コラム

第24話 ボランティアの入口へ。その2 ~ノミ屋敷おじさんの手術妨害~

龍馬(第1話第2話)の脱走事件(第5話から第22話)が解決し、捜索を手伝ってくれていた龍馬の譲渡主のSさん(第1話)と共に、以前から気になっていた皮膚病の野良猫を救いに向かったところ、その近くのノミ屋敷で野良猫親子を見かけてしまう。
Sさんはどうしてもほっとけず、子猫2匹を捕まえ自宅に連れ帰って里親探しをすることになり、母猫は当日捕まらなかったので、私とノミ屋敷の近所の女の子が後日協力して捕獲、避妊手術をさせることになった。(第23話

手で触れない野良猫は捕獲器で捕まえるのが普通だが、捕獲器というのは使い慣れない人には難しい。
私は龍馬の捜索中、龍馬を捕まえる為に使い方をSさんに習い、その間に捕獲器に入った野良猫を避妊去勢手術連れて行っていた(第7話第8話)ので慣れてはいた。
普通捕獲しようと思う猫が居る場合は、近隣で餌をやっている餌やりさんを特定し、餌やりの時間、すなわち猫が集まってくる時間を突き止め、その前から対象猫だけ餌をやらないように協力してもらうことが必要である。
ところが、このノミ屋敷おじさんは常時餌を置きっぱなし。いくら餌をやらないでくれと頼んでも置く。近所に住む女の子におじさんが餌を出したら勝手に片づけてくれるように頼んだが、片づけてもまたやる。それどころか一度捕獲器に猫が入ったのに自ら蓋を開けて逃がしたような形跡も。明らかに捕獲を邪魔している。
Sさんが子猫2匹を里親探しの為に連れて行ったことにも怒っている。自分の猫でもないし、里親探して幸せになれるのに怒るのだ。猫の幸せを考えているとは思えない。

このように野良猫の不妊化手術を邪魔されるケースは実はよくある。
猫ボランティアに敵対するのは猫嫌いだけではない。このおじさんのように猫好きの中にも敵対する人がいる。それは避妊去勢手術反対論者だ。
反対派には二種類いるようだ。一つは自分の主義主張として、猫の自然の姿に干渉するなという考え。自論の中では、それが動物愛護であり、避妊去勢は動物愛護に反する行為だと思っているらしい。
この人達は思想家に近いのか、彼らのSNSを見ると色んな問題に(主に政治)熱く意見を書き込んでいることが多い。
私や大半の猫ボラの考えは、自分の主義主張より、不幸な命を増やさないことこそ大事だと思うが、彼らは、無限大に繁殖させた結果、生き抜けない猫が非業の死を遂げたり、人間社会にトラブルを巻き起こしたりして、結果猫が不幸になっていることについて考えていないように思える。
私も一度この類の人に遭遇して、避妊手術の為の捕獲を邪魔されたことがあったが、何をどう言っても聞き入れない。逆に捕獲や不妊化手術は虐待などと悪態つかれた。
その話もまた後日。

このノミ屋敷おじさんはそれとは違うもう一派のようだった。
主義主張などなく動物愛護というより自己愛で可愛がっているような人達だ。不幸な命を産ませないとか、里親を探して猫が幸せになることは考えず、自分に懐いた猫がいなくなることがただ寂しいだけではないかと思える人達。
ノミ屋敷おじさんは、家族もなく生活も苦しそうで、猫しか話し相手もいないのではないかと想像できる。おじさんも気の毒だとは思うが、猫の幸せを考えれば許容できる行為でない。
自宅内で飼う気もなく(往々にしてはペット不可の住宅の人が多い)、外猫のまま餌をやり、手術をする気もなく、手術代を出す気もなく、都合の良い時だけ一緒に遊び、どれだけ増えてもお構いなし、近所の苦情が来ても改めることもなく、よくトラブルになっている。
こういう人を私達は無責任餌やりと呼ぶ。

餌やり問題は奥が深い話なので、また後日書くが、
このノミ屋敷の一件、おじさんの邪魔のせいで数日通っても新米ボラの私には母猫を捕まえる事ができなかった。結局ベテランのSさんに再度現場まで来てもらい、めでたく母猫捕獲。Sさんが自分の近隣の動物病院で割安料金で手術してもらい、また元の場所に戻してくれることになった。
おじさんの所には戻したくなかったが、猫の社会には縄張りがあるので、他の場所では生きていけない。
人慣れしてない大人猫は里親も見つからない為、元に戻すしかない。

やっと終わって帰ろうと思ったら、捕獲現場で通りかかった見知らぬお婆さんから話しかけられた。
自分の自宅にも餌を食べに来ている野良猫がおり、どうやらメスらしいと。
手術する必要があることは理解していたが、躊躇していた模様。
躊躇の原因は、手術反対論者というわけでもなく、ただ捕獲器という罠にかけることが可哀想だという漠然とした思いと、捕獲器を仕掛けて手術したしたら、もう自分のところに帰ってきてくれなくなるのではないかという自己愛派ではあったが、無責任餌やりではなく、手術の必要性も理解し、その費用も自分で出すと言っていた。
Sさんが、捕獲器も慣れたボランティアがやれば安全であること、野良猫は捕獲器でしか捕まえられないこと、機会を逃したらすぐにまた妊娠してしまうこと、手術後元の場所に放し必ず餌場に戻ってくることなど説明すると、お婆さんは納得し、捕獲と手術をお願いしたいと丁寧に言ってきた。

本来はこうあるべきだ。自分が餌をやっている限りは、餌の片づけ、糞尿掃除、集まってくる猫の不妊化手術まですることが本来の餌やりの責任の範囲だ。

ノミ屋敷での捕獲を終え、Sさんの車で自宅まで送ってもらっている途中でまた猫を見た。
Sさんが「また猫だわ」と悲鳴を上げた。
さすがの私もSさんのことが心配になってきて、Sさんを止めなければと思った。
続く。

コラムニスト:Candy (キャンディ)
ネコジルシ:保護猫日記
猫の里親募集:大田区のメイちゃん

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