コラム

第158話 女王様猫 メイの波乱万丈 その8 大人猫の季節待ちに

このコラムは、2011年2月に私が里親として迎えた龍馬(第1話から第3話)を脱走させてしまい、地獄の捜索体験をした(第5話から第22話)ことから、野良猫の悲惨な実態を知り、期せずして始まってしまった野良猫救済活動の体験記である(第23話から第156話)。前号第157話はコロナ禍での注意喚起という号外を出したが、今回からまた第156話の続きでメイのストーリーに戻ることにする。

2016年の夏に近所の神社で保護したメイの話のこれまでは第150話から第156話を参考に。 
保護してすぐに心臓に雑音あり僧房弁閉鎖不全症の疑いありと診断されたメイは、2017年の夏に鎮静剤を使って猫が動かない状態にして再検査すると心臓病は無いとの診断に。健康に問題がないとなれば、顔の可愛いメイはきっと里親が見つかるはずだと期待に胸膨らませて里親募集を再開した。
応募条件は一般的な飼い主責任の他に、メイの性格により、他の猫がいない1匹飼い、そして稀に見るレベルの食いしん坊なので、台所をきれいに片づけ、ガスコンロ周りの油汚れもきれいにふき取ることである。綺麗好きな人なら大した要件ではないように思えるが、それが意外とネックとなった。比較的新しい住宅ならば、ガスコンロもふき取りやすい平らなトップコートになっているが、一昔前までは深穴型で油がべとべとになりやすいタイプが主流で、未だにそのタイプの台所の人が多かったからだ。
その上、人間にはべた慣れのメイではあったが、なぜか譲渡会が嫌いだった。うちでは、誰が来ても平気ですり寄っていくのに、譲渡会でケージに入れられ周りからじろじろ見られると、持参したマットの下に隠れるわ、お客さんにお尻を向けて顔を見せないわ、不愛想になった。
食いしん坊だけはどうにも止まらないようで、チュールにはしっかり反応(笑)。 

▼譲渡会で座布団の下に隠れるメイ
158.2

▼食いしん坊には勝てず、チュールには反応するメイ
158.1

▼本当はこんなに可愛いのに
158.3

保護主の執念で命をかけた再検査を行い、晴れて健康優良児となり、その後参加した譲渡会は、2017年の年末までに9月に2回、10月に1回、11月2回、12月2回。4キロ程度の猫と荷物を抱えてはるばる譲渡会場に通うだけで猫も保護主も疲労困憊だ。
それでも、行かないと猫が幸せになるチャンスを失うので、皆忙しい中せっせと通うのだ。私は車がないので電車で運ぶため、自分一人で猫を複数匹連れて行くと肩こりと腰痛が悪化する。こういう時、車を持っている人が、譲渡会場まで車で搬送してくれるだけの搬送ボランティアしてくれたらどんなに助かることか。猫好きのご近所さんに、たった一回だけでもとお願いしても、断られることも多々あるのだ。
人間というのは何と冷たいものかと思い知ることが多い。皆さんも、車の搬送だけでも立派なボランティア活動だ。車のある方は協力を検討してほしい。

メイの話に戻ろう。 
譲渡会でご機嫌よく美しい顔を見せ抱っこされ、気に入ってもらい、審査厳しい過保護な譲渡主の私の条件をクリアし、私も是非お迎え頂きたいと思った方もいらしたのに、簡単には決まらなかった。それは何故か?
どんなに可愛い子でも子猫には勝てないからだ。譲渡会でメイを気に入ってくれた人も、せっかく会場に来たのだからと、ぐるりと一周他の猫も見て回る。そして、愛くるしい生後2~3か月の子猫を抱っこすると、たいていそこで心奪われ、大人猫のところに戻って来てくれない。 

中には心ある希望者さんもいて、「自分は猫初心者だから」「お留守番が長いから」「自分の年齢では子猫は看取れないかもしれないから」と、きちんとした知識を持って、子猫より大人猫を選んでくれることもある。私としてはそういう人に出会えるチャンスを求めて譲渡会に参加している。

譲渡会と同時並行でネットでの里親募集も出していたが、子猫がわんさか掲載されている季節にはやはりなかなか見てもらえない。 

意気消沈していると、ボランティアの先輩には、大人猫は冬が勝負だとよく言われた。
年内は秋に生まれた子猫がまだ里親募集されている。それが年明けから次の春の出産シーズンまでは子猫ががくんと減る。そういえば、かつて大人猫の譲渡が決まったのも2月だったなと思い、メイの季節がやってくるまで気長に待つことにした。

確かに、12月の後半になると、ネットへの応募がちらほら来るようになった。 
生き物を飼うと言うことはどういうことか、譲渡主は何を心配して何を聞きたいと思っているのかの参考にしてほしいので、いくつかの事例を紹介する。

12月クリスマス連休あたりに来た応募である。20代のお子さん2人と3人家族という60代の男性からの応募であった。猫好きは確かだし、文章は丁寧ではあった。60代というと60歳なのか69歳なのかによって猫の寿命を考えると微妙であるので年齢もはっきり聞かねばならない。メイもまだ若いので、自分がきちんと看取れるか、万が一の場合はお子さんが必ず引き継いでくれるのか、若い世代はこれから人生の変化が大きいが、今から万一の場合には猫を看取るという約束ができるだろうか。そして奥様がおられないということはご本人がお仕事をされていると、昼間のお留守番は長いのか、台所はきれいに片づけられるか、ガスコンロはふき取れるかなど、頂いたプロフィールだけではわからなかったことを具体的かつプライバシーに踏み込みすぎない程度に聞いていかなければならなかった。
来た返事は、以前ウサギを飼っていて喘息になったことがあったことを思い出したので、検査してから改めて検討しますと。
きちんとしたお返事が来たことはまだ良かったが、色々聞かれることに戸惑いを覚えられたかもしれない。アレルギーとは疑っているわけではないが、辞退したくなった時によく使われる言い訳である。アレルギーの可能性は猫を迎えることを検討する前に検査しておいてほしい。それ以来、ご家族に猫アレルギーがないことというのを条件に入れることにしている。

もう一人の応募はご両親と住む20代の女性の方。きちんとした応募文ではあったが、メイの台所荒らしを具体的に説明し、ガスコンロはきれいにふき取れるタイプかと聞いたところ、深穴型なので残念だが辞退するとのことだった。
きちんとした人ではあったが、本当にメイを迎えたいと思われたなら、ガスコンロくらいは買い替えるくらいの気概が欲しかったというのが本心である。ここでひっかかるのはご縁はないということだと私は思っている。

そして年末休暇に入ったころ、直感的にご縁があるかなと思うような問い合わせがあった。そしてそれもびっくり仰天な展開となった。
続く。

コラムニスト:Candy (キャンディ)
ネコジルシ:保護猫日記
猫の里親募集:
三兄弟の一匹だけ保護されたラッキー男子 仁
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