コラム

第49話 猫道の猫達 その15 真央とミク 里親会初参加 散々な結果

【これまでのストーリー】
2011年2月に里親として龍馬と凜子を迎えたものの(第1話第2話第3話)、その半年後に自分の不注意で龍馬を脱走させてしまう(第5話から第26話)。
龍馬の捜索中に出会った沢山の野良猫の避妊去勢手術に関わることになり、悲惨な野良猫生活の実態を知る。その半年後、猫道と呼ばれる場所にて偶然猫の大群を見かけ(第28話)、人馴れした子猫3匹保護し、知り合いに託したり(第29話)、手放せずうちの子にしてしまう。(第30話第31話)残りの約10匹の猫は避妊去勢手術をしてその場に戻す(=TNR)ことにした(第32話)。
さらに先輩ボランティアの助けを借りて子猫2匹を捕まえ避妊手術をしようとしたところ、先輩に小さすぎて手術は出来ないと言われ、仕方なくうちで保護し人馴れさせた上で里親探しをすることに(第43話第44話第45話)。ネットでの募集への反応は上々でお見合いまでこぎつけたものの、真央はゴロスリ猫になれないと嫌だという理由で、ミクは自宅にケージを置けないという理由で破談になり(第46話第47話)、今度は里親会に参加することに。

時は2014年5月。真央とミクを保護してから3か月近く経過。人馴れが進まないまま里親会へ初参加。猫達は勿論、譲渡主である私も想像より遥かに緊張した。早く本当の家族に譲渡したい気持ちはあれど、里親会に来てくれる人はまったく初対面だ。保護された可哀想な野良猫を家族に迎えようと思ってくれた人達なのだから良い人に違いない、当然条件は守ってくれるに違いないと思ってはいても、実際、譲渡してみたら色々な考え方の違いやトラブルはあると聞く。まれに里親詐欺にひっかかることもあるやにも聞く。それはネットでの里親募集と同じで、ネットの場合より実際に里親会場で会って話ができるのだから、ネットより気持ちが楽なのではないかと想像していたが、実はネットよりもっと気を遣って猫は勿論、私の方が疲れてしまった。

ネットであれば、まずこちらの身元を明かす前に、条件からはずれていれば断る。条件を理解した上で応募してくれた人と、自己紹介を含めメールで何度かやりとりする。その何度かやり取りする段階で、ある程度その人の人となりはわかる。条件をクリアしているように見えても、挨拶の仕方や言葉の使い方などで常識的な人かどうかを見る。経済状態についても大事な問題だが、これは微妙な問題なので直球では聞けない。うまく間接的に聞きださなければならない。その辺はメールだからこそ、何度もやりとりしながらうまく聞きだしていくことができるし、また、お断りするときにも顔が見えない分、気は楽である。丁寧にお断りするが万一逆恨みされるようなことがあっても、その段階で身元を明かしていないのでトラブルにもならない。

里親会では希望者さんと対面し、初めて会った人の人となりから経済状態まですべてを失礼にならないように聞きだし、少しでも不安を覚えた場合、どうやって気分を害させずフェードアウトさせるか、万一申し込まれたらどうやってお断りしたらよいのか、後になって不安材料が見えてきたらどうしたらよいのかなど、不安でならなかった。ご自宅も見てないし、他の家族にも会ってないままに、その場で答えを出す事などできそうになかった。

周囲を見ると、他のベテラン譲渡主さんは、しばらく希望者さんと話をしたあと、その場ですぐに結論を出しているようで、次々と猫のケージの前に「里親さん決定」の札が貼られていく。

当時の私には、会ったばかりの人と少し話してどうしてすぐに決められるのだろうと不思議でならなかった。あとでわかったことだが、これは理屈ではなく、経験を積まなければ育たない直感と肌感覚が必要なのだ。人間のお見合い結婚と同じようなもので、理屈や条件だけではない。言葉では説明できないフィーリングや相性というものが必要だ。しかも、人間のお見合いなら、職業、収入、まで最初から条件に入っているし、それでもその後付き合いながら、不安になれば自分の意思で断ることもできる。しかし、猫の里親さんにはそこまでのプライバシーを初対面で直球では聞けないし、その後、猫を渡してしまったら、何がどうなっているのか見えないし、猫に意見を聞くこともできないのだ。それをこの場で一発判断しなければならないのかと思うと怖くて先へ進めそうになく、まず私の修行が必要だと思った。

修行が足りない私は、希望者さんに話しかけられるとビクビクしてしまったが、幸か不幸か、里親会では抱っこできる猫に人気が集中する。ネットではあんなに人気があった美猫姉妹の真央とミクでも、触れないようでは誰も申し込んではくれなかった。

その日の私は、猫のアピールをするよりも、会場で出会った先輩ボランティアさんたちに希望者さんとの話の進め方、押し方、引き方、断り方などのアドバイスを聞くことに関心があった。
先輩たちは親切に教えてくださった。話の進め方は相手があることなので、機械的にマニュアル通りにやればいいと言うものではなく、実際に場数を踏んで経験するしかなさそうだった。(当時から3年経過した今では、経験を積み自信もって里親会参加できる。昨年はトータルで7匹譲渡し、全ての猫が幸せになったと確信できている。)

ふと猫の様子を見ると、ミクがハアハア言いながら口呼吸をし、心臓がバクバクになっていた。すぐに里親会の主催者の先輩ボラさんに相談すると、シリンジで水を飲ませて下さり、会場にいらした主催団体のメンバーでもある獣医さんに診てもらえた。極度の緊張と会場が熱くなっていたこともあり、すぐにミクだけキャリーに移して控室で休ませた。

果たして初の里親会は 里親さんが決まらなかっただけではなく、ミクはドクターストップ、真央は、帰り際に洗濯ネットに入れたままキャリーに移し替える時に、緊張させて可哀想に思った私が馬鹿なことに、ちょっと抱っこしてしまったら大パニックで失禁。
帰宅後部屋に放したら2匹とも酷い目に遭ったとばかり、すねて隠れて夕食にも出て来なかった。猫達も散々だったが、私も疲労困憊だった。
続く。

コラムニスト:Candy (キャンディ)
ネコジルシ:保護猫日記
猫の里親募集:大田区のメイちゃん

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