コラム

第156話 女王様猫 メイの波乱万丈 その7 朗報

このコラムは、2011年2月に私が里親として迎えた龍馬(第1話から第3話)を脱走させてしまい、地獄の捜索体験をした(第5話から第22話)ことから、野良猫の悲惨な実態を知り救済活動をするようになったその体験記である(第23話から第155話)。 

2016年の夏に近所の神社で保護したメイ(第150話から第154話)。当時推定3歳。保護してすぐに心臓に雑音あり僧房弁閉鎖不全症の疑いありと診断され、里親探しは難航した。一旦は譲渡を諦め、うちの子にしてしまおうかとも思ったりしたのだが、残念ながら女王様メイは他の猫が嫌いで喧嘩が絶えない。留守中の怪我も心配だが、メイ自身がうちの多頭環境では幸せではないだろうと思い、譲渡断念はできず、保護して1年近く経過した2017年の7月に、私は覚悟を決めあることを思いついた。

メイはすでに保護して1年近く。かねてから思っていたのだが、心臓が悪い割には全くそのような兆候が見られなかった。人間でも心臓が悪い人は走ったりすると息が上がりやすいだろうし、激しい運動をすることを禁じられているが、メイはヤンチャでお転婆、しかも他の猫と仲が悪いので、追いかけまわしたり、追いかけられたり、走り回らない日がない。しかし、一度も息が上がるとか、苦しそうな様子を見たことがない。もしかしたら心臓病ではないのではないかと素人ながらに思った。最初の診断では、聴診器で雑音が聞こえると言われたが、メイはとにかく落ち着きのない子でじっとしていない、さらに詳しい検査をするためには、鎮静剤を投与してメイを動かない状態にして再度心音を聞いてみなければならないのだが、心臓への負担を考え、そこまでは行わなかった。念の為、複数の獣医師に心音を聞いてもらうと、雑音はあるとのことだったので、薬の投与を継続して注意して飼育することにしたのだった。

しかし、そのままうちにいてもメイは幸せにはなれない。心臓病の疑いが晴れれば、甘えん坊で美猫のメイは必ず里親さんが見つかる、こうなったら最悪死んでも良いと覚悟を決めて、鎮静剤を投与して詳しい検査をしてもらうことにした。私の賭けがはずれたらメイは検査から生き返ってこないかもしれない。まったく医療の事はわからない素人の私の山勘だが、検査に送り出す時に私は、メイは死なない!と思った。

ドキドキしながら結果を待っていると、「雑音無し」との結果が帰って来た。そしてメイは鎮静剤からも覚醒し無事に元気に戻って来た。やった!やっぱりこの子は健康優良児だった。どこででも他の猫を押しのけてでも生き延びる図々しく生命力の強そうなメイが死ぬわけない。勇気を出して検査して本当によかった。これでこの子に素晴らしい家族を見つけてやれる、と思った。

結局どういうことだったのだろうか。複数の獣医師からの話を総合すると、猫の心臓病は犬ほど多くない。特にメイのように落ち着きのない猫の心音を鎮静剤無しに聞き分けるのは簡単ではない。最初に雑音があるかもと言われてしまうと、二度目以降に心音を聞いた人も、先入観が入り毛の擦れる音などと混同して雑音があるように聞こえてしまったのだろう。決して獣医さんを責めることはできない。とにかくよかった、よかった。私は早速、そのことをSNSで報告。何度もSNSに登場したメイにはファンが多かったので、多くの人に喜んでもらえた。
私は早速里親募集要項を書き換え、心臓病ではなかったことを告知し、その翌月からの里親会参加を申し込んだ。顔も可愛く人間大好き甘えん坊ぶりは半端ない。大人猫でも人気は出るはず。唯一の弱点は他の猫が嫌いなので、メイ一匹だけで飼育し、たっぷり可愛がってくれる人なら良いのだ。もちろん、心臓病がなくても生涯病気にならないとは限らない。定期的な健康診をも欠かさず、健康管理に留意することは病気があってもなくても必須条件となる。

ではすぐに里親さんが決まるか、というと実はそうは行かなかった。メイのもう一つの弱点があった。
それは想像を絶する食欲だった。食いしん坊猫は沢山いる。どの子も元は野良猫。外でひもじい思いをしているので、保護直後はどの子も今食べないと次いつ食べられるかわからないとばかりにガッツク。それがしばらくすると落ち着くのだが、メイは一年経ってもそのあくなき食欲は衰えることはなかった。留守中や夜中に、隠してあったはずのキャットフードを見つけ、袋を破って食い漁る、人間が食事の支度を始めようと台所に立つと、猛スピードでやってきて流し台に上る。まな板で肉でも切ろうものなら、切っている傍から咥えて逃げる。火のついた鍋も恐れることなく手を突っ込みそうになる。 
まあ、そんなことは猫あるあるで、多くの猫好きさんにはそれもまた可愛いと笑って言えることだが、メイの場合、そんなものでは終わらなかった。

▼「食べ物くれるまで、ここから離れませんわよ」と流し台に居座るメイ
156.1

▼猫あるあるの現場
156.2

メイの笑って見過ごしてはならない悪癖は、台所のコンロ周りやタイル壁に飛び散った調味料や油を舐め回すことだった。これが過ぎると肝臓を悪くする。ということは、食べ物や生ごみを片づけるということのみならず、ガスコンロ周りやタイル壁の油汚れを毎日きれいに掃除しないといけない。最近の新しいフラットなトップコートタイプのガスコンロなら簡単にふき取れるが、昔の深穴タイプだと大晦日の大掃除の時くらいにしか掃除しないであろう。そこに大きなネックがあった。

▼ガスコンロ周りを舐めるメイ
156.3

メイの里親募集要項を見て応募して応募してくる人も、やんちゃ、食いしん坊くらいのことは笑って大丈夫と言ってくれても、ガスコンロを毎回掃除できるかと聞くと躊躇する人は少なくなかった。昔のタイプのコンロだと掃除はできないだろうと思うので、新しい簡単にふき取れるタイプのコンロかどうかということも譲渡条件に加わった。そんな意外な理由で里親探しが長引くことになってしまった。
続く。

コラムニスト:Candy (キャンディ)
ネコジルシ:保護猫日記
猫の里親募集:
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