コラム

第19話 龍馬脱走事件 その15

今から3年前。里子に迎えた龍馬を(第1話第2話)私の不注意で脱走させてしまい(経緯は第5話から第18話)25日目。もう疲労困憊。何に疲れるって、早朝から深夜までの見回りではない、ありとあらゆる事件が巻き起こることだ。特に第17話第18話に紹介したように、私は龍馬を探すことだけに集中したいのに、その捜索の中で多くの野良猫に遭遇、また動物に無理解、無責任な人間にも遭遇する。多くの優しい人に協力をもらい感動することもあったが、それが相殺されてしまうほどの不愉快な事件が相次ぐ。
25日目。龍馬を捕まえるために仕掛けた捕獲器に入った巨大なベンガル虎のようなボス猫が隣町の住人の飼い猫だったとわかったのだ。龍馬の事で隣町のボランティアさんと話していてそれが発覚した。ベンガル虎と言っただけで誰の猫かわかるほど、有名なボス猫だったようだ。去勢していないから隣町からでもやってくるのだ。事故に遭ったらどうするのだろう。
このベンガルを手術に連れて行ってくれた(第18話)ボランティアのXさん(第12話)に慌てて電話をしたが、やはりもう手術済みだった。

第17話で紹介した事件では、その猫の飼い主は首輪をせず外に出していたが、少なくとも避妊手術はしてあった。しかし、このベンガルは未去勢だった。発情し大声でメスを追い回している。この飼い主はそんな猫を未去勢で外に出している。昔ながらの飼い方で、出入り自由にしているお婆さんだった。

飼い主から電話がかかってきたので、何で首輪なしで外に出すのかと聞いたら、「前に飼っていた猫が首輪を木の枝にひっかけて亡くなっていたから」と。
だったら何で外に出すのかと聞いたら、
「あちこちに彼女がいて外に出たがってうるさいんだもの。」
私は怒りを抑えて、もう一つ聞いた。
だったらどうして去勢しないのか。
「オスだからいいかと思ったの」と。
外に沢山彼女がいて、そこで子猫が生まれても何の責任も感じないらしい。
外で生まれた子猫がどんな悲惨な生涯を送るのかという猫の事情も、他人の家の庭で子猫が産まれたら迷惑をかけるという他人の事情も、全く考えようとしない無責任飼い主の典型だ。
さらに酷い話は、こちらで手術してしまったことを伝えると、
「あらあ、手術代助かったわ。」と それで終わり。
言いたいことは沢山あったが、とにかく龍馬を探すことが最優先だったので思いを抑えて、この猫が今後事故に遭わず生涯を終えるために、絶対外に出さないよう念を押し、このお婆さんとの電話を終えようとしたら、さすがに少しは悪いと思ったのか、手術代の代わりのつもりなのか、この近隣で猫が隠れていそうな所、かつて脱走した自分の猫が潜んでいた場所を案内してくれると言った。

この事件の事をボランティアのXさんに話すと、
「捕獲器をかけると入ってくる野良猫はきりがない。龍馬の姿を見るまでは捕獲器はかけるな」と、以前から何度も言われていた。捕獲器は龍馬が姿を見せてからで良い、隠れ餌やり人は大量にいる。今時食いっぱぐれはあり得ない、龍馬もどこかで必ずご飯を食べている、どこかに目撃者がいる、または監視カメラで龍馬の姿を探せ」と。

それに対して、龍馬の譲渡主であるボランティアのSさん(第1話)は、
「今後野良猫が捕獲器に入ったら、すべて自分が迎えてに来て手術に連れていくから、絶対に捕獲器をはずしてはならない。龍馬は姿を見せない。この地域には餌が足りていない、その証拠に同じ猫が何回も捕獲器に入る。龍馬はまともにご飯を食べられていないはず、もう1カ月近くになるのだから、必ず捕獲器に入る、あきらめるな」と。

XさんとSさんは共に別の地域のベテランボランティア。2人の面識はない。Sさんは隣の県から車で片道1時間かけて週2~3回来てくれていたが、どうしても急に野良猫が捕まった時に急いで取りに来てもらうことができず、別ルートで人の紹介でXさんにも手伝ってもらっていた。Xさんは近くのボランティアだが、非常に多くの案件を抱えているようで連絡つかないことも多かったが、私とは初対面、龍馬には関係ないのに、時々手伝ってくれていた。

2人から色々な助言をもらっていたが、捕獲器の設置についてだけは双方の方針が異なっていた。何度もこのコラムにも書いたが、私としても、捕獲器5台近所に設置、回収、消毒を毎日行い、避妊去勢手術が済んでいない野良猫がかかった場合は、SさんかXさんに電話して野良猫割引をしてくれる病院に搬送してもらい手術してもらう、その作業と費用もとてもしんどいものだった。
その上、飼い猫を捕まえてしまい、人間とのトラブルにも発展してしまう。
Sさんは龍馬を知っている譲渡主、後から冷静になって考えたら、私はSさんに従うべきだったのだが、私は疲れ果てていたし、これ以上のトラブルはもううんざりで、自分が楽になるXさんの方針に従いたくなっていた。
しかし、それは間違いであったことが後日判明する。

Sさんは仕方なく、捕獲器は絶対に止めてはならないが、今回のベンガル虎のように龍馬の捕獲に邪魔になるようなボス猫以外の野良猫は、今後は捕まえてもそのまま放すということを了承してくれた。
私はこれでしばらくは野良猫を忘れ、龍馬のことにより専念できると思った。ところが、今度はついに放置できない呼吸の苦しそうな子猫に遭遇してしまった。
続く。

コラムニスト:Candy (キャンディ)
ネコジルシ:保護猫日記
猫の里親募集:大田区のメイちゃん

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