コラム

第15話 龍馬脱走事件 その11

今から3年前の話だ。里子の龍馬(第1話第2話)が脱走して14日目。(経緯は第5話から第14話)。

捜索を手伝ってくれている近隣のボランティアのXさん(第12話)から、一緒に飼っている龍馬と仲良しの凛子の声をICレコーダーに録音し、それを夜中に捕獲器の近くで聞かせるようにとの助言受ける。

毎日の捜索活動内容としては、引き続きチラシ配りにポスター貼り、捕獲器の設置、監視カメラの設置に加え、ICレコーダーを持って夜中の捜索、万一もう死んでいて死体が回収されていないか役所への確認の電話、ネットでの迷い猫情報検索など。仕事から帰ってこれだけこなしていると睡眠時間は殆どなく、疲れてうたた寝してしまうこともしばしばだが、寝てしまうと龍馬に対してひどく罪悪感を感じた。

15日目。捕獲器に以前も捕まえた同じ白猫がかかる。子供を産んだ子だ。もう3回目。授乳中でお腹が空いて仕方ないのだろう。この近隣には餌は十分には無い。野良猫に優しい町ではないらしい。龍馬は何か食べられているのか心配でたまらない。
空き家の天井裏に入り込んではいないか、側溝に落ちて身動きとれなくなっているのではないか、野良猫にやられてケガしているのではないか、悪い方にばかり考えてしまう。
夜中の捜索に行きはするが、さすがに薄暗い空き家の天井裏を覗く勇気はない。やはりこういうところは探偵に頼んだ方がよいのではないかと考え始める。
過去に一度探偵に依頼したものの非常に嫌な経験をした(第11話)が、別の探偵に相談してみようと、ネットで検索し電話をしてみる。状況を話し捜索依頼したいと言うと、「いやだ、行かない、若いんだから自分でできるでしょ?ネットも携帯も持たないお婆さんで何もできない人がいるんだもん」と。
スケジュール一杯な訳ではないのに、ビジネス要らないのだろうか。この探偵も変わった人だ。
しかし、なぜか無料で電話で1時間以上助言をくれた。

私の住所を聞き、グーグルマップでうちの自宅から半径700メートルをマークして添付して送ってくれ、この範囲を徹底的に捜索せよ、餌と監視カメラを置いて龍馬の居場所を突き止めよ、居場所がわかったら、捕獲器にそれと見えないような工夫をして設置せよと。
龍馬のように頭の良い子は捕獲器を見ただけでもう覚えてしまっており警戒するのだ。
こんなに長い間姿が見えない時は、これまでの捜索経験でどういうパターンがあったのか聞いてみると、小さなペット不可のアパートで、年寄りが保護して家に入れてしまっていることがあるのだとか。そして可愛くなって手放さないケースもあるとか。アパートにも個別にポスティングを念入りにした。

近所ですれ違う人に「まだ見つからないんですか?」と言われるようになり、だんだん肩身が狭くなり、すれ違う人に謝り続ける日々。
町中に貼ったポスターもよく剥がされる。捜索経験豊富な探偵やボランティアさんは、気にしないではがされたらまた貼れば良いと。
はあ、ため息。メンタル強くないとできないなぁと思う。

龍馬の譲渡主のSさんは、断固として姿を特定してから捕獲器を仕掛けるということには反対。龍馬は姿を見せない、そろそろ空腹に耐えかねて捕獲器の中に入る頃だと。

しかし16日目、17日目、入ったのはスズメのみ。野良猫すら捕獲器を覚えてかからなくなった。
Sさんはそれでも捕獲器以外で龍馬を捕まえる方法はないと言い切る。
近くに空き家があったので、持ち主を調べ捕獲器を置かせてもらうことにする。そこに監視カメラも設置。しかし写っている猫は毎日同じ野良猫4~5匹だ。

18日目。朝5時に散歩中の人から龍馬に似た猫がいると写メが届く。500メートル以上離れている。チラシやポスターもより広範囲に配布しているので、入ってくる目撃情報もどんどん距離が遠くなる。違うだろうと思いながらも、聞いてしまったらやはり確認しにいかないと気が済まない。北へ500メートル、南に600メートル、西に1キロと、遠くからの情報ばかりになった。
通常は行ってみたらいない。しかし、翌日の同じ時間にそこへ行ってみるようにとの助言を受けるが、発見には至らず。

19日目。1キロ離れた墓地で似た猫が目の前にいると電話をくれた若い男の子がいた。1キロも龍馬が移動するとは思えなかったが、Sさんはあり得ない話ではないと。
男の子は私が行くまでコンビニでキャットフードを買って猫に食べさせ、逃がさないようにしていてくれた。
しかし残念ながら龍馬ではなく、人なれした首輪をした猫だった。可哀想に迷い猫だろう。なんで飼い主は探さないんだと腹が立った。今なら保護してあげるところだが、その当時はそんな発想はなかった。

坂の上の住宅からも似たような猫が網戸から自宅内を覗いたと電話あり。すぐ駆けつけたが居ない。今度はそのお宅の軒下に餌と監視カメラを設置させてもらうことに。坂の上まで毎日画像の確認に通うが龍馬は写っておらず。

20日目。数日前からうろうろしていた三毛猫が捕獲器にかかり、手術へ。そのうちこの三毛猫が少し前に子供を産んでいたと聞く。Sさんはまた子供を保護しなければと言う。
龍馬の姿が見えないのに野良猫の面倒ばかり。いらついてくる。
異変が起こっていることを察知しているのか、凛子がもう4日間も便秘。

21日目。Sさんの過去の捜索事例で、見つからないままの最長記録は3週間と聞いていたが、その記録に並んでしまった。
続く。

コラムニスト:Candy (キャンディ)
ネコジルシ:保護猫日記

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