コラム

第26話 影のボランティアさん 発見 そして遂に…。

龍馬を里親に迎えたのは5年半前(第1話第2話)。頼んでもいないのに付録みたいに付いてきた凜子まで一緒に迎え(第3話)、それだけで十分ボランティアをしているつもりでいたが、それから1年半後に自分の不注意で、龍馬を脱走させ、壮絶な捜索体験(第5話から第22話)をする。その捜索の26日間に出会った野良猫TNR(捕獲、避妊去勢手術して元の場所に戻すこと 第8話)や病気の猫の医療費負担、そしてその後おまけの事件にまで巻き込まれたが(第23話第24話第25話)、やっと日常を取り戻す。
以前のように多忙な日々を過ごすうちに、また以前のように全く猫に遭遇しなくなった。

ここで、龍馬捜索事件の締めくくりとして、ある人の事を書かねばならなかったことを思い出した。その後また私が猫ボランティアの世界に入ってくるきっかけになった重要人物の一人である。
近所のおばあさん、シマコさんだ。

龍馬の捜索中、よく声をかけてくれ、時々外を見まわってくれていた人だった。猫好きな人だろうとありがたく思っていた。
騒動が終わってしばらくして、このおばあさんが封筒にお金を入れて持ってきてくれた。
「沢山の野良猫を手術させて随分お金使ったんでしょう?」と。
え?龍馬を探している間に野良猫の手術までしていることなど殆ど近隣の人との話題には出なかった。
龍馬の捜索が大変ね、とか、まだ見つからないのという会話はあっても、野良猫の話に興味がある人など殆どいないし、捕獲器を見ても何をしているか聞かれたことがなかったし、ましてや、そのお金を誰が負担しているかなどと聞く人はいなかった。
私だってそうだった。Sさんと共に野良猫の捕獲をするまでは、TNRなどという言葉も概念も知らず、ボランティアが自分の個人のお金を出してまで野良猫の手術をするなどということは初めて聞いて驚いたくらいだ。

龍馬を譲渡された時に、言われた譲渡費用を払ったが、それが通常の動物病院の料金よりはるかに安いので、どういう計算の金額なのか理解できなかったが、深く考えもしなかったし、一部でもこの譲渡主が支払っている金額があるとは思いもしなかった。
つまり、普通の人は考えない事なのだ。

それなのに私が捕獲器を持って近所を歩いている姿を見て、このおばあさんは胸を痛めてくれたらしい。
しかも、「近所で寄付集めようとしたんだけど、誰も野良猫なんかには一円も出してくれないのよ」と。
とんでもないこと!とその時は思った。(今は別の考えがあるが、それは後日)
当時は、とにかく脱走騒ぎで近所に迷惑をかけているので、無事に龍馬を探すまで誰にも文句を言われず、思う存分捜索したかった、だから野良猫活動のこともお金の話もしたくなかったのだ。

一体何者?このおばあちゃん、と思い、よくよく話を聞いてみると、こっそりある餌場で野良猫群に餌をやっている人らしかった。ボランティアとか何らかの理想や大義を追いかけて活動している活動家という雰囲気の人ではない。
ただ出会った野良猫がおなかすかせていることに心を痛めて、毎日こっそり誰もいない夜明けに餌場に出向いて、その場で与え跡形もなく片付けて帰ってくる。そのことは誰にも言わない。
そして耳カットしていない猫(未手術の猫 第8話)を見かけると、自分は捕獲器が使えないから、知り合いのボランティアさんに頼んで捕獲してもらい、手術に連れて行ってもらっているのだそうだ。
しかし、その餌の時間が朝4時なので、手伝いに来てもらいにくいとか。

私は、そんな人にお金出してもらえないよ、とお断りしたのだが、どうしても取ってくれと言われたので、私はそれを龍馬の保護主で大規模にボランティアをしているSさんに全額寄付した。
そして、シマコさんに、捕獲に困ったら私が手伝うから連絡して、と言ってしまった。
こんな風にひっそりとボランティア活動しているおばあさんが困っているのに、捕獲器使える私が手伝わないわけにはいかないと思った。

それからしばらくはシマコさんからの連絡もなく、私は龍馬脱走前の猫を見ない生活に戻った、いや、猫が見えない人になっていった。
駅からいつも自転車で自宅までわき目もふらずに5分ダッシュ。
翌日仕事に行くまでに家でやるべきことは山ほどあるので、それをどう片づけるかで頭が一杯。
10年近く同じ道を走っても、どこにどんな店があるのか見てもいないし、自宅までの地図も書けない。
これじゃあ、猫なんか見えるわけがない。
ある意味 平和だった。
いや、平和でない世界が見えていなかっただけだが、平和だと錯覚していた。

それから半年。
運命の日がやってきた。
毎日通る道なのに、なぜかその日に限って道路の左手にある坂道の上にある小さな広場を見上げた。
嫌な予感…。自転車から降りて、恐る恐る坂道を上がると、いた!!

ついに見てしまった。
子猫3匹!人馴れして逃げもしない。
しかも風邪をひいて目やにで目がぐちゃぐちゃ。せめて病院くらい…と思ってしまった。
しかし、その子達だけではなく、周辺には人馴れしていない猫も多数遠巻きに私を見ていた。総勢12、3匹。

どうする、どうする?
動揺してしばらく立ち尽くした。
続く。

コラムニスト:Candy (キャンディ)
ネコジルシ:保護猫日記
猫の里親募集:大田区のメイちゃん

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