コラム

第57話 猫道の猫達 その17 妊婦猫デビの捕獲劇結末

【これまでのストーリー】
2011年2月に里親として龍馬と凜子を迎えたものの(第1話第2話第3話)、その数年後に自分の不注意で龍馬を脱走させてしまい(第5話から第26話)、その捜索中に出会った沢山の野良猫の避妊去勢手術に関わったことで、悲惨な野良猫生活の実態を知る。
その後2013年11月に猫道と呼ばれる場所にて偶然猫の大群を見かけて以来(第26話)、猫ボランティア活動に足を踏み入れることになる(第28話)。もはや知らん顔ができなくなり、人馴れした野良猫を保護して知り合いに託したり(第29話)。具体的には、野良猫を保護して引き取ったり、里親募集をしたり、保護出来ない猫の避妊去勢手術をしてその場に戻す(=TNR)ことなど。その間、頭の良い猫との知恵比べに負けて捕獲に苦戦したり、避妊手術反対論者に捕獲の妨害をされたり、里親募集では想定外のケースに遭遇したりで、苦労の連続であった(第29話から第36話第43話から第56話)。その猫道での奮闘物語を連載している途中で、真央とミクの里親募集の話に発展し、その関連からハナコの譲渡の話に流れていってしまいデビの捕獲ストーリーが途中になっていたので、ここで時計を少し戻し、第35話の続きとして妊娠していたデビの話の結末をお伝えしたい。

デビの話のおさらいをしよう。
時は2013年11月。場所は猫道。第26話で書いたように、たまたま通りかかった猫道で猫の大群を見つけ、長年餌をやっているメロンさんと避妊去勢手術の話をするも、お金は出せないと言われたため(第29話)、仕方なく私がすべての猫の面倒をみることになったのだ。人馴れした子猫3匹(幸太、大輔、くるみ)の保護と譲渡(第29話から第31話)、その後2匹(真央とミク)の保護、のこり10匹程度の避妊去勢手術をしていく中、メス猫デビが妊娠していることに気付いたが、私達が猫道おやじと呼んでいた避妊去勢手術反対派のおじさんに妨害され、なかなか捕獲ができない。すでに時は2014年3月になっていた。

デビはサビ柄の猫。サビ猫は頭が良いそうだ。妊娠すると余計に警戒心が強くなるとも聞いた。デビには新米ボランティアの私を鼻であしらうように、なかなか捕まらない。捕獲の際の鉄則その1はとにかく捕獲前に餌を抜く事だ。いくら頭が良くても腹が減っては戦はできぬ。いわゆる兵糧攻めだ。しかし、猫道はよく知られた猫スポット。いろんな人が猫と遊び無責任に餌だけやっていく。それでは兵糧攻めは難しい。それに上記の猫道おやじが餌を置いていったり、私達ボランティアが捕獲に来たのを見ると猫を逃がしたりして妨害する。それでも一度、誰もいない早朝5時に捕獲器をしかけ、うまくデビを捕獲器に誘導したことはあったが、何と中に入ったものの、瞬時にUターンして出られてしまった。捕獲器は猫が入ると速攻で蓋が閉まる。しかし、中に入り瞬時に餌をとらえて蓋が閉まる前に後ずさりして逃げる頭の良い猫はたまにいる。デビのようにUターンして出ていく猫は初めてだった。
    
そうこうしているうちにデビのお腹がどんどん大きくなり、いつ生まれるのかハラハラするようになった。ここまで来ても捕獲して堕胎させるのか、産ませてから親はTNR、子猫は保護して里親募集にするのかは、ボランティアの考え方によるのだが、私の周囲には前者派が主流だ。私のそうだ。もちろん猫を救うためにボランティアをしているのだから、私達も胎児とて救いたい。しかし、既に生まれている命の中で、食べる物も寝るところもない不幸な命があまりにも多すぎ、年間8万から10万頭の命が今でも殺処分されているのである。猫嫌いの近隣の人が子猫の鳴き声に気づいたら、保健所に持ち込まれてしまい、乳飲み子の場合は、その日のうちに殺処分されると聞いた。保健所でも殺したいわけではないが、手のかかる乳飲み子の面倒をみる人手がないのだ。
冷酷な人は、保健所に持ち込むどころか、そのまま子猫をビニール袋に入れてゴミ置き場に捨てることもある。実際にその近隣で、子猫が自分の家の庭で生まれたと腹を立てて、餌やりさんの家の植木鉢の中に、乳飲み子を投げ捨てて行った人もいたらしい。乳飲み子は親猫から引き離されたらすぐに死んでしまう。
また、敵は人間だけではない。カラスに狙われることもある。カラスに目をつつかれて失明したり、カラスに咥えて連れて行かれ、空中から落とされて死んでしまう子がいる。小さな命が外の世界で生き延びるのは大変なことだ。まずは、不幸な命を増やさないことに注力したいということが堕胎派の考えなのだ。
     
しかし、私一人で対応できないケースに於いては、その時手伝ってくれる先輩ボランティアの意見に従わねばならないと思った。その時手伝ってくれていたパインさんは、ぎりぎりになったら産ませてから捕獲する方針だったが、生まれてきた子供は保護して里親募集してくれるとありがたい申し入れだった。
しばらくすると、デビは姿を見せなくなった。出産準備に入り安全な場所に身を隠しているのだろう。
生まれたら母猫は授乳をするため相当お腹がすくからまた餌場に出没するだろう。子猫がどこにいるのかわからないが、わかったらすぐにパインさんに連絡せよとのことだった。
理想的には、しばらく母猫に子育てをさせてから保護するのが良いのだそうだ。人間が哺乳瓶で授乳するのも大変なこと、母親に勝るものはない。乳飲み子を見つけた場合、すぐに保護せず母猫が戻ってくるかどうかしばらく見守る必要があるのだそうだ。
母猫が戻らなければ、心無い人間に子猫だけ捨てられたか、母猫が育児放棄をしたかであるので、その際には保護してやらねばならない。しかし、乳飲み子の世話は本当に大変らしく、無知や多忙の人にはできないらしい。読者の方が乳飲み子を見つけた場合、動物病院やベテランボランティアさんに相談するのが無難だが、理想的には一晩くらいの応急措置ができるよう、準備はしておいてほしい(詳しくは後日)。

また、保護を余り待ちすぎると、子猫も野良猫教育され人馴れしなくなり、里親募集できなくなる可能性もある。生後2か月くらいで保護するのがよいと聞いた。

果たしてデビはどうなったかというと、偶然にも2か月後に近隣のマンションの管理人さんが子猫を入れた段ボールを抱えて立っていたところに、猫道の別の餌やりのイチゴさんが遭遇し、子猫をパインさんに引き渡して無事に里親を見つけたというラッキーな展開となった。
そしてデビはその後まもなく、餌やりさんとパインさんと私の連携で無事捕獲し、避妊手術となった。
2014年5月デビを追いかけ始めて半年経過していた。
続く。

コラムニスト:Candy (キャンディ)
ネコジルシ:保護猫日記
猫の里親募集:大田区のメイちゃん

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犬や猫の去勢・避妊手術(ペットタウンの保険編集部)
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