コラム

第152話 女王様猫 メイの波乱万丈 その3 若い応募者への懸念

はじめに~
このコラムは2011年2月に私が里親として迎えた龍馬(第1話から第3話)を脱走させてしまい、地獄の捜索体験をした(第5話から第22話)ことから、野良猫の悲惨な実態を知り、野良猫救済の為のボランティアをするようになり、その後の事件簿を書き綴ったものである(第23話から第151話)。ボランティアの数は全く足りていない。一人でも多くの人に小さな命を助ける側に回ってくれることを願ってこのコラムを書いている。

さて、時は2016年の秋。第150話から登場する三毛猫のメイは、顔も可愛く人馴れしていたので里親募集をかけたのだが、その直後に病院からメイの心臓に雑音が聞こえ、僧房弁閉鎖不全症の疑いがあり、里親募集も絶望的だろうと言われたのだった。 

もともとは近所のルビーさん(第139話)のうちに、子猫の愛と礼(第139話から第149話)と共に預かってもらうはずであったが、なぜかルビーさん宅ではテレビの後ろに隠れて出て来ず、ご飯も食べず、心臓病の薬も飲ませられないと言われ、仕方なくうちに連れて帰ったのだった。しかし、女王様気質のメイは喧嘩早い。うちにいた他の保護猫とすれ違うたびに猫パンチを食らわす。152.2何をするにも自分が一番で、ほかの猫から見れば生意気で気に食わない新入りだ。留守中に集団リンチをされかねず置いていくのが心配であったので、誰か預かってくれないだろうかと思っていた。そこへネットに掲載していた募集記事に応募があった。それはまだ心臓病が発覚する前に投稿した里親募集記事であったので、病気のことは書いてなかった。
     【三毛同士睨み合い  左メイ 右ミク】
応募者は近所の人で、メイがいた神社によく通ってメイを可愛がっていたという若い女性だった。若い人はお断りしているわけではないが、通常20代の応募者は色々話を詰めていくと条件に合わないとわかることが多い。それもそうだ。第一条件が「何があっても終生飼育」なのだ。若い人はこれから人生がどう変わるかわからない。転勤、結婚、出産など大きな人生のイベントが沢山ある。海外転勤になったらどうするのか、結婚相手が猫嫌いだったら?生まれた子供が猫アレルギーだったら?または病弱だったら?万が一にも離婚したり、再婚したり、失業したり、自分や家族が大きな病気したら?経済的にも絶対大丈夫なのか?そのようなことを話しているうちに自ら辞退されたり、考えがなかったりするとお断りとなるケースも多い。

私のような年齢になると、若い時には想像しなかったような人生の苦境を経験している。実際、子供の頃から無類の猫好きであった私ではあるが、振り返ってみると、若い時は仕事、育児で忙しく、また、想定外に早く親が体調を崩し、遠距離で子供を連れて田舎に通わなければならなかったこともあった。とてもとても猫どころではなかったと思う。やっと自分が猫を飼おうと思えたのは、子育てと仕事が落ち着き、自宅もある程度の広さのマンションを所有してからで、40代後半だった。

私が里親募集をするようになってから、私が決めた里親さんはほぼ全員が40代から50才前後である。一番最近決まった翔君(後日コラムにも登場する予定)の里親さんが唯一30代。小さいお子さんがおられる主婦の方だが、自己所有の住宅でお引越しの予定もなく、生活も安定されていて、お子さんもあの年齢にしては珍しく聞き分けの良いおとなしいお子さんだったので、安心して譲渡した。

今回メイに応募して来た人(仮称オレンジさん)は26歳で猫馴れしている主婦。ご主人は猫初心者。若い夫婦で、ご主人が資格試験勉強のため休職中など正直不安材料はあったが、うちの近所で、奥様の方がメイを知っていて可愛がっていた、しかも、お母さんが保護活動をしていて、小さい頃から保護猫が家に沢山いたという話だったので、みすみす逃すのは勿体ないと思った。そもそもメイは心臓病という大きなハンディがあり、お金もかかるし、里親でなく預かりだけでも良いと思っていたので、まずは、事情をメールで伝え、夫婦でメイに会いに来てもらうことに。そしてご自宅も見せていただきたい旨を伝えた。

ネットで里親募集をする時は、応募がありメールやりとりで好印象を得て話を前に進めたいと思ったら、うちに来てもらって猫とお見合いをしてもらい、私はその後に希望者さんの自宅を見せていただく事にしている。飼育環境が適切かどうか事前に確認することが大事だからだ。ほとんどの譲渡主は、そのまま猫をお届けに行く約束をし、お届け時に自宅環境を確認し、万が一不適切だったら譲渡を取りやめ、そのまま猫を連れて帰ることにしているようだが、私はどうしても猫を連れて行って、やっぱりダメですと言って連れて帰ることをしたくないので、猫を連れていく前に訪問し、飼育環境確認とご家族全員に面談もさせてもらっている。つまり、すべてを確認するまで譲渡を決定しないことにしているのだ。

それは、私自身も里親として申し込みをし、猫を見に行って気に入り、譲渡主さんとそこで話をし、こちらのことも気に入ってもらい、譲渡決定となったら、ケージや猫の飼育グッズを一通り用意し、今か今かと猫の到着を楽しみにしていた。そこへ猫が来て、やっと一緒に暮らせると思ったら、やっぱりダメです、連れて帰りますと言われたら、とてもがっかりする。その理由に納得がいけば良いが、見解の違いがあったりすると揉めたりするのではいかと思うからだ。実際、私が譲渡の話を進めてきた中で、譲渡会や里親募集サイトで応募を受け、好印象であった人も、実際にご自宅に行ってみると、印象が変わったり、ご家族に直接会ってみたら話が違うということもあったのだ。だから私は絶対に自宅とご家族との面談をするまでは最終決定はしないことにしている。そこまで慎重にしているせいか、これまで譲渡して失敗したことは一度もない。こんなはずではなかったとか、渡さなければよかったと後悔することも、猫を返してもらったことも返されたこともない。それは私が自慢に思っていることだ。命のやりとりなので絶対に失敗は許されない。

152.1話をメイに戻そう。メイがいた神社で餌やりをしていたUPさん(第139話)も一緒に応募者のオレンジさん夫妻に会ってみることに。メイもおとなしく抱っこされ、ご夫婦の印象は良かったが、やはり若い夫婦で、奥様が働き、大黒柱のご主人が現在資格試験勉強中で休職中、つまり大黒柱が現在無職、ご主人が資格取得したら、奥様は専業主婦になる予定とのこと。資格取得してから就職までまだ時間がかかりそうだった。経済的な心配のみならず、暫くは猫と長時間一緒にいるのが猫初心者のご主人ということになる。ご自宅を訪問してみると、若干狭さが気になった。大きな幹線道路に面したマンションの一階であったので、相当脱走対策に気を付けなければならない。 
先方にもメイの病気のことも含め、里親ではなく、預かりという選択肢も含め考えてもらうことに。こちらも再度色々な選択肢も検討することにした。里親が無理なら預かってもらいながら、里親募集の手伝いをしてもらうということもありかなと。
メイをそんなに思ってくれるならば良き協力者になってくれるであろうと甘い期待していたが、結果はやはり今時の若い人は…というものであった。
続く。

コラムニスト:Candy (キャンディ)
ネコジルシ:保護猫日記
猫の里親募集:
左手骨折、顎骨むき出しを乗り越えゴロスリ くりちゃん
三兄弟の一匹だけ保護されたラッキー男子 仁
ビビリ..でも甘えたい好青年 隼人

ペット保険を探そう!
  • Facebookでシェア
  • Twitterでシェア
  • Google+でシェア
  • LINEで送る
  • このエントリーをはてなブックマークに追加