コラム

第149話 神社猫ジンジャーズ その11 礼のその後

子供の頃から捨て猫を拾って来ては親に飼えないと言われ、泣く泣く元の場所に戻しに行った辛い体験から、将来は野良猫を救う活動をしたいと思ってはいたが、実際大人になり、仕事をするようになると、そんな夢は現役引退後の遠い将来の話だと思っていた。それが、まだまだ仕事も忙しい今の時期に、何故ここまでの活動をするのかは、ひとえに、知ってしまったからに他ならない。外で暮らす猫達がいかに悲惨で過酷な日々を送っているのかを。
それは私が里親として迎えた龍馬(第1話から第3話)を脱走させてしまい、地獄の捜索体験をしているうちに、沢山の可哀想な野良猫に遭遇したことがきっかけだった(第5話から第22話)。
龍馬を捕まえる為にしかけた捕獲器にどんどん知らない野良猫が入ってしまい、捜索を手伝ってくれたボランティアさんに啓蒙され、野良猫の不妊去勢手術をするところまで関わり、私自身も捕獲器を使いこなせるようになってしまった。 
不幸な猫を増やさない為には、何はさて置いても、不妊去勢手術を進めることだ。野良猫は簡単には捕まらない。捕まえる為には捕獲器を使わなければならない。野良猫を可哀想だと思ってくれる人はそこそこいても、実際に捕獲器を使って野良猫の捕獲までやろうと思ってくれる人は多くない。その中で捕獲器を使えるようになった私は、その後に野良猫を見かけたら、素通りできなくなってしまったのだ。最初は捕獲と手術だけと思っていたが、そのうち少しづつ、子猫の保護、里親探し、病気の子の保護、里親探し、住民や餌やりへの啓蒙、活動範囲が広がってきた。ドラマになりそうなほどアンビリーバブルな出来事の連続だが、一人でも多くの人に、共感して救う側の人になってほしいという願いを込めて、この猫ボラ奮闘記を書いている(第23話から第148話)。

さて、そんな活動も3年目となった2016年。第139話から神社で保護した愛と礼の波乱万丈物語をご紹介し、ドキドキハラハラを経て2匹とも幸せになったとお伝えした(第139話から第148話)。8月に保護し、2匹とも10月に赤い糸の家族に迎えられ、私はほっと一息つけたのか…というとそうではない。同時並行で、その2匹の母親メイの処遇を考えていたのだが、メイには心臓病の疑いという問題があり、愛と礼に負けないほどの波乱万丈なニャン生となったのだった。ここからはメイの物語を展開しようと思ったが、その前に、礼のその後について話をつなげておかねばならないことを思い出した。

礼は、預かり先のルビーさん(第140話)にいきなり預かり放棄(第144話第145話)され、翌日から行き場がなくなってしまったところを、かつてひかる(第126話)を迎えてくれた里親のOさんの神対応によって救われ(第146話)、ひかるの妹として幸せになっていた。ルビーさん宅での礼は、人馴れできず、懐かず、可愛げがなく、しかも、粗相もする問題児という印象だった。もちろん私のようなボランティアになれば、可愛げのない子ほど不憫に思えるのだが、なかなか一般の人にそんな気持ちになってもらうことは難しいだろうと思っていたが、Oさんは見事に愛情で礼を人懐こい可愛い子に育ててくださった。最初は猫との関わりに飢えていた礼は、先住猫のひかるをストーカーしまくって、ひかるがストレスを感じてかなり大変だった模様。色々あった礼ではあるが、Oさんのような素晴らしい家族を得て、礼は最高に幸せになれたと私は心から思っていた。

▼幸せになった礼
149
譲渡から1カ月のち、大きなショックが起こる。それが第129話の「ひかる、まさかまさかの白血病陽性」の話に繋がるのだ。そこに書いたように、ひかるを6月に保護して(直後の検査ではエイズも白血病も陰性)、7月にOさんに譲渡し、その後ジンジャーズの波乱万丈を経て、礼をOさんに迎えてもらったのが10月。礼が落ち着き、ご夫婦と猫2匹の4人家族の幸せな構図が描かれた矢先のこと、11月にOさんがひかるを健康診断に連れて行ってくれたところ、その獣医さんから、エイズと白血病も保護当初陰性であっても、再検査した方がよいと勧められ、軽い気もちで検査を受けさせたら、まさかまさかの白血病陽性だったのだ。このコラムでも何度も書いたが、最初の検査の時は潜伏期間中だったので陰性という結果になってしまった。その後のひかるの詳しい話は第129話から第132話を参照してほしいが、保護活動をしている人でも、私を含め、多くの人が潜伏期間を知らないで、保護してすぐに検査をし、それで陰性と信じて譲渡している。勿論私は、それ以降は、この苦い経験を踏まえ、必ず、保護直後に陰性と出ても、1カ月に再検査するし、それまでは潜伏期間であり感染する可能性もあるということを念頭に置き、保護猫を先住猫と絶対に接触させない。しかし、当時は私も知識無く、ひかるを陽性と知らずに譲渡してOさんを悲しませてしまっただけでなく、2匹目として礼を譲渡してしまい、礼にも感染リスクを負わせてしまったことになる。特に礼はひかるのストーカーだったので2匹は濃厚な接触をしている。白血病は滅多に感染しないエイズと異なり、唾液でも感染すると言われている。

当時、私はOさんから、ひかるも礼も返したいと言われても仕方ないとさえ思ったが、保護猫が多数いて隔離する場所もない我が家ではどうやっても引き取れない。Oさんに対しては本当に申し訳ない思いを感じながらも、どうしたら良いのかの妙案もなかった。そこへOさんから頂いた言葉は「礼を返さなければいけませんか」というものだった。本当に有難く生涯足を向けてはねられないと思った。

しかし、そこから先はOさんも大変だったと思う。礼が感染しているかどうかを再度検査しないといけない。そのためには、また1カ月の潜伏期間を経過しないと正しい結果は出ない。ということは1か月間、2匹を接触させられない。ひかる大好きでストーカーをやめられない礼を、ひかるから引き離すと大変な騒ぎになるようだった。

何とか一か月経過し、礼の検査結果は陰性。ホッとしてそれ以降は礼に白血病ワクチンを毎年接種しながら、仲良し2匹を引き離さず一緒に見守って下さっている。

このコラムを書いている2020年1月現在、ひかるの推定感染時期である2016年5月から3年半以上、ひかるも礼も発症することなく元気一杯だ。これもひとえにOさんの愛情と精一杯のケアの賜物だと心から感謝し続けている。

次号はメイの話へ。

コラムニスト:Candy (キャンディ)
ネコジルシ:保護猫日記
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