コラム

第39話 号外 猫ボランティアとは何か その2 悪意なき誤解

【これまでのストーリー】
2011年2月に保護猫の龍馬と凛子の里親になったところから始まった私の猫ライフ(第1話第2話第3話)。その2年半後に龍馬を脱走させてしまい(第5話から第22話)、1か月間の地獄の捜索体験をする中で、多くの野良猫に出会い、避妊去勢手術に関わることに(第23話から第26話)。それがきっかけで野良猫の悲惨な実態を知り、近所で見かけた野良猫の避妊去勢手術、保護、里親探し活動をする事になり、日々活動中(第28話から第38話)。

第38話までで、今から3年前に私が保護活動をし始めたところまで書き進んできた。
その後も現在までの活動の中で、書きたいネタはたっぷりあるのだが、猫ボラ活動日記を一度中断してぜひ伝えたい事がある。

里親になって龍馬を脱走させた時と、その後保護活動をするようになってから、新米で経験浅い私は何度となく愛護団体やボランティアさんに助けを求めたことがあった。親切に助けてもらった事あり、返事がなかったり断られたりした事あり、悲しい思いをした事もあり、また逆に自分がボランティアとして、助けを頼まれるようになり、感謝される事もあれば、大きな迷惑を被ったり、心無い人によって傷ついたり非常に不愉快な思いをする事もあった。
また、里親として譲渡主から猫を迎えた経験もあり、またボランティアとして野良猫を保護し里親探しをし、喜びだけではなく苦労や不愉快な経験をした事もある。
ボランティアと相談者、そして譲渡主と里親、両方の立場を経験してみて、ボランティアと一般の人の間には大きなギャップや誤解があり、それが動物愛護の推進を妨げる一因でもあるということに気づいた。
それを私なりの視点で描写し、誤解を解いて両社の距離を縮めることができれば、それが長期的には不幸な猫を減らすという目標に近づける一歩になると信じている。

このようなトピックについて書きたいと思ったのは、最近のある不愉快な体験がきっかけだ。

近所で野良猫のTNR(T=捕獲、N=避妊去勢手術、R=元の場所に戻す)をしていた時のことだ。捕獲器をセットして猫を捕まえようとしていたら、通りかかったおばさんに話しかけられた。
「何してるの?」
こうやって興味をもってくれる人がいたら儲けものだ。この機会に少しでも啓蒙ができるからだ。
「猫の避妊去勢手術をするために捕まえているんですよ。猫の繁殖力はすさまじく、一年で3回、1回に5~6匹、生後半年から産むこともあるので、一年で30匹になることもあり得るんですよ。手術したら耳カットして元の場所に戻します。耳カットしてない猫は未手術なので 見つけたら手術しないとね。」
「へえーご苦労さんだねぇ。」とおばさん。
いやいや、褒めてくれなくていいから、自分の近所でも積極的にやってほしい。

するとおばさんが続けた。
「その手術代ってどうしてんの?」
来た!だいたい興味は猫じゃなくてお金の話。残念ながら。
本来は餌やりを含めその近隣の人が、野良猫は地域の環境と問題ととらえ、近所でお金を出し合って手術するのが正解だと私は思っている。それを地域猫と呼び、環境省も東京都も私の住む区でも推進しているが、なかなかそういう概念が浸透せず、仕方なく私のようなボランティアが個人で自腹を切って手術していることが多い。
そもそもそういう事態にムカついていた私は、未熟ながら正直な言葉が出てしまった。

「誰も払わないから私が払ってますよ!!」と。

そしたらすかさずそのおばさんが、
「へー、ただでやってくれんの?だったらうちの近所も来てよ。」
はぁ?怒りが湧いてきたが、このおばさん悪気があるわけじゃない。猫ボランティアとはそういうものだと思っているだけなのだ。
いかん、怒っては。これは啓蒙の機会だ、と私は自分の怒りを抑え、
「本来は、それぞれの地域の方が、地域の問題としてお金を出し合って手術すべきことです。捕獲は難しいのでお手伝いにはいきますが、ボランティアがすべての野良猫の手術代を負担したら破産します!!」とまくし立てた。

するとおばさん、ケラケラ笑いながら、
「ははは、そうだよね、ごめんね。」と言って立ち去った。
絶対手術代を出すことはなさそうなおばさんだった。
ボランティアはお金を提供するATMではありません!!と叫びたい気分だった。

しかし、後で私も反省した。こういう時こそ感情を捨て、うまく啓蒙するような話をしなくてはならない。私が払っているなんて言わずに、嘘でも良いから地域の方が協力して出し合っている、おばさんところでもやってね、と言って学んでもらえばよかったのかもしれない。まあ、学んでくれるようなおばさんではなかったが。

他にこんなケースも。
近隣に住民が増えすぎた猫に困り果てて、ボランティアではないが、近所で手術代を集め、捕獲器を借り、TNR活動を始めた人達がいた。素晴らしい試みだと私は称賛し、何度かその捕獲を手伝った。
しばらくすると、自分達は忙しくて続けていられないので、この活動を引き継いでくれるボランティアさんを紹介してくれないかと相談された。

捕獲もお金もだ。

それをこの世界の専門用語で丸投げといい、ボランティアが一番嫌うパターンだと習ったことがある。丸投げを引き受けてくれるボランティアはいないどころか、そのような話をもちかけただけで怒る人もいる、ということを伝え、自分の家の前は自分たちで対応を継続してもらっている。これはとても優秀なパターンだが、その人達も猫ボランティアを誤解していた。

これらは一般の人による動物ボランティアと言うものへの悪意なき誤解の事例だ。
多くの人がしていることだと思う。そういう私も実はボランティアを始める前は似たような誤解をしていたこともあるなぁと反省も含めて思い出す。
他に悪意のある丸投げもある。もっと酷いのは悪意どころか敵意の攻撃というものもある。
そして問題は相談者の方だけではない。ボランティアサイドも改めなければならないこともあると思う。自分の反省の機会とも捉え、じっくり事例を紹介していきたい。
続く。

コラムニスト:Candy (キャンディ)
ネコジルシ:保護猫日記
猫の里親募集:大田区のメイちゃん

 

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