コラム

第52話 性格はなまるハナコのストーリー その2

【これまでのストーリー】
2011年2月に里親として龍馬と凜子を迎えたものの(第1話第2話第3話)、その半年後に自分の不注意で龍馬を脱走させてしまう(第5話から第26話)。 
龍馬の捜索中に出会った沢山の野良猫の避妊去勢手術に関わることになり、悲惨な野良猫生活の実態を知る。それをきっかけに、その半年後に猫道と呼ばれる場所にて猫の大群を見かけた時(第28話)、人馴れした子猫を複数保護して知り合いに託したり(第29話)、ひ弱な子は手放せずうちの子にしたり(第30話第31話)、里親募集するつもりが人馴れできない為、貰い手なく仕方なくうちに残したり(第43話第50話)、保護出来ない残りの約10匹の避妊去勢手術をしてその場に戻す(=TNR)(第32話)ことに取り組んだりして、期せずしてどんどんボランティアの道に入り込んでいってしまった。

そして、うちの家には、私の意に反して一気に3匹も増えていた。
また、向かいに住む餌やりのシマコさんに頼まれて(第26話)、 パンジー公園の猫たちのTNRの手伝いもしていたが、そこで人馴れしたハナコに出会い、余りに性格の良い子だったので、外に放すことができず、病院に預かってもらいながら里親募集をすることになった(第51話)。

時は2014年6月、ハナコは里親会に参加したものの、可愛い子猫が沢山いる会場で、性格はなまるという以外とりえのない、フツーのおばちゃん猫のハナコにはお声かからず。ネットでの里親募集サイトでも見劣りするので問い合わせは皆無。
先輩には、性格良い猫は大人でも時間かければ必ず里親さん見つかると言われたが、それまでの里親募集での苦労を思い出すと、期待が持てる気がしなかった。

どうせ見た目で選ぶような人ばかりで、人間の出会い系サイトと同じじゃないかと、不信感を持ち始めていたが、自分はどうだったのかと思いだすと、最初に龍馬を里子に選んだ時の私は、やはりイケニャンの男の子が良いなどと言ったのだから人のことは言えない。不幸な野良猫事情を知らない一般の人の意識など、最初はそんなものでも仕方ないのかもしれない。しかし、最初はそうでも、根本的には愛情と慈悲と責任感を持っている人かどうかを見抜かねばならないと思った。

ハナコを預かってくれた動物病院でも、ハナコの性格の良さは太鼓判を押してくれていた。ハナコは絶対に元飼い猫だ。避妊手術もしてあった。無責任飼い主が逃したまま探さないか、捨てたか置き去りかにしたかに違いない。こんな良い子を見捨てるなんて許せない。何としても良い家族を見つけ、幸せにしてやらなければならないと思っていた。

一か月後に次の里親会があったが、私は都合がつかず、餌やりのシマコさんがハナコを連れて参加した。シマコさんは対外的な事は苦手とかで、里親さんとの交渉や決定は私に託されていたが、私もまだ新米なので、ベテランさんに助けてもらいながら進めていく。譲渡条件は、それまでと同様、終生飼育、完全室内飼い、遠方ではない、独居ではないことなどの簡単な条件しかつけていなかった。
しかし、それでは不十分だということを学ぶ事例に当たった。

里親会で若い男性から申し込みがあったとシマコさんから聞き、早速後日電話をしてみる。正直、若い男の子と言うのは想定していなかった。プライバシーにあまり踏み込まないように、しかし必要なことは聞かなければ判断できない。緊張しながら質問していく。両親と姉妹と一緒に暮らしている独身男性だった。 
仕事についてはストレートに聞きにくいので、やんわりと聞くようにしているが、ここで初めてわかったのが失業中。これまでは飲食店で働いていたので、留守も長かったようだが、次は何をするかまだ決めていないとか。
あちゃー。失業中かぁ。まだ若いので何らかの仕事は見つかるだろうが、不安要素その1だ。しかし、譲渡条件の中に失業中は不可とは入れていなかったことに気付いた。
独身男性とは正直想定外だった。これまで私が検討してきた里親希望者は皆、既婚の主婦だったので、ある程度今後の生活が決まっていて、猫がどんな暮らしをするのか想像できたが、独身となると何も決まっていないことになる。勿論、今既婚者だったとしても今後のことはわからないので、何があっても猫を終生幸せにできるのかどうかを見極めなければならないのだが、これまで独身男性の希望者に対応したことがなかったので、どう見極めたらよいのか正直言ってわからなかった。不安要素その2だが、独身男性は不可とも条件には入れていなかった。
家族はハナコの飼育に賛成かと聞くとイエスと答えた。しかし、先住猫のことを聞いてみると、自分の猫が1匹、あとお母さんの猫、お姉さんの犬など複数いるようだったが、それをどこでどのように飼育しているのかの答えがどうも要領を得ない。不安要素その3。
そして、これまでの他の希望者さんにもお願いしてきたように、自宅を訪問し、脱走対策も検討したいとお願いしたところ快く応じてくれた。

数日後にベテランボラさん2人も付き添ってくれ、この青年の自宅へ行く。
3階建ての1階の奥の6畳間がこの青年の部屋でそこに先住猫がいた。
若い男の子の部屋だ、といえば想像できるだろうが、私達が訪問するということで、一生懸命片づけたのだろう。沢山段ボールの箱が置いてあり、その中に散らかっていたものをとりあえず入れ、色んなものをズズーっと隅に寄せ、何とか私達3人が座れるスペース作ってくれた様だった。誰も来なかったら、普段はどんな状態なのだろうかと不安になる。不安要素その4。
ハナコがこの環境に慣れるまではケージに入れてもらわねば心配である。そのスペースはなさそうだった。不安要素その5。
そして他の犬猫はどこにいるのかと聞いたら、お母さんの猫は2階のリビングにフリー、お姉さんの犬は2階のお姉さんの部屋だけで飼育されている模様。事情はよくわからないが、この青年の先住猫とハナコは、彼の6畳間に閉じ込めで飼うつもりだったらしい。家族は賛成と言ったのは、自分の部屋のみで飼育すると言う条件付きだったことがここで初めてわかった。これは不可である。家族全員がハナコを歓迎してくれないとダメだ。不安要素その6。
一部屋に閉じ込めると出たがって暴れる可能性もある。彼の部屋から一直線に玄関があるので脱走の不安もある。それに一間だと温度管理が難しい。猫は自分で好きな温度の空間に移動するのだが、一間だと冷暖房使用時に猫が移動できない。閉じ込めは不可だ。

この青年にはまた検討して連絡すると言って帰路についた。
良い人ではあったが不安要素が多すぎた。何といってお断りするか悩ましかったが、やはり一部屋に閉じ込めるのではなく、自由に移動させ家族皆の猫として皆に可愛がってもらいたいという理由でお断りすることにした。

これでまた勉強した。この時の経験を基に、それ以降は、定収入があること、引っ越しの予定がないこと、一部屋に閉じ込めるのではなく、家中フリーで家族全員に可愛がってもらえること、適切な飼育環境を提供できることを、という条件を加えることにした。

やみくもに条件を厳しくすることは本意ではないが、やはり不安を抱えたまま譲渡はできないので、どんなに時間がかかっても納得できる里親さんを探そうと決めた。
続く。

コラムニスト:Candy (キャンディ)
ネコジルシ:保護猫日記
猫の里親募集:大田区のメイちゃん

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