コラム

第56話 性格はなまるハナコのストーリー その6 どんでん返しからのどんでん返し

【これまでのストーリー】
2011年2月に里親として龍馬と凜子を迎えたものの(第1話第2話第3話)、その後に自分の不注意で龍馬を脱走させてしまい(第5話から第26話)、その捜索中に出会った沢山の野良猫の避妊去勢手術に関わったことで、悲惨な野良猫生活の実態を知る。
その半年後に猫道と呼ばれる場所にて偶然猫の大群を見かけて以来(第28話)、もはや知らん顔ができなくなり、人馴れした野良猫を保護して知り合いに託したり(第29話)、ひ弱な子はうちの子にしたり(第30話第31話)、里親募集するつもりが貰い手なくうちに残ったり(第43話から第50話)、保護出来ない猫の避妊去勢手術をしてその場に戻す(=TNR)ことなど、いわゆる猫ボランティアに取り組む(第32話から第35話)ようになる。
ある日、近所の餌やりさんに頼まれて(第26話)、パンジー公園の猫たちのTNRの手伝いをする中で(第36話から第38話)、人馴れしたハナコに出会い、病院に預かってもらいながら里親募集をするも苦労の連続(第51話から第53話)。結局は赤の他人に託すことは自分には無理だと悟り、知り合いのアートさんに迎え入れてもらったものの(第54話)、先住猫との折り合いが悪く、結局ハナコはアートさん宅を出て新しい家族を探すことになった(第55話)。

時は2014年8月。本当に当時の私は里親探し運がとことんなかった。
ハナコはアートさん宅を出た後、取り急ぎ避難していたアートさんのお母さんの家から、同じ家の2階に2世帯住宅で住んでいた弟さん宅に移動したと聞いた。
そこの20代のお嬢さんでアートさんの姪にあたる風花ちゃんに気に入ってもらえたが、その家にいる犬2匹に追いかけ回され、怯えている様子でもあった。
ハナコは犬との接触を避けて、風花ちゃんの部屋の2段ベッドの上段で生活していると聞き、心配でたまらなかった。

私は、ハナコは返ってくるものと思っていたので、また一から里親探しをする覚悟を決めていたが、アートさんはハナコを返すという発想はなかったようだ。もうこれ以上場所を移動するのはハナコが可哀想だということと、風花ちゃんとハナコは相思相愛で引き離したら両方とも可哀想だと考えてくれていたようだ。

そして、「次の里親は、私が好きなように決めていいでしょ。」と言われ、私は初めて気づいた。もうハナコはアートさのものであり、私にハナコのその後について関与する権利がないことに。そして譲渡契約書がなぜ必要なのかを思い知る。

猫(たぶん犬も)を一般に譲渡するときには里親さんは見ず知らずの人。審査させてもらうが、短期間に譲渡の可否を決めなければならない。実際に里親さんの素性を見抜けず、里親詐欺や虐待魔に猫をだましとられるベテラン譲渡主もいるらしい。詐欺や虐待魔のような犯罪人でなく、善意で里親希望してくれた人でも、長い人生でその後何があるかわからないし、万一、それで猫が不幸になっては大変なので、終生の飼育義務を認める譲渡契約書にサインをもらうのが一般的だ。
どんなに信用できる人であっても、このような万が一の場合に備えて契約書は必要なのだ。
アートさんには契約書どころか、万一飼えなくなったらというような話すらしていなかった。
こちらから頼み込んでもらってもらったのだし、それで契約書にサインしろなどと、相手を疑うようなことはとてもできなかったのだ。だが、それが仇になってしまった。

風花ちゃんには可愛がってもらっていたとしても、犬に怯えながら一部屋に閉じこもって暮らしているハナコも不憫だし、当時の私は風花ちゃんが若い女の子だということにも心配していた。一般の里親募集であったら若い独身者は敬遠する。若い人は、これから人生がどう変わるかわからない。仕事が忙しくなったり、恋愛や結婚となると猫どころではなくなるかもしれない。結婚したらどこでどんな人と暮らすのか全くわからない。こと風花ちゃんに関しては、アートさんの姪だからきっと良い子なんだろうが、私は会ったこともないし、会うこともないだろう。
それに、普通、里親さんからは定期的な近況報告を写メ付きでお願いするのが一般的であるが、それもアートさんと取り決めていなかった。アートさんとは時々会うし、そこでハナコの写真も見せてもらえると思っていたが、風花ちゃんの連絡先は知らないし、聞ける道理もなかった。
         
本当にハナコは不運としか言いようがない、と思っていた。この経験を踏まえ、今後は、どんなことがあっても、どんなに親しい人に里親になってもらうことがあったとしても、絶対に契約書を作成し、万が一飼えなくなってしまった場合の取り決めを細かくしておこうと決めた。

その後、1、2度アートさんからハナコは風花ちゃん宅で、犬との折り合いは良くなっていないが、風花ちゃんとは仲良くやっている様子だと聞いた。その状況を目に浮かべるのが難しかった。何度も会って話し、自宅も訪問させてもらった里親さんであれば、報告をもらった時に、猫の様子が目に浮かぶのだが、ハナコの場合はまるで情景が浮かばなかった。

それから数カ月後 アートさんから、風花ちゃんがツイッターでハナコの様子をアップしていると教えてくれた。ハナコ改めミロちゃんになっていた。それを本当に可愛がってくれている様子が浮かんできて随分ほっとした。そしてそのツイッターから風花ちゃんにメッセージを送ったところ、とても丁寧な返事が来た。そこには、「保護してくださって本当にありがとうございました。おかげでミロに出会い、幸せになることができました。」と。本当に良い子だった。出かける時は、家族がきちんとハナコの世話をしてくれ、若い女性で今後人生がどう変わってもハナコとは最期まで一緒に暮らしてくれるであろうことは確信でき、一件落着となった。

どんでん返しからのどんでん返しで、ハナコは結局幸せになれました、とさ。

【幸せになれたハナコ】
第56話

ハナコを保護してから安心できるまで8か月。波乱万丈過ぎで本当に疲れた。
今回もまた色んなことがあって非常に大きな勉強をした。これを機に、今後里親募集をするときは、相手がどんなに親しく良い人であっても、譲渡契約書の中に、終生飼育義務を認めた上で、それでも飼えなくなったら場合を想定した条項を盛り込むことに決めた。
続く。

コラムニスト:Candy (キャンディ)
ネコジルシ:保護猫日記
猫の里親募集:大田区のメイちゃん

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