コラム

第139話 神社猫ジンジャーズ(礼、愛、メイ)との遭遇 その1

自分が里親になって迎えたネコ龍馬を不注意から脱走させた時に(第1話から第3話)、地獄の捜索体験(第5話から第22話)をし、野良猫の不妊去勢手術にかかわったことや、可哀想な猫を沢山見てしまったことがきっかけで、猫救済ボランティアを始めることとなってしまい、その体験記(第23話から第138話)を綴り続けてきたが、早139話に。

龍馬が脱走したのが2013年の6月。その半年後に猫道という猫のたまり場を発見し(第28話)、大人猫約十数匹を避妊去勢手術し、子猫は5匹保護したことが私のボランティア活動の始まりだった。そもそも仕事も多忙な日々、ボランティア活動などやるつもりは毛頭なかった。あとは近所のシマコさん(第26話)の餌やり現場の猫の捕獲の手伝いだけ、それだけ、のつもりだった。

たった2か所の現場の活動だけでもコラムが第138話まで書けてしまうほどネタがあるということは、猫ボラ活動は本当に奥が深いということだ。猫を捕まえたり、保護したりだけでなく、餌やりさんが猫嫌いから攻撃されたときは助けに入るし、行政に介入を要請することもある。警察が間違った介入をして来た時は、行政の地域猫活動のパンフレットを持って警察まで啓蒙しに出向いたこともある。譲渡をすれば里親希望者さんとのやりとり、その人が里親さんとしてふさわしいかどうかの観察、推察、判断力も必要となる。そして猫を譲渡してしまえばそれで終わりではない。譲渡のちもずっと猫が元気で幸せでいるかどうか確認のため、定期的は報告を頂き、それに返信もする。里親さんに心配事があれば相談にものる。そして、活動を通じて新たに仕入れた猫がらみの知識は、他の猫好きさんにも知らせるべく、このようなコラムに書いたり、これ以外のブログに書いたり、SNSで拡散したりもする。
本気でやる気はないといいながら、奥が深く、なかなか終われないのが猫ボラなのである。すべては人間の助けがないと生きられない猫を守るためである。

深く活動に従事する予定ではなかったので、上記2つ以外の現場に足を踏み入れることを極力避けていた。聞いてしまったら知らん顔はできないので、聞こえないよう、知らない人から無責任な相談が来ないよう、自分が猫ボランティアをしていることは、シマコさんや猫道の餌やりのイチゴさん以外には知らせないようにもしていた。

それが…丁度2016年8月のお盆の頃のこと、新しい現場に足を踏み入れてしまったのだ。その年は春からは沢山の猫を救って多忙を極めていた。2月には初の譲渡猫のゆきちゃん、はっちゃん親子(第96話から)、4月にはしまじろう(第106話から)、6月には骨肉腫の珠子(第110話から)と のちに白血病陽性とわかったひかる(第126話から)にジュノン(第116話から)。
どの子も紆余曲折ありドタバタだったが、皆、収束し、ほっとできたのが8月のお盆だった。丁度仕事も休みで、特に遊びに行く予定もなかった頃だった。

やめときゃいいのに、以前から猫が沢山いると聞いていたY町神社を覗いてしまった。猫を見に行ったと言うより、そこには昔から捕獲して避妊去勢手術まで自分できちんとやっている餌やりさんがいると噂に聞いていたので、その人にも会いたかったということもある。残念ながら、餌やりの大半が無責任で自己中、餌だけやって避妊去勢手術はしない、見かねて捕獲に入るボランティアに手術代を支払わせたり、酷いケースは手術に反対しどんどん増やしてしまう人も多い。そんな中、自分で全部完結できるすばらしい餌やりさんが近隣にいたなんて感動ものだった。

139-1日没後行ってみると、餌の時間だったようで、わらわらと猫が集まってくる。15匹以上はいたようだった。そこへ自転車にのって中高年の女性が登場。じっと見ていると餌を食べさせ、飲み水も取り換え、食べ終わったお皿も片付け、周辺の掃除を始めた。全ての猫が耳カットしてあった。きちんと全頭手術したのだろう。よく見ると人馴れした猫もいたし子猫までいた。これまで子猫と人馴れの大人猫は全部保護してきた私は、あちゃー、見ちゃった、ほっとけないという思いにかられた。それと同時に、そのきちんとした餌やりさんには、子猫の保護や里親探しまで手が回らないのであろう、だったら私が助けてあげなきゃという思いに至ってしまった。

私はその女性に話しかけた。餌やりさんはよく近隣の猫嫌いに怒鳴られるので、暗くなってからこっそり餌やりをすることが多い。話しかけられてもまた文句を言われるのだろうと思うのが通例なので、まずは私は猫と餌やりさんの味方であるということを伝え、その神社の猫事情を聞いた。その餌やりの女性は坂道の上に住んでいるのでUPさんと呼ぼう。UPさんは25年位その神社の猫に餌をやり、捕獲器も買って自分で捕獲をし、全額自分で支払って避妊去勢手術をし、文句が来ないように、きちんと糞尿掃除もしてから帰るのだそうだ。年老いて病気になったりケガをした猫は引き取って看取ってはいるが、元気な猫を保護する余裕はないし、ある程度高齢なので、ネットもあまり見ていないようだし、子猫は保護して里親探しをするという術も知らないようだった。

139-2私は気の毒になり、せめて里親募集は手伝いますよ、と言ってしまった、いや、言わざるを得なかった。その時に見た子猫2匹以外にも、大人猫も何とかこれまで譲渡できてきた自分の実績を考え、べた慣れの猫は保護してやろうと決めた。それがのちに里親募集をした子猫の礼ちゃん、愛ちゃんとその母猫と思われるメイだ。メイは人馴れし過ぎていて、神社のベンチに座っている人におねだりして、サンドイッチやおにぎりを分けてもらっているような子だったらしい。それは危ない。万が一悪い人に捕まったら大変なことになる。他にも人なれした大人猫があと数匹いたものの、一気に保護するのは無理なので、とりあえずメイを、それ以外はまたそのあとで、と思った。

まずは保護した猫の預かり場所が必要だ。しばらくはいつもお世話になっている病院に初期医療ケアとしばらくの預かりをお願いするとしても、長期ではどこか預かってくれる場所が必要となる。うちでは当時はそれ以上保護しない方針だったし、UPさんも無理。 

どうしようかと思っていたら、丁度そこにルビーさん(第103話)という近所の人が通りかかる。ルビーさんというのは、以前近隣で猫の大量虐殺事件が起こり、全国ニュースでも報道されたことがあったが、その現場近くで、増えすぎた猫の捕獲、避妊去勢手術に乗り出した住民だった。
猫を救うためにあちこちに駆けつけるわけではないし、そのグループのメンバーには猫嫌いも含まれており、目的は猫の為と言ういより、猫を減らして自分たちの家の周辺の住環境を守るためであったようなので、私達と同じボランティアとは言えないが、猫が溢れている町においては、動機は悪意でなければこの際問わず、去勢手術をしてくれることが先決だろうと私は思っていた。
ルビーさんはその活動の一環で、近くにあるこの神社に猫パトロールに来ていたのだった。ルビーさん個人は猫は好きな方だと言っていた。

139-3そこでルビーさんは子猫を見て、「あら、可愛い、あんな可愛い猫なら飼ってあげたいわ」と言ったのだった。いつも保護場所に困っている私はそれを聞き逃さなかった。しかし、現実には、ルビーさんは意外と高齢で子猫を看取るのは厳しいし、猫を飼ったことも無いし、旅行に出かける予定も云々と言っていたので、私は、「じゃあ、預かってください!私が里親探しをするから。」と言ったのだった。

渡りに船で3頭保護の手筈が整い、子猫達も幸せに向かって進み始めたように思われたが、この神社問題、思惑と大きく異なり、大事件へと発展したのだった。
続く。

コラムニスト:Candy (キャンディ)
ネコジルシ:保護猫日記
猫の里親募集:骨折と頭蓋骨むき出しで餌場に現れた強者 くりちゃん

■関連記事
犬や猫の去勢・避妊手術(ペットタウンの保険編集部)
ペット保険を探そう!
  • Facebookでシェア
  • Twitterでシェア
  • Google+でシェア
  • LINEで送る
  • このエントリーをはてなブックマークに追加