コラム

第145話 神社猫ジンジャーズとの遭遇 その7 預かり放棄の呆れた理由

2011年に里子に迎えた龍馬(第1話から第3話)を脱走させてしまい、地獄のような捜索体験をしているうちに(第22話)、悲惨な野良猫の現実を知り、それがきっかけで期せずして猫ボランティアを始めることになったのであるが、このコラムはその活動の中で起こったさまざま事件を綴った体験記である(第23話から第144話)。

時は2016年。8月にY町神社にて子猫2匹(愛、礼)と人馴れし過ぎていたその母猫(メイ)を保護(第138話)し、近隣住民のルビーさん(第103話第140話)に預かってもらいながら、私が里親探しをすることに(第140話から第144話)。しかし、猫を飼ったことがないルビーさんは、すぐに懐いた愛の方はとても可愛がってくれたようだが、警戒心の強い礼には苦労し、暴れたり捕まらなくなってしまったら困ると言う理由で寝室に一人ぼっちで閉じ込めてしまったようだった。私からも礼を愛と一緒にリビングにだしてもらうようお願いしてみたが、聞き入れてもらえなかった。

9月の中旬に3匹を連れて譲渡会に参加したところ、以前ひかる(第126話から第132話)を迎えてくれた里親のOさんが来てくれ、愛を2匹目として迎えてくれることに(第142話第143話)。

愛をOさん宅へのお届けしたのは10月8日。    【愛:お届けの日先住猫と】
145.1Oさん宅での愛の様子は、夜鳴きや先住猫の警戒などはあったものの、それはどの子も通る道だ。Oさんは、とにかく私が惚れ込むほど素晴らしい里親さんなので、報告を聞きながらアドバイスをする程度で全く心配はしていなかった。

正直心配だったのは、ルビーさん宅に一人残った礼の方だったが、愛がいなくなり、ルビーさんとじっくり一対一で信頼関係を構築してもらいたいと願っていた。

ところが愛がいなくなった翌日、10月9日のことだ。その翌日の10月10日はまた譲渡会の予定で、私は礼とその母猫メイを連れて参加する予定になっていた。朝私がルビーさん宅に礼を迎えに行って譲渡会に連れて行くことになっていたのだが、前日の夜に、目を疑るようなメールがルビーさんから来たのだった。
「明日限りで礼ちゃんを引き取ってください!譲渡会の帰りにそのままCandyさん宅に連れて帰ってください!!」と。
はあ?そもそもうちにはもう引き取る場所がないから預かりを頼んでいたのに、一体どういうこと?

「このままだとうちを本格的にリフォームしなくてはならなくなります!」と。

それだけ聞くと、礼がどれほどの悪さをしたのか、パニックでも起こして家の中をぐちゃぐちゃにしたのだろうか?と思うが、礼はまだ生後4~5か月の子猫だ。物をなぎ倒すことがあったとしても、壊れ物は置かないようにお願いしてあるし、本格的なリフォームしないといけないとは到底想像できなかった。
翌朝、台風か地震に見舞われたような状態なのかとドキドキしながらルビーさん宅に駆けつけ、現場をみせてもらうと、ルビーさんの寝室の壁紙が数センチ剥がれていた。

え?これだけ?私は拍子抜けだった。これだけで、行き場のない小さな命を追い出す?それが私の率直な感想だった。
しかも猫を飼えば壁紙が剥がれることは当たり前だ。うちの壁紙などボロボロだ。
当然、最初に預かりをお願いする時に私はときにルビーさんには、はっきりと言ってあったはず。
猫がいると家は汚れる。壁紙は剥がれるし、カーテンも破れるかもしれないし、ソファーで爪とぎするかもしれないと。その時ルビーさんは わかってます、大丈夫です、と言った。
高価なカーテンは取り外し、ソファーにはカバーをかけ、あとは汚れても良いと言っていた。なのになぜ?

ルビーさん曰く、壁紙は下の方は剥がれてもいいけれど、上は嫌なのだと。
はあ? 意味不明だ。

壁紙が剥がれていた場所は丁度真ん中より少し上の部分、そこが一か所数センチ剥がれていただけだった。私から見れば、たったそれだけのことだったが、ルビーさんには許せないことであるらしい。

そもそも猫が壁紙を見て、下の方と上の方と区別できるわけはない。寝室の壁沿いには家具が置いてあった。当然猫は家具の上に上がる。礼はそこから壁を縦に上ったというのだ。

猫が壁を縦に駆け上がるというのは相当にパニックした時だ。一体何があったのか、いや、正直、一体礼をそこまでパニックさせるような何をしたのだろうと思った。 
それはもう聞かなかった。礼を見ると部屋の隅で怯えていた。よほどの思いだったに違いない。

私の心はルビーさんへの怒りと礼には不憫で申し訳ない気持ち、そして今夜からどうしようという不安、いろんな思いが混じって爆発寸前だった。

猫馴れしていないルビーさんに若干の同情の余地があったとしても、ルビーさんも大人として社会人として、いきなり今日限りで出て行ってくれはないだろう、無理そうなら別の預かり先を探してほしいと私に相談し、せめて次の居場所が見つかるまでは置いてくれると言うのが常識ではないかと私は思う。
それを契約書にしておかなかった私にも落ち度があったのかもしれない。当時は預かりさんに託す経験があまりなかった私はそこまで考えなかったし、考えたとしても、善意でボランティアを申し出てくれた人にそこまで疑い、契約で縛るようなことはできなかった。
しかし、やはりするべきだった。里親さんに対しても、どんなに善意で信頼できると思える人にでも、失礼なくらいに厳しい条件を記した契約書にサインしてもらっている。預かりさんにも、命を託す以上、同様なプロセスを経るべきであったのだ。

しかも、ルビーさんは預りを初めてまだ1カ月半。そして礼と一対一になってたったの一日だ。                         【礼】
145.2ちなみにルビーさんの言い分は、「突然放り出すような事をしたらCandyさんに迷惑がかかるのはわかっている、しかしもう嫌だ。」というものだった。
わかってやるのなら、何を言ってももう無駄だ。言いたいことは山のようにあったが、私は譲渡会に出向かないといけない時間が迫って来た。私はルビーさんに、今日の今日は行き場がないのだからとりあえず暫く置いてほしいと懇願し、譲渡会に向かったが、もうルビーさんに礼への愛情は無いとわかったら、礼を預けることももはや不安である。

そして、預かりさん募集をSNSおよび猫の里親募集サイトの猫ジルシの中の猫日記保護猫日記に掲載した。

すると、あぁ! 捨てる神あれば拾う神あり! 奇跡の救いの手が伸びてきた。
続く。

コラムニスト:Candy (キャンディ)
ネコジルシ:保護猫日記
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