コラム

第148話 神社猫ジンジャーズ その10 ナンパした愛の里親さん

このコラムは、2011年に私が里親として迎えた龍馬(第1話から第3話)を脱走させてしまい、地獄の捜索体験をしているうちに(第5話から第22話)、悲惨な野良猫の現実を知り、それがきっかけで始めることになった猫ボランティアの体験記である。(第23話から第147話)。

時は2016年。8月にY町神社にて餌やりをしているUPさん(第139話)と出会い、そこで子猫2匹(愛、礼)とその母猫(メイ)を私が保護主となり、近隣住民のルビーさん(第103話第139話)に預かってもらいながら里親探しをすることに。 

猫を飼ったことがなかったルビーさんは、すぐに懐いた愛の方は可愛がってくれたようだが、警戒心の強い礼には苦労し、10月に愛が里親さんのOさん宅にもらわれていった翌日に突然預かり放棄宣言!しかし、その窮地をOさんが、愛と礼を交換してくれることにより救ってくれた。自分が可愛がっていた愛ならばルビーさんも長く預かりを続けてくれるのではないかというOさんの気遣いだったが、その甲斐なく再びOさんは、愛の預かりも短縮してほしいと言ってきた(第146話)。新たに預かり先を探そうにも、当時の私は今と違ってボランティアや里親会主催者の知り合いも少なかったので、相談相手も他におらず、どうしたものかと思いあぐねていた。
詳しい経緯はこれまでの経緯をご覧あれ(第139話から第146話)。

そこである人の顔が浮かんだ。少し時期を遡った9月末あたりだったと思うが、近所を歩いていた時に、野良猫の写真を撮っていた40歳くらいの女性がいた(Kさん)。
不細工な猫だった。そんな不細工な猫を愛おしそうに見ながら写真を撮っているということは、相当な猫好きであり、不幸な野良猫に慈悲の気持ちを持てる優しい人に違いない、と直感的に思い、話しかけてみた。

聞けば、最近まで飼い猫がいたと。ふらりと自宅にさまよってきた野良猫を保護したが、それを癌で亡くしたと。そこまで聞いただけで、私はすっかり好印象を持ち、勝手に里親さん候補として自分の頭にインプットした。
そして、自分は近所で猫ボランティアをしていて、近隣の野良猫の避妊去勢手術や、保護、里親募集などの活動をしていると身元を明かし、そんな不細工な野良猫の写真を撮っているなんて、野良猫に優しい良いい人に違いないと思いまして…と話しかけた理由を説明した。
Kさんは「こんなにお腹を見せてくれて可愛いです」とその不細工のことを可愛いと言ってくれた。

すっかり期待を高め嬉しくなってしまった私は、Kさんご自身についても初対面で不躾ながら、とお断りをした上で、質問させてもらった。するとご自宅はうちからすぐそばの好印象なマンションにご夫婦二人でお住まい。40代でお子さん無し。丁度その時までに私が出会った里親さんが、たまたま40代お子さん無しでマンション住まいのご夫婦というケースが多かったこともあり、私一人で御縁を感じていた。

丁度、礼と愛の里親募集をしている時期であったこともあり、ご紹介したい猫がいるとお話したところ、お仕事もあり、今すぐに次の猫を飼いたいと思っているわけではないとは言われたが、ではいつかご縁があれば、と連絡先も頂いておいた。
そして無理のない範囲でご検討いただきたいとお断りした上で、礼と愛の写真とプロフィールを送っておいた。

その時はまだルビーさんによる預かり放棄の話は出ていない頃であったし、礼と愛は可愛い子猫なので、里親さんは難なく見つかるであろうと思っていたので、特にKさんに強くプッシュすることはしなかった、が、しかし、その後10月になり、突然預かり放棄宣言をされ、一旦落ち着いたかと思いきや、残った愛すらも、預かり短縮してほしいと言われたので、私もUPさんも、それ以上ルビーさんを説得する気は失せていた。 

そこで私はKさんのことを思いだした。以前礼と愛の写真を送った時は、こちらも切羽詰まった状態ではなかったが、緊急事態になったこと、愛に行き場がなくなったことを伝え、愛の里親になることを検討してもらえないかとお願いした。

ほかの猫と一緒が良い礼と違い、愛ならば先住猫がいないおうちで1匹でもやっていけるだろうし、条件的にもぴったり。これ以上の御縁はなかろうと思えた。

そうしたら有難いことにKさんからすぐに良い返事が来た。とにかく次の日曜日にご主人もご一緒に愛と見合いしてもらうことに。すぐ近くなので、UPさんと私が愛をKさん宅に連れて行く事にした。

148_1aiご自宅に伺うとご主人も想像通り優しい猫好きの方。ご自宅も広くて綺麗にされていて理想通り。前の猫の広いケージを用意してくださっていた。飼育環境も猫への愛情も申し分なく、愛もすんなりお二人に抱っこされ、お二人とも気に入ってくださり、愛を喜んで迎えますと言って下さった。

UPさんも私も安堵感と感謝とで涙が出るほど嬉しく思ったと同時に、もうその後、愛をルビーさん宅に連れて帰りたくない思いに至った。通常のプロセスでは、里親希望者さんと猫とのお見合いのち、飼育準備をしてもらい、後日猫をお届けし、トライアルとなるのであるが、今回は事情が違う。 

このまま愛を託しても良いかとKさんに話してみたら、Kさんも喜んでと。トライアルはどうしようかと思っていたら、Kさんが「私達は一旦迎えると決めたら、絶対ですからと。このまま迎えるということで問題ないです。絶対ですから。」と言って下さった。

もともとKさんは里親募集に応募してきた人ではないので、トライアルとか審査とかというプロセスはご存知ない。自分で保護したのと同じ感覚で迎えて下さったのであろう。その「絶対ですから」という言葉が今でも耳に残っている。

UPさんと私はKさんに対し微塵の不安もなく、絶対の信頼をもってお願いしたいと思い、そこに愛を置いたまま、自宅に帰り、トイレ、フード、おもちゃなど当面の飼育用品をKさん宅に持って行った。

Kさんは保護主としても私の心配をも理解してくださり、一応通常のプロセルである契約書への署名や定期的な報告、2週間後に一応私が猫の様子を見に来て正式譲渡にするということにも同意くださった。

148_2偶然ではあるが、姉妹の礼を迎えてくださったOさんと愛を迎えてくださったこのKさん、とても共通点が多い。年齢、家族構成、人柄、ご自宅の環境など。その面でもご縁を感じる。Kさんはたまたま近所でナンパした人ではあったが、余りにも有難いご縁であった。御縁はどこに転がっているかわからないものだと思った。

その後すんなりと新しい環境に慣れた愛は幸せになったが、あまりにもすったもんだの多い、ジンジャーズ姉妹の物語だった。ではその母親のメイはどうなったのか?と言うと、これにもまた驚くべき展開があり、私にほっとする暇はなかった。
続く。

コラムニスト:Candy (キャンディ)
ネコジルシ:保護猫日記
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