コラム

第47話 猫道の猫達 その13 真央とミク お見合い破談の事例

【これまでのストーリー】

2011年2月に里親として龍馬と凜子を迎えたものの(第1話第2話第3話)、その半年後に自分の不注意で龍馬を脱走させてしまう(第5話から第26話)。
龍馬の捜索中に出会った沢山の野良猫の避妊去勢に関わることになり、悲惨な野良猫生活の実態を知る。その半年後、猫道と呼ばれる場所にて偶然猫の大群を見かけ(第28話)、人馴れした子猫3匹保護し、知り合いに託したり(第29話)、手放せずうちの子にしてしまう。(第30話第31話)残りの約10匹の猫は避妊去勢手術をしてその場に戻すことに(第32話)。
さらに先輩ボランティアさんの助けを借りて子猫2匹を捕まえ避妊手術をしようとしたところ、小さすぎて手術は出来ないと言われ、仕方なくうちで保護し人馴れさせた上で里親探しをすることになった(第43話第44話第45話)。ネットでの募集への反応は上々で、真央はお見合いまでこぎつけたものの結局断わられる(第46話)。

時は2014年4月。家庭内野良状態のままの真央とミク。初めてのお見合いで真央が断られた理由は「私の望むようなゴロスリ猫にならなかったらどうしようかと思うと決断できません。」とのことだった。(第46話)。

見た目が可愛いからかネットでは多くの問い合わせをもらうも、実際に会ってみようと思えるような人は少ない。
やっとこぎづけたお見合い。偶然にも家が近く、私と同業者で広いマンションに住むこの応募者さんは理想的な条件のように思えたので、私としては逃したくない思いで、時間かければ慣れてくるからと説得にかかった。
私にとっても初の本格的里親募集。この応募者さんも保護猫に里親として応募するというのも初めて。そして真央にとってもお見合いは初めて。みな初めて尽くし。
何をどう期待していいのか、誰もわかっておらず、手探り状態で進めたお見合いだった。
私は条件がよさそうな応募者さんを逃したくない思いで、長い目で見てほしいと食い下がってみたものの、返事は来なかった。

その当時から3年以上経過した今、譲渡経験も積んできた今の私からすれば、その人に譲渡しなくてよかった、と言える。

猫だって生き物。それぞれに意思を持っており、人間の思い通りになることはないのだ。
慣れてくれる猫もいるが、それは人間が思い通りにできた結果ではなく、猫自身が自分の意思で人間を信じ人間に甘えたいと思った結果だ。
人間でもそうだろう。自分が産んだ子でも思い通りにいかないのだ。
うちの息子の方が真央よりもっと私の思い通りに育ってない。それでも私は自分の子供なのだから愛情も変わらないし親として養育する。
猫に対しても思い通りにできるという期待をすること自体してはならないし、それを理解した上で里親になってくれる人でなければならない。
迎えて見て思い通りにならなかったら返すと言ったり、命に対して自分の好みを強制するような自己中心的な考えを持つような人では困るのだ。
その応募者さんも悪気があったわけではなく、それまで飼っていた猫が皆人なれしたゴロスリ猫だったので、真央のような猫にはどう対応してよいかわからなかったのであろう。

あとで先輩に聞いたところ、環境によって猫の態度も全く違うのだそうだ。保護主の家にいた時は警戒して人間によりつかなかった猫が、里親さん宅ではすっかり甘えん坊になることも、また逆もあるそうだ。また里子に出してから急に粗相をするようになった子もいる。

昨年私が保護した礼ちゃんと言う子猫(第27話)も、私が保護してすぐにある人に預かってもらっていたが、預かりさん宅にいた時は、懐きも悪く問題児と見なされ、長い間一人ぼっちで隔離されていたのものが、優しい里親さんにもらわれてからは、同じ猫とは思えないほどに甘えん坊になったとか。
環境や共に暮らす人間の接し方によっても猫は大きく変わるらしい。迎え入れて見なければわからないところも多いのだ。
譲渡に際し、お試し期間と言うものがあるので、受け入れみてどうしてもダメだと思えば、その期間内ならば返しても良いことにはなっているが、生き物なのでその期間内で全てを見極められるわけではないし、その後に何がどうなっても飼育放棄をしないという覚悟を決めなければ生き物は飼えない。人間の子供だって、何がどうなってもその子を愛しみ育てていく覚悟がないと産めないのと同じだ。

その後しばらくして先輩ボラさんに三毛を欲しいという女性を紹介された。ミクが亡くなった先住猫によく似ているので引き取りたいとのことだった。メールと電話で話をさせてもらったところ、とても印象が良かったのでお見合いにきてもらった。
残念なことに彼女も真央と2匹一緒ではなく、すでに先住が2匹いるのでミクだけで検討したいと。
真央とミクを保護してから既に2か月経過しており、里親探しも難しいものだと実感していたので、人馴れ不十分なミクでも長い目で馴らしてくれるというのなら、2匹一緒にと言う条件は譲歩しようと決めた。
しかしこの応募者にもネックがあった。ケージだった。

どんな猫でも、ミクのような警戒心の強い猫は特に、新しい家に行くと警戒してどこかに隠れてしまう。いきなり知らない家の中に放したらどこに隠れたかわからなくなるし、ミクのような触れない猫はそのまま二度と捕まらなくなる可能性もあり、最悪の場合、猫が逃げようとしてドアを開けた隙に外に飛び出してしまうこともあり得た。知らない土地で脱走したら、餌もないし野良猫の縄張りにうっかり入ってやられてしまう。
その上、その家には先住猫が2匹いる。猫同志の相性を確認する前にいきなり同じ空間に放したら死闘になってしまう可能性があるので、ケージ越しにゆっくりと対面させなければならない。ケージはどうしても必須だったのだが、置く場所がないと。
先住猫は子猫の時に保護しケージは必要なかったので、今回も想定していなかったようだった。

なかなかうまく話がまとまらないことに焦りを覚えた私は、ケージについても譲歩できるか考えようとしたが、結局その応募者さんは人馴れもケージも問題なさそうな生後2か月の子猫を譲りうけることにしたと断ってきた。

その時はわかっていなかったが、ケージの譲歩をしなくて正解だった。していたら大変なことになっていただろう。

2回とも破談になって正解のお見合いだったが、神経を遣い私も猫も疲労困憊だった。
続く。

コラムニスト:Candy (キャンディ)
ネコジルシ:保護猫日記
猫の里親募集:大田区のメイちゃん

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