コラム

第42話 号外 猫ボランティアとは何か その5 ボランティア側からの歩み寄りも

【これまでのストーリー】
2011年2月に保護猫の龍馬と凛子の里親になったものの(第1話第2話第3話)、その後に龍馬を脱走させてしまい(第5話から第22話)、その地獄の捜索の中で多くの野良猫に出会い避妊去勢手術に関わり(第23話から第26話)、それがきっかけで野良猫救済ボランティアをすることに(第27話から第38話)。
その活動日記を第38話で一旦中断し、号外の緊急トピックとしてボランティアとは何かということについて書くことにした(第39話第41話まで)。それは、ボランティアをあたかも無料の便利屋サービスのように誤解している人が多くいてボランティアを苦しめていること、また逆方向の誤解も実はあると気づいたからだ。
ボランティアに助けてもらった経験も、ボランティアとして助けた経験もある私だからこそ見えてきた両者の間の大きなギャップ。それが埋められれば、もっと多くの猫が救われるような気がしている。

前話までで一般の人にボランティアへの接し方、助けの依頼の仕方を考え直してほしいということを書いてきたが、今回はボランティア側にもそのギャップを埋めるためにできることはないのかを考えてみたい。

最近こんなことがあった。
久しぶりに会った犬好きのAさんとペットについて話していた時のこと。私は今や猫の保護、里親募集ボランティアまでしていると言った途端、Aさんの顔がキッとなった。里親会、ボランティアというものに良くない印象を持っているようだった。
詳しく聞いてみると、Aさんはある犬の譲渡会に行き里親になろうとしたところ、年齢で断られたとご立腹だった。
そこまで聞いた時、私はすかさず、私も猫の里親募集では年齢制限を設けている事を説明した。条件を厳しく設定すると、上から目線だと非難を受けることがあるが、何も偉そうにしたくて断っているのではない。私達保護主としては多くの猫を抱えているので、本音を言えばできるだけ早く多く譲渡したい。しかし、我が子同然に可愛い保護猫を託すにあたっては、その猫が寿命を迎えるまで、どんなことがあっても幸せにしてくれる人でなければならない。猫は20年以上生きる可能性がある。誰しも先のことはわからないが、譲渡する時点で不安材料が見えている人はダメなのだ。そのため年齢制限を設けざるを得ないのだ。(この問題はとても大事なのでまた後日)

するとAさんは、「それは私だってわかる。でもまだ59歳だったのよ、それなのに貴方は年寄りでもうすぐ死ぬからあげられませんみたいに言われ、その言い方があまりにも失礼で頭に来たの。それに私は仔犬がほしいなんて言ってないのよ。」と当時を思い出しながらまた怒り出し、「だからペットショップで買ったのよ」と言った。
私はまず「そんな、勿体ない!」と思った。保護犬、しかも成犬を迎えてくれる人なんてそうそういない。この人は高級住宅地の一戸建てに住むお金持ちでご主人と二人暮らし。どちらも立派な仕事をしていて私から見れば申し分ない里親さんだ。
「今からでも是非里子に迎えてくださいよ、良い犬のボランティアさんを紹介しますから。」と私が言うと、「心配しないで。ちゃんと5歳位で売れ残っていた子を買ったから」と。
その犬はペットショップから彼女に引き取られた後 癌になったが、充分手を尽くして治療し癌を克服したとのことだった。何と素晴らしい飼い主ではないか。
その譲渡会ではこの人を一体どういう評価で断ったのだろう。そしてどうしてそんなに失礼な言い方をしたのだろう?本当にそう言ったとしたら、たまたまその人が非常識で品格のない人だったということなのだろうが、問題は断ったことではなく、その人の不適切な物言いのために、譲渡会で嫌な思いをした彼女は、自分が動物ボランティアを敬遠するだけでなく、周囲にその嫌な体験を話しただろう。その結果、譲渡会に来てくれる人が減り、幸せになれるかもしれない犬猫が減ってしまうことだ。

同時に別の考えもよぎった。もしかしたら、言った側のボランティアはそんなつもりはなく、普通に断ったつもりが、彼女にはそのような失礼な発言に聞こえたのかもしれないと。
それは個人の品格の問題ではなく、動物愛護の世界のカルチャーの問題かもしれないと思ったりもした。
というのも、私が知り合いに猫ボランティアをしていると言うと、譲渡会やボランティアにあまり良い印象を持っていないという人や、実際に譲渡会に行ってみて嫌な思いをしたことがあるという人が意外にも多くいるからだ。
何が嫌だったのか聞いてみると、ずけずけと立ち入った質問をされたり、その質問の仕方が失礼だったり、断る時の断り方が無情でショックだったとも言っていた。もちろん大半の譲渡主は丁寧に常識的に対応しており、そう感じさせる人はほんの一部なのだと思うが。
実は私自身もかなり前のことだが、里親会で断られている人を見て、その断り方では気の毒だと思ったことがあった。
厳しい条件を設定したり、初対面で立ち入った質問をすることは、譲渡会においては必要なことであるが、恐らく動物の譲渡会の独特の慣習だろう。そのカルチャーが充分理解されていないのだと思う。まずは、相手の立場に立ち丁寧な言葉でじっくり説明して理解を得るところから始めなければならないのではないだろうか。
譲渡する側は長年やってきて慣れていることを、いつも通り普通に必要な質問をし、いつも通り普通に断っただけなのであろうが、初めて里親になろうと思って里親会に足を運んでくれた人たちは、そこで個人的な質問をされたり断られたりすると、戸惑ったりショックを受けたり、こちらが思っている以上に傷ついたりするのだと思う。どんなに忙しくても相手の気持ちになって言葉を選ぶ必要があると思う。

動物ボランティアは本当に大変な尊い活動だ。もっと感謝されてしかるべきだと私は思う。それが一部の人の言動によって、誤解されたり敬遠されるのは不本意だ。もっと理解してもらい、共感、協力してもらえるところまで持って行き、より多くの動物を救うことにつなげたいと思う。

私自身も本格的なボランティア活動2年目を迎えた今、自分も気を付けるだけでなく、このような感覚のギャップを見つけたらその橋渡し役も務めていきたいとも思っている。

コラムニスト:Candy (キャンディ)
ネコジルシ:保護猫日記
猫の里親募集:大田区のメイちゃん

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