コラム

第133話 蓋を被ったフウタの間抜けな話 その1

第133話まできたコラムは、2011年に私が里親として迎えた龍馬(第1話から第3話)を脱走させてしまい、地獄の捜索体験(第5話から第22話)をした際に、野良猫の不妊去勢手術にかかわったことや、可哀想な猫を沢山見てしまったことがきっかけで始めることになった猫救済ボランティアの体験記である(第23話から第132話)。

ストーリは2016年の夏まで進んだ。この年の春から遭遇した猫達は、ものの見事にそれぞれがユニークな身の上を抱えた子達であったので、1件あたりに費やした労力は、心労も含め相当なものであった。それが一旦全て譲渡され落ち着いたように思えたが、私達が遭遇するのは里親探しができるラッキーな猫達ばかりではない。実際には、保護してやれるような人馴れ猫はほんの一部。大半が、長く過酷な外猫生活ですっかり隠元不信に陥ったシャーシャー猫である。その猫達には粛々とTNR(捕獲=trapして、避妊去勢手術=neuterし、元の場所に戻す=return)を続けていかねばならない。その時に病気やケガの猫に出会うこともあるが、今回出会ったのは、頭から何やら異様なものを被っていた猫だった。何かの蓋みたいだったのでフウタと名付けた。 

S__96886797フウタはこのコラムにもよく登場する餌やりのイチゴさんの餌場である猫道の裏通りに現れた猫だった。イチゴさんは毎日決まった時間に猫道に餌やりに通ってくれているが、いつもの餌場の一本裏通りにも猫が溜まっているのを見て、そこにも餌をやってくれていた。イチゴさんの現場は、私がすべての猫に避妊去勢手術をし、イチゴさんが餌やりの後の片付けもきちんとやっている人だ。行政も、野良猫駆除はしないし、殺処分しない方針で、地域で適切な餌やりを含む適切な管理を推奨している。イチゴさんもその方針に沿って餌やりをしているのだから、何もしない住民に文句を言われる筋合いなどないはずなのだが、自己中や猫嫌いにはそんな理屈は通じない。彼らは目の前から猫が消えてくれることを望んでおり、それができないのは餌やりのせいだと思っている。地球は人間だけのものではないし、猫がいなくなってネズミやゴキブリが大量発生したら、それでまた文句を言うであろう本当に自己中な生き物だ。概ね大きな邸宅に住むお金もちそうな人ほどその傾向が強いという印象を私は持っている。イチゴさんはその女から、その前の年の秋に、餌やりするな、猫をどこかへ連れていけと怒鳴られ(第85話)、すっかり萎縮し、その場所に近づけなくなってしまっていた。その結果、それまでそこで食べていたフウタもどこかへ散ってしまい、しばらく会えなくなってしまっていたのだった。

それがその9か月後、2016年8月にフウタが突然猫道に現れたのだ。よかった、生きていた!依然として首に何かの蓋を巻き付けたまま、間抜けな表情でこちらを見ていた。一体何が巻き付いているのだろう、固いもののように見える。まさかどんどんきつくなって首が締まったりしないか心配である。しかし、誰がどうやって何を被せたのだろうか?警戒心強い猫なので、人間は近づくこともできないはずだ。フウタは耳カット済みである。つまり一度捕獲器で捕まって去勢手術をされている。ということは捕獲器を覚えている。猫は馬鹿だと思っている人が多いが、実はかなり頭が良い子もいるし執念深い。幼少期に人間にいじめられると、ほとんどの子がその後どうやっても人間不信が治らない。うちにいる家庭内野良と言われる真央やミクもそうだ。5年近く愛情かけて育てても、未だに触らせてくれないのだから。

さて、フウタをどうやって捕まえたらよいのかも含め、この件をSNSにアップして、ベテラン猫ボラさんに相談してみた。するとある人が、首に巻き付いているのは、じょうろの蓋ではないかとアドバイスくれた。外猫はいつどこで水を飲めるかわからない。昔のように池があるような庭付きの一戸建ての住宅も減ってきている。暑い夏、水を求めてさまよい、水が入ったじょうろを見つけて、そこに首をつっこみ、そのまま蓋がはずれなくなってしまうことがよくあるのだと言う。

なるほど。じょうろの底深くにほんの少したまっていた水を飲もうとしたのだろう。可哀想に、よほど喉が渇いていたのだろう。間抜けだなんて言って申し訳なかった。 

newS__96886798

画像出典元:地域猫の作り方>野良猫と地域猫の研究>猫にジョウロのフタがはまる事故が増えてます

餌やりをしてくださってる方、どうか、お水の提供もお願いします。また戸建てにお住まいの方、餌やりをするのは勇気がいることでしょうが、せめて新鮮なお水をバケツに入れて置いておいてやって頂きたい。猫だけじゃなく、鳥も水飲みや、水浴びにやってくるという。炎天下喉がかわくとどんなに辛いか人間でもわかるはず。そして、水分が足りないと、腎臓病や膀胱炎、色々な病気になってしまうのだ。地球は人間だけのものではない。色んな種の生物が相互依存しながら生きさせてもらっているのだ。弱い生き物には是非とも慈悲の心を忘れないで頂きたい。

さて、首に巻き付いた物がわかったところで、この子をどう捕まえるかが次の問題だ。
捕獲器設置したものの全く無視。
SNSからのアドバイスで、捕獲網を貸してもらえることになったが、あれは部屋の中など、追い詰める場所がある場合にのみ有効であり、広い屋外では役に立たないことが多い。

まずはフウタに私と仲良くしてもらい、信頼してもらい、近づいてきてもらわないとなあ。とりあえずは、私がしばらく餌場に御馳走の出前をもって通うことにした。長期戦だなぁ。はぁー。続く。

コラムニスト:Candy (キャンディ)
ネコジルシ:保護猫日記

■関連記事
犬や猫の去勢・避妊手術(ペットタウンの保険編集部)
第134話 蓋を被ったフウタの間抜けな話 その2(Candy)
ペット保険を探そう!
  • Facebookでシェア
  • Twitterでシェア
  • Google+でシェア
  • LINEで送る
  • このエントリーをはてなブックマークに追加