コラム

第44話 猫道の猫達 その10 家庭内野良の人慣れ訓練

【これまでのストーリー】
2011年2月に里親として龍馬と凜子を迎えたものの(第1話第2話第3話)、その後2013年6月に自分の不注意で龍馬を脱走させてしまう(第5話から第26話)。 
その捜索中に出会った沢山の野良猫の避妊去勢に関わることになり、悲惨な野良猫生活の実態を知る。その半年後、猫道と呼ばれる場所にて偶然猫の大群を見かけ(第28話)、人馴れした子猫3匹を保護して、2匹を知り合いに託し(第29話)、ひ弱なくるみは手放せずうちの子にしてしまう。(第30話第31話)残りの猫は避妊去勢手術をしてその場に戻すことに(第32話)。
しかし、なかなか捕まらないサビ猫のデビが妊娠してしまったり(第33話第34話)、避妊去勢手術に反対するおじさんの妨害に遭ったりして苦労しながら(第35話)、メス2匹を捕まえるも、先輩ボランティアのパインさんに、小さすぎて手術は出来ないと言われ、仕方なくうちで保護し、人馴れさせた上で里親探しをすることになった(第43話)。

TNR(避妊去勢手術して元の場所に戻す)だけのはずだったミクと真央を予定外にうちにいれたものの、人馴れしていない猫を自宅に入れるのは私も初めて。ミクと真央も人間の家に入るのは初めて。お互いどう向き合ってよいかわからず、初めて同士の共同生活はなかなか厳しいものだった。
先輩ボランティアさんからは、触れるようになるまでケージから出さない、出すと二度と捕まらず、家庭内野良になってしまう可能性があると助言を受けた。
人馴れした先住猫の様子を見ていれば人間を信用するようになるから、と言われ、先住猫と人間が集まるリビングに大きめのケージを置き、そこに2匹一緒に入れた。先住の龍馬と凛子は新入りに威嚇するが、同じ場所で顔見知りだったくるみは懐かしそうに迎えた。

保護猫はどんな猫でも最初は絶対ケージに入れる必要がある。先住猫が居る場合は感染症予防の意味もあるが、人馴れさせる為と脱走防止の為、ケージは必須である。
部屋が狭いからとケージを置くことを嫌がる飼い主さんもいるが、初めての場所でいきなり家の中に猫を放したら、パニックしてどこに隠れたかわからなくなることがある。

一番怖いのは、どこにいるのかわからないまま、隙を見て脱走されることだ。新しい飼い主の家にもらわれて、土地勘もないところで脱走されたら自分で帰って来れないし、警戒心の強い子ならなかなか見つからない。私自身が龍馬を脱走させた悲惨な経験があるので、脱走対策には私は人一倍神経質だ。
真央とミクについても、当然ケージに入れた。最初に龍馬を迎えた時もそうしたが、落ち着かせるためにケージをカバーで覆い、毎日少しづつ人間と接触する。最初はご飯とトイレ掃除の時に、一部だけカバーを開け、名前を呼んで撫でる。すると猫はご飯を運んでくれる手の匂いを覚え、この手は大丈夫だと認識する。
警戒激しい場合は、少し離れて歯ブラシなどで撫で、少しづつ距離を縮めていく。

ミクの方は外にいる時から餌やりさんのそばに寄って来ることもあったらしく、気が向けば触らせてくれるが、捕まえて抱っこすることはできなかった。
一方、真央は全く人間を信用せず、目が合っただけでフーシャー威嚇が激しい。人間に触られるなどとんでもなく、唯一心を許せる姉妹のミクにぴったりくっついていた。
まずはミクから抱っこの練習をしようとしたが、ケージから出すと二度と捕まらないかもしれないので、洗濯ネットに入れるように先輩から助言をもらう。 洗濯ネットというのはすぐれものだ。中に入れられた猫は走って逃げることはできない。
だから、人馴れた猫でも病院など外に連れて行くときは、キャリーに直接入れないで、一旦洗濯ネットに入れてからキャリーで運ぶと良い。
キャリーに直接入れて病院に連れていく途中、きちんと蓋が閉まっておらず、猫がこじ開けて出てしまったとか、キャリーを持っていた人間が転んで蓋が開いてしまい、猫が出てしまったなどとは良く聞く事故だ。
自宅内ではなく、見知らぬ場所でいきなり外に放り出された猫はパニックして隠れてしまい、見つからなくなってしまうことが多い。
知らない場所で食べるものもなく、雨露をしのぐ寝場所もなく、他の猫の縄張りに足を踏み入れようものなら半殺しの目に遭う。どれほど怖い思いをして放浪していることか、飼い主は自分の2歳の子供が外で迷子になったのと同じだと思って必死で捜索してほしい。

実はつい最近も全くその通りの事故がおきた。ある人が避妊手術を受けさせる為に病院に連れていったところ、病院の目前でキャリーの蓋が開いて猫を逃してしまったのだとか。普段からいい加減な飼い方をしているらしく、飼い猫を脱走させたのは1回や2回ではないと聞いた私は怒り心頭だが、その猫を見つけてやることが先決なので、その地域のボランティアさんに話をつないで協力を仰いでいるところだ。
その事件についてはまた後日詳しく書くとして、ミクと真央の話に戻ろう。

洗濯ネットに入れて人馴れ訓練をしようにも、なかなか難しい。ネットに入れるだけでも大変だ。猫も恐怖心一杯なので必死で抵抗する。こちらも血だらけになる。あまり無理すると益々警戒される。
触る訓練はもう少し落ち着いてからと思ったものの、問題は夜鳴きだった。
猫達は狭い檻に閉じ込められて大パニックを起こし、夜鳴きはするし暴れるしで、私は眠れなくて参った。
先輩ボランティアさんに相談すると、それでもケージから出すなと言われた。

しかし、だ。
仕事をしている私は寝不足になり仕事に支障が出そうになったのと、こんなに泣き叫んで暴れたら猫の方もおかしくなってしまうのではないかと心配にもなる。

そして、とうとう根負けした私は2週間足らずでミクと真央をケージから出すことにした。納戸になっていた部屋に真央とミクを放したら、夜鳴きは治まった。
その代わり人間がいつもいる部屋ではないので、人馴れは進まない。
たまにその部屋に入っていくと、子猫らしくおもちゃには反応するものの、一向に触れるようにならず、その後里親探しが本当にできるのか不安で一杯だった。
続く。

コラムニスト:Candy (キャンディ)
ネコジルシ:保護猫日記
猫の里親募集:大田区のメイちゃん

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