コラム

第155話 女王様猫 メイの波乱万丈 その6 命を賭けた精密検査へ

このコラムは、2011年2月に私が里親として迎えた龍馬(第1話から第3話)を脱走させてしまい、地獄の捜索体験をした(第5話から第22話)ことから、野良猫の悲惨な実態を知り救済活動をするようになったその体験記である(第23話から第154話)。 

2013年の11月から始めてしまった猫ボラ活動(第23話)の3年目の2016年に出会った女王様猫のメイ。心臓病の疑いがあったにも関わらず、メイを迎えたいと言ってくれた若夫婦との話は結局流れてしまい、もともと若者には懐疑的だった私はさらに若者への警戒を強める残念な結果となった(第150話から第154話)。

そもそも私のそれまでの里親さんは全てある程度落ち着いた年齢のご家族であったので、そのイメージからはかけ離れていたその若夫婦とはご縁がなかったのかもしれない。
どうしてもメイの心臓病のように、猫に何らかのマイナス点があると妥協して譲渡してしまいそうになる傾向がどの保護主にもあるが、やはり妥協はいすべきではないということをこのメイの事例でも実証していきたい。私のこれまでの経験によるとどの猫も運命の人はいる。それぞれの猫にぴったりの理想的な里親さんはいるのだ。諦めてはならないのだ。

メイの里親募集は諦めてうちに置こうと思ったこともあったが、何度も書いたように、女王猫メイは他の猫とは暮らせないので、1匹だけで飼ってくれる人を探す必要があった。幸運にも見た目は美猫なので、心臓病と告知をした上で募集をかけても、実は意外と反応があった。しかし、どこまで真剣に心臓病のことを考えてくれているのかは、こちらから突っ込まないといけない。写真だけで一目惚れで来る人は覚悟が薄かったりするからだ。  

ポスターとネットの里親募集の掲示と両方で募集していたが、ポスターにはネットと違い、紙面の都合で細かい譲渡条件は書けない。終生飼育は勿論だが、その他は住まいがうちから一時間以内、心臓病でもケアができる、留守番がない、1匹飼いくらいの条件しか書けず、詳しくは相談にてとしていた。 
一般論で言うと、ポスター募集の場合、ネットを使わない高齢者や、譲渡会に足を運ばない人からの反応が多い。たまたまポスターを見て軽い気持ちで応募してくる人もいるので私としては気を付けるようにしている。心臓病と正直に書いたのになんと3件も問い合わせが来た。注意喚起の為ご紹介しよう。

1人目はうちから2時間半もかかるし、留守番も多い、全く条件に合っていなかった。

2人目も2時間以上はかかる60代のご夫婦で、メールも使えない電話のみの連絡。写真だけでメイを相当気に入ってくれた様子。前の猫が病弱だったので看病には慣れている、心臓病でも構わない、奥様が働いているけれどご主人が在宅なのでメイの留守番は無し。大丈夫、大丈夫と自信満々。軽いノリが気になる。よく聞いてみると、ご主人は在宅だけど、猫の面倒は一切みないらしい。奥様が帰宅するまでトイレも替えられない。ご飯もやれない。ただ猫と遊ぶだけ。メイが具合悪くなったら病院は?というと、それは無理だわ、と。うーん。
心臓病はお金かかりますよ、と言ったら 最初は軽く大丈夫と言っていたのに、よく聞いてみると、旦那さんは無職、年金だけだと苦しいので奥様がパートだとか。  
だんだん心配になってくる私。しかし善意の相手に怒ってはいけない。こういう時は一度冷静になってもらう為、とりあえずもう一度ご主人とじっくり話し合ってみてください、また明日お電話しますから、と言って電話を切った。こういうことは譲渡会でもよくある。目の前で可愛い猫を見て舞い上がってすっかりその気になってくれるのだが、条件満たしてないのでは?とこちらが不安になるケースが。その場合は頭ごなしにダメですというのではなく、一晩家族と話合ってみてください、と冷静になる時間をとってもらうようにしている。それではっと我に返る人もいる。このご婦人も翌日私が電話したら、すっかりトーンが変わっていた。やっぱり無理だわ、お金もきついわ。と。

そして3人目。今度は若い同棲カップルだった。正直言って私は同棲者不可とすることが多い。だいたい同棲者に限らず若い人は、その後の人生が定まっていないので、私も警戒するし、細かい質問をしていくと話が成立しないことが大半だ。この同棲カップルにも期待はしていなかったが、一応すべての可能性は全て検討しようと思っていた。果たして、私の危惧は当たった。心臓病でも構わないと言ってはくれたものの、同棲組によくあるように、将来のことは何も決まっていない。そして経済的にも二人ともバイトの身だった。定収入がない人はお断りすることにしているのだが、彼は、バイトと言っても二人で1カ月40万あるんですよ!と自慢気に言った。
うーん、長く生きているおばさんの私から見ると、世の中そんなに甘くない。若いうちは40万あれば二人で十分の生活ができるかもしれないが、結婚して子供も生まれるかもしれないし、バイトだと退職金も年金も何もないし、世の中も何があるかわからない。現にこのコラムを書いている2020年4月はコロナ禍で多くの非正規労働者が仕事を失っている。その当時にコロナ危機が起こるなど誰も想像していなかったが、現実に起こるのだ。それでも心臓病のメイを幸せにしてやれるのか?甘い考えのこのお兄ちゃんにメイを渡すことはあり得ないので丁重にお断りした。緩い条件の人から他の猫をもらっていないことを祈る。

年齢不詳の大人猫なのにメイは意外なほどにモテた。当時はまだ写真加工アプリなどなかったが、里親募集は人間の出会い系サイトと同じで写真が命だ。大量に撮影した中からとびきり可愛い写真を掲載する。外から保護したばかりの頃と、美貌のピーク時の写真両方お見せしよう。ビフォア、アフターの差をぜひ見てほしい。 
写真1  美貌ピーク時のメイ
155.1
写真2  保護したばかりのメイ
155.2
家猫になって幸せに暮らせばこんなに美しい猫に変身するということだ。つまりいかに外猫生活が過酷かということにもなる。 

その後もネットでの募集や譲渡会への参加も継続したが、心臓病がネックでご縁には繋がらない。やはり諦めようかとも思ったが、この可愛さだ。しかも顔の形からして、スコの血が混じっていそうである。心臓病さえなければ絶対に里親さん見つかるのになぁと思っていた。 
それと同時に、我が家に来てからすでに半年以上経過していたが、一度も心臓が悪いと思えるような場面を見たことがないなと私は不思議に思い始めていた。いつもヤンチャで走り回っているし、ほかの猫と激しい喧嘩をしてヒステリーを起こしている。いつ心臓麻痺をおこすか最初はハラハラしたが、どの程度悪いのだろうか、調べてみたい気になっていた。  
心臓病の疑いありという診断は、保護してすぐに聴診器で心臓の雑音が聞こえるということでエコーやレントゲン撮影もしたが、メイはとにかく落ち着きのない子でじっとしていられない。なかなか心音を適切に聞き分けるのも簡単ではなかった。詳しい検査をしようとすれば麻酔、または鎮静をかけなければならないが、心臓が悪い子にはリスクがあるので、それ以上の検査はできないままだった。

2017年の春が過ぎ夏になろうとしていた。すでにメイを保護してから1年近く。相変わらずうちの中で喧嘩が絶えない。帰宅してみると集団リンチに遭ったのかというくらい顔が傷だらけだったこともある。このままではメイは幸せではないだろうと思い立ち、麻酔で死んでもいい!と私は覚悟を決め、獣医さんに鎮静かけて精密検査をしてもらうことにした。すると…
続く。

コラムニスト:Candy (キャンディ)
ネコジルシ:保護猫日記
猫の里親募集:
三兄弟の一匹だけ保護されたラッキー男子 仁
ビビリ..でも甘えたい好青年 隼人

■関連記事
犬や猫の去勢・避妊手術(ペットタウンの保険編集部)
ペット保険を探そう!
  • Facebookでシェア
  • Twitterでシェア
  • Google+でシェア
  • LINEで送る
  • このエントリーをはてなブックマークに追加