コラム

第53話 性格はなまるハナコのストーリー その3

【これまでのストーリー】
2011年2月に里親として龍馬と凜子を迎えたものの(第1話第2話第3話)、その半年後に自分の不注意で龍馬を脱走させてしまい、(第5話から第26話)、その捜索中に出会った沢山の野良猫の避妊去勢手術に関わったことで、悲惨な野良猫生活の実態を知る。
その半年後に猫道と呼ばれる場所にて偶然猫の大群を見かけ(第28話)、人馴れした子猫を複数保護して知り合いに託したり(第29話)、ひ弱な子は手放せずうちの子にしたり(第30話第31話)、里親募集するつもりが貰い手なくうちに残したり(第43話第50話)、保護出来ない残りの約10匹の避妊去勢手術をしてその場に戻す(=TNR)ことに取り組む(第32話から第35話)。
また、近所の餌やりのシマコさんに頼まれて(第26話)、 パンジー公園の猫たちのTNRの手伝いもしていた(第36話から第38話)が、そこで人馴れしたハナコに出会い、病院に預かってもらいながら里親募集をすることになった(第51話から第52話)。

時は2014年7月。ハナコは里親会で希望してくれた若い男性をお断りしたので(第52話)、また始めからやり直しとなった。野良猫の保護活動をするようになって半年、ハナコで6匹目だがそれまでの5匹は結局自分が抱えるか、知り合いに押し付けるかのどちらかであり、一般の人を対象にした里親募集の成功体験はゼロのままだった。知らない人を短時間で、今後20年以上信頼し保護した猫を託せるかどうか見極めるなど、何と大変な作業なのだろう。自分が里親の時はわからなかったが、助けた命を託せる人を見極めるということは本当に大変だと思い知った。里親になることを検討している方には託す側の思いを理解してほしいと心から思う。

次の里親会を待っている間に、ベテランボランティアのサミコさんが、知り合いの知り合いが猫を探している、電話して話してみてと連絡をくれた。希望者さんは猫飼育歴経験が豊富で、今は高齢の猫1匹と高校生のお嬢さんとマンションの1階で暮らしているとのことだった。しかも、ハナコだけでなくもう1匹受け入れてくれるとの有難い申し出があり、ハナコと一緒に病院で預ってもらっていたクロミも一緒に検討することになった。クロミの保護主のルートさんはベテランボランティアだったので心強かった。
 
希望者さんと電話で話してみると好印象。では早速猫達とお見合いをと言ってみたところ、お見合いは不要、そのまま猫を連れてきて良いとのことだった。
え?会わなくていい?どんな猫でも受け入れてくれる寛大な人なのだろうと喜ぶべきなのかもしれないが、こちらは本人に一度も会わずに猫を連れて行く事はできなかった。自宅を確認して脱走対策もしてほしいし、先住猫がいるならケージも置いてほしいと話してみたが、先方は、大丈夫、大丈夫と楽天的。それにハナコとクロミを2匹受け入れてくれると言ってもらったが、ハナコとクロミは別の場所で保護され、病院でも別のケージに入っている。どちらも人馴れしたおとなしい子ではあったが、いきなり同じ空間に解き放つことは危険であることは、動物病院のドクターからも言われていた。そうなるとケージは2つ必要と言うことになるが、そんなスペースがあるのか、なければ時間差で1匹づつ受け入れてもらうのか、先住猫がどういう性格なのかも見ておかなければならないと話したのだが、とにかく大丈夫だから猫を連れてきてくれとのことだった。深く考えない人なのかもしれないと、とても心配になった。

先輩ボラのサミコさん経由の紹介ということもあり、面接し自宅もチェックしますみたいなことはとても言いづらく、どう対応したものか迷ったが、とにかくケージはどうしても置いてほしい、私から貸し出し持参するので、先にケージを組立ててもらっておいてから猫を連れて行きたい、その時に本人と家族にお会いしたいということを伝えた。

ルートさんと一緒に先方の自宅を訪問。ケージは必須であること、ハナコとクロミは1匹づつ時間差で迎えてと強調したが、楽天的に大丈夫と繰り返すばかりだったので、私は、大丈夫だと思っても、どうしてもケージは使用してほしいと強調した。すると、はいはい、わかりましたと軽く流され、本当にケージを使ってくれるのか確信を持てなかった。
そこにいた高齢猫は可愛がられていたようではあるが、歯周病の酷い口臭がしていた。見かねたルートさんが薬を飲ませてやってあげてと言っていた。

それ以前に飼ってきた猫の話を聞いてさらに不安が増した。今いる先住猫の他に、もう1匹猫がいたのだが、脱走して見つからないのだとか。どこからどう逃げたのか聞いてみると、この家はマンションの1階、庭があり柵をくぐるとその先は川土手だ。万一出てしまったら、見つからない可能性が高いと思われた。自分の猫を脱走させた前科がある私が言うのも何だが、脱走させて探せなかったという人はとても不安だ。見つかるまで探してほしいのだ。ここから逃げたら見つからないから絶対にケージは使ってくださいと念を押したが、はいはい、と軽く流されてしまった。
ケージを置いて私とルートさんはとりあえず帰宅した。

どうも私は気乗りがしなかった。良い人だろうとは思うが、ケージを使ってくれないのではないか、そして脱走させてしまい、見つからないと言われてしまうのではないか、猫飼育歴が長いだけに、こちらのいうことを聞いてくれないのではないかという不安を拭いさることはできなかった。

不安ではあったが、前回のケースと違って説得力のあるNG理由を思いつかなかった。そういう経験のない私はどう対応したらよいのかわからなかったが、経験豊富なルートさんも私と同じような不安を感じるとのことだった。
もともと紹介してくれたサミコさんにも相談してみたところ、少しでも不安がある場合は止めた方がいいとの助言だった。
結局、苦しい言い訳をしてお断りすることになった。先方も不信がっていたようで、気まずい雰囲気でケージを返してもらいに行った。はっきりと正直に理由を言えないで辞退したのは初めてだった。
少しでも不安を感じたらやめた方が良い、必ず赤い糸の里親さんはいるという事は、それ以降3年経った今でこそ確信をもって言えるが、里親募集で一度も成功体験がなかった当時の私は、そもそも全く不安を感じないような里親さんに巡り合う事があり得るのかという思いにかられていた。
続く。

コラムニスト:Candy (キャンディ)
ネコジルシ:保護猫日記
猫の里親募集:大田区のメイちゃん

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