健体育の授業を受けなおしてほしい。餌やりを禁止しても何も解決しない。避妊去勢手術を進めるしかない。

さて、話題を猫道にもどそう。デビの捕獲が終わっても、まだそこには避妊去勢未手術の猫がいた。チビクロだ。この子は、TNR(=手術してその場に戻す事)したクリーミー(第33話)の子供で、結局はうちで引き取ることになってしまった真央とミク(第43話)の兄弟だ。3兄弟の中で、この子だけ残してしまったことがどうにも心に引っかかっていた。できれば同じ処遇にしてやりたかったが、美猫の真央とミクですら、結局懐かず里親募集は断念したのだ。見目麗しくないチビクロは、真央ミクよりさらに警戒心が強い。そばに近寄ることもできない。チビクロの保護は考えられず、手術をしてその場に戻し、地域猫として見守っていくしかなかった。幸い猫道には、毎日餌をやりにくる人がいる。真央とミクの保護を勧めた先輩ボランティアのパインさんも、チビクロについては既に生後8か月にもなっているし、そのまま手術して外で見守ることにも納得してくれ、捕獲を手伝ってくれ、無事手術が終了し、チビクロは猫道に戻した。

【チビクロ】
58話

手術を終え、病院から帰り、元の場所で猫を放す時、いつも切ない。もう2度とその猫を捕まえる事はできない。一度捕獲器に入った猫は、その捕まった恐怖の体験を忘れないので、捕獲器も覚えているからだ。その後、餌やりさんを信頼するようになり、捕まえる事ができる猫もいるにはいるが、基本的には、捕獲器を開けて外に放す直前が、その子が家猫になれる最後の一瞬なのだ。
私はその瞬間がいつも切ない。「元気で生き延びてね」と語りかけてはいるが、野良猫の平均寿命は3年と言われるように、TNR後に数年以内で姿を消す猫が多い。事故や事件、病気で亡くなっているのであろう。見かけなくなった外猫に、保護してやれなかったことをいつも心の中で詫びている。

猫は伴侶動物と言われ、人間と共に家の中で暮らすようにできているのだ。外で生きられる動物ではない。殺処分ゼロだけでなく野良猫ゼロを目指したいと思う。
   
猫道においては、チビクロの手術で、私が認識していた猫達の避妊去勢手術はとりあえず一旦終了した。まとめると、

【保護して里親に託した子】
幸太、大輔(第28話から第30話)と、デビの子供3匹

【うちで引き取った子】
くるみ(第30話第31話)、真央、ミク

【TNRした子】
ミケ(幸太、大輔の親)、クリーム(真央、ミク、チビクロの親)。デビ、その他、しかけた捕獲器にかかった見知らぬ猫 白黒2匹。
猫道だけで合計13匹だ。
(同時並行で、もう1か所パンジー公園でもTNRを手伝っており、そこでもその半年で10匹程)

正直もう止めたかったが、今後も餌があるこの場所に、新たに猫が集まってくるだろうことは予想できた。折角TNRを完了したのに、ここで活動を止めたらまたすぐに増えてしまう。もうこの場は私がスポンサーとして責任を持つ事に決め、餌やりのイチゴさんに、新しい猫が来たら私に連絡するように伝え、私は時々見回りに行くことにした。
続く。

コラムニスト:Candy (キャンディ)
ネコジルシ:保護猫日記
猫の里親募集:大田区のメイちゃん

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