コラム

第159話 女王様猫 メイの波乱万丈 その9 条件とは条件です!!

このコラムは、2011年2月に私が里親として迎えた龍馬(第1話から第3話)を脱走させてしまい、地獄の捜索体験をした(第5話から第22話)ことから、野良猫の悲惨な実態を知り、期せずして始まってしまった野良猫救済活動の体験記である(第23話から第158話)。

2016年の夏に保護したメイの話のこれまでは第150話から第158話を参考に。 
時は2017年末。メイには波乱万丈いろいろあって保護してから早1年4か月経過していた。

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冬になったら子猫がいなくなるから大人猫にはチャンスだと言われていたとおり、12月になるとネットでの問い合わせも増え、年末休暇に入ったころ、これは!!と思うような申し込みが入ってきた。
きちんとした文章、聞いた質問には漏らさず答え、常識的な挨拶、しっかりしたお仕事、返事も早い、都内の分譲マンションにお一人暮らしの50台初頭、実家では昔から猫と共に暮らしていたと。かなり好印象。お仕事お忙しいとのことだが、メイも子猫じゃないのでお留守番も問題はない。甘えん坊なのでなるべく早く帰宅してもらい、週末はじっくり構ってくれれば大丈夫かなと。当然、こちらもメイの性格、台所を荒らすなどの問題点などは正直に紹介文に掲載している。それを踏まえて、ガスコンロはきれいにふき取る、食べ物をすぐに片付けるなど条件を付けている。

それに対して、ガスコンロも買い替えたいと思っていたので丁度良かった、これからリフォーム業者に見積もりに来てもらうと。え?リフォームまで?ガスコンロを買い替えてくれるなんて言ってくれた人もいなかった。これはご縁かもしれない!と、かなり美化して超期待した。 

ただ気になる一言が。「反省していますが、自分には台所に食べ物を放置する癖があり、冷蔵庫に入れるか何かケースを用意していれるようにします」と。ん?子供じゃないのに変な癖だなとひっかかるものはあったが、自分でわかっているなら仕舞えばいいじゃん。簡単じゃん、と、その時はさほど気にせず、ペットが誤飲で病院に運ばれるケースが如何に多いかを注意喚起しておいた。

しかし、その「ん?」というひっかかりはその後も何度か起こった。後からわかったことだが、「ん?」というアンテナは大事なヒントになる。
メールで年明けにお見合いを設定したのだが、やりとりの中で「メイちゃんを迎える準備として片づけをしています。なるべく物をクローゼットにしまうようにしています」とあり、猫を迎えるのに片付けは普通のことだが、クローゼットに物を仕舞えない人なのか、それも「ん?」と思った。しかし、問題発言でもないので、私はそのまま気に留めず、一月中旬にお見合いの日を迎えた。その日は譲渡会参加予定だったが、この人との自宅でのお見合いを優先した。

私としてはできるだけ早く判断材料を揃えたいので、猫とのお見合いで気に入ってもらったらすぐに、先方のご自宅を訪問して飼育環境を確認させてもらうことにしている。それも快く快諾してもらえ、サクサクと話が進む。良い兆候だ。
お見合いには、希望者さんからは、母も一緒に行きますと。84歳足も悪いのに、遠方に住んでいるお母さんがわざわざうちまで?メイを迎えるのはご本人一人暮らしの東京都内のマンションなのに?そこでも「ん?」と思ったが、まあ、娘が迎える猫を見たいのかと思った。

お会いすると想像通り感じのよい方で、メイも愛想振りまき、おもちゃで遊んでもらいご機嫌だった。希望者さんにはメイを気に入ってもらい、私も好印象だったので、そのままご本人のお宅へ向かうことに。

外観は都内の中心部の素敵なマンションだった。自宅内に入ると、え?と。
これまでの「ん?」と思ったことが目の前に見えたのだ。なるべく物をクローゼットにしまうようにします、という以前の発言の意味は、本当にクローゼットに物を仕舞えない人だったようだ。私がご自宅に伺うと言ってから2週間以上経過している。片付けるには十分な時間があったはず。人が来るというのにどうしてこんなに洋服がバサバサ置いてあるのだろう。部屋干しの洗濯物もそのまま干してある。ベッドは今跳ね起きたかという感じで布団がめくれている。台所を見せてもらうと、あれだけ注意したのに、夕飯の残りか、お皿に入ったままの料理がラップをして流し台に置いてある。え?ちゃんとラップをかけてあるのなら、そのまま冷蔵庫に入れたらいいだけなのに何故それができないんだろう。そう言ってみたが、「そうなんですよね」と本人は十分わかっている様子。食べたあとの食器が洗わず山盛りになっているとか汚くしているわけではないが、なぜか食べ残しの入ったお皿をしまえないらしい。毎日きちんとしろと言われたら、忘れる日もあるかもしれないが、今日は、私が見に来ると2週間前から予告してあった日だ。どうしてその日だけでも片付けられないのだろう。私だって決して自宅がいつもピカピカに綺麗ではない。絶対突然人が来てはだめ。だけど、人が来る予定があれば、2日もあれば、出ているものを押し入れに押し込むなどして、一応何とか見栄えはよくできる。家の片づけが不十分なのはまだよいとしても、食べ物放置は絶対だめだと言ってあったのに…。今日一日だけでもそれが守れないとは…。せっかくの好印象だったイメージがガタガタと崩れ始めた。 
 
そして、話の中で週末は実家にとまりがけで帰っていると言われた。え?平日はお仕事で長時間お留守なのに、週末も不在?聞いてないよ、それは。
だから、今日はお母様と一緒に実家からうちに来られたのか?ということは、お母様はお一人暮らし?てっきり妹さんと同居だと思っていたが、そうではなかったようだ。ということは、と、どんどん心配が沸き上がってきた。もしかして、将来はご実家に帰られてお母様と同居されるご予定だったりするんですか?と聞いてみると、そうだと。軽く答えられた。はあ??話が全然違うではないか!!そうか、だからお母様も一緒にメイを見に来られたのか!メイを実家で飼うつもりだったということなのか。家が汚いとか、食べ物を出しっぱなしにするとか以前の話で、メイはこのマンションに希望者と二人で暮らすという前提で譲渡を考えてきたのだから、それ以外の条件では譲渡はできない。

実家に帰るとなると、実家はかなり遠い上、すでに先住猫がいる。メイは絶対1匹飼いが必須である。それはどうするつもりであったのか?と聞いてみると、境界線を作れば何とかなるかなと、楽天的に考えているとの答え。はあ??全く悪気なさそうに答える。私をだましたわけでもないのはわかるが、これでは譲渡条件の意味はないではないか。聡明なキャリアウーマン的な方だという印象だったので、ショックで顔面蒼白になりながら帰宅した。

そもそも里親会に行く予定をキャンセルして今日のお見合いを実行したのに、これでは今日のお見合いもする必要はなかった、譲渡会の機会が無駄になった。それには怒りを覚える。このような軽い気持ちで里親申し込みをしてはならない。人生は何があるかわからないので、遠い将来に引っ越しや親との同居が予定外に起こる可能性はあるかもしれないが、近い将来にその予定がわかっているなら、正直に話してくれなければならない。最初から条件を曲げることを想定して譲渡を受けるなどもってのほかである。
 
当然メイの譲渡はできない。しかしお断りして終わりではいけない。それでこの方が何も学ばず、他の猫に申し込みをしてまた同じことを繰り返すと猫が不幸になる。それは止めないといけない。
この人への啓蒙のため、あえて苦言を呈することにし、翌日メールをしたためた。

条件は条件。近い将来、条件を守れなくなることがわかっているのなら正直に言わなければならないこと、猫同士の不仲は軽く見てはならないので、1匹飼いが必須と言われたら絶対に勝手に破ってはならないこと、喧嘩になりけがをするか、我慢してストレスで病気になる場合もあること、それに84歳の高齢者が一人留守番をして、不仲の猫2匹の面倒など見られないこと、脱走させるリスクもあることなど。

希望者さんは楽天的に考えていたことを謝ってはくれたが、渡してしまっていたら大変なことになっていた。譲渡する方は、少しでも「ん?」と思ったら何かあると思って、厳しく細かく吟味されることをお勧めする。

メイの幸せ探しはまた一からやり直しとなった。
続く。

コラムニスト:Candy (キャンディ)
ネコジルシ:保護猫日記
猫の里親募集:
三兄弟の一匹だけ保護されたラッキー男子 仁
ビビリ..でも甘えたい好青年 隼人
工場で保護された兄弟① 黒猫 コウ君
工場で保護された兄弟① ② シャムMIX ジョー

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