コラム

第131話 幸運なシンデレラボーイひかる不運との闘い⑥ 里親さんの覚悟

このコラムは、私が里親として迎えた龍馬(第1話から第3話)を脱走させてしまい、地獄の捜索体験(第5話から第22話)をした際に、野良猫の不妊去勢手術にかかわったことや、可哀想な猫を沢山見てしまったことがきっかけで始めることになった猫救済ボランティアの体験記である。これまでの記録はこちら→(第23話から第130話)。

時は2016年11月。6月に保護しすぐに素晴らしい里親さんに出会え、まさに幸運なシンデレラボーイの道をまっしぐらと思われたひかる(第126話から)。ところが、11月に里親さんが気軽に受診させてくださった健康診断にて、白血病陽性というまさかの診断が出てしまったのだった。エイズ白血病ウイルスにも潜伏期間があり、たまたまひかるは不幸にして保護する直前に白血病に感染、保護してすぐの検査では潜伏期間だったために陰性と出てしまい、陽性であったことを知らずに譲渡してしまったとのだった(第127話から第130話)。
 
陽性になってしまったひかるの治療をどうするのかということの他に、2匹目として既に譲渡していた礼への感染、その他ひかると接触した他の猫への感染など、余波は大きく、考えるべきことは沢山あり、私の頭の中は爆発寸前でパニックしていた。さぞかし里親さんも混乱しておられるかと思いきや、里親さんから届いた最初のメールに書かれていたことは、「礼(のちにリリと改名)を返さなければなりませんか?」と言うものだった。

正直、陽性と判明したひかるも、ひかるから隔離する必要がある礼も返されても仕方ないだろうとの覚悟をきめつつあった私はびっくりだった。有難さに感動しながら、「もちろん礼も既に私の猫ではないし、里親さんがそのまま飼ってくださるならばこの上なくありがたいです。」と返事した。さすがは初めて譲渡会場で会って以来、私が惚れ込んで是非にと思った里親さんだ。

ひかるについては、確かに契約上は、何があっても終生飼育となっているが、今回は白血病陰性とのお墨付きで譲渡しているのだ。間違った情報によって譲渡を決断されたのならば、返されても仕方ないかなと私は思ったが、里親さんは、ひかるを返すなどとの選択肢は一切なく、自分の猫としてこの不運に対峙しようとしてくださっている。礼については、里親さんには全く何も責任はないところで、白血病感染リスクのある環境となってしまったのだが、礼の安全と幸せを考えて、一応私に返還義務があるのかどうか聞いてくださったのだ。

私にしてみれば、万一、ひかるでも礼でも戻したいと言われたら、拒否はできないと思ってはいたものの、隔離部屋もないし、万一発症したとしても留守が多いので、十分なケアもしてやれない。最悪は病院への入院や、ケージ飼いになってしまい可哀想だ、困ったなとぼんやり想像していたので、私の心は有難さと申し訳なさで一杯になりながら、里親さんと電話で話すことにした。

電話口の里親さんは、すでに事実判明から時間が経過していたせいか落ち着いておられた。片や私は、まだその日に知らせを受け、慌ててあちこちに相談して入った情報が、全て厳しく悲しいものばかりだったのでまだ大パニック中だった。
とにかく譲渡主として何かしてあげなければという焦りが先に立って、私が入手した情報をお話したが、今考えたら、そんなことは里親さんとてとっくに調べてご存じのことばかりだったであろうし、しかも、情報整理する間もなく、全部話してしまい、かなり辛い話ばかり聞かせてしまったような気がする。今考えたら、本当に申し訳なかったと思う。それから数年経過した今ならば、当時は知らなかったような奇跡もありうることを知ったので、もっと明るい希望をもてるような話できただろうに。

まだひかるは陽性と判明しただけで、発症したわけではない。発症させないような治療法やサプリなどできることはある、という話をした記憶がある。次回病院に行くときは、私も同行して一緒に話を聞こうと申し入れたが、里親さんご夫婦だけで行きたいとのことだった。確かにそうだ、譲渡主と言えども新米で、白血病について経験もなければ知識もない私が、まだパニックした状態のまま付き添っても何の役にも立たない。家族の病気の問題として家族だけで考えてもらうのが良いだろうと私も思った。

そこから先、私と里親さんとの話の中心は、いかに2匹目の礼を隔離するかであった。
礼はこれから話すが、紆余曲折あって人馴れできていない状態で迎えてもらっていた。このお宅に来る前の預りさん宅で一人ぼっちで一部屋に閉じ込められていた反動で、他の猫との触れ合いに飢えていたようで、ひかるを一目見た時からひかるのストーカーが始まっていた。困惑するひかる、それを里親さんが苦労してとりなして、やっと二人と2匹の落ち着いた家族になったところでのひかるの白血病陽性判明。礼が感染しているかどうか検査するためには、また例の潜伏期間を経過しないといけない。その期間は陽性のひかるから1カ月は隔離し、ひかるの影響を排除してから検査せねばならない。ひかる大好きな礼は、引き離すとパニックし、ケージに入れると暴れるし、また最初に戻って夜鳴きをしたり、お布団で粗相をしたりを繰り返すようになった。里親さんもさすがに参って、礼の隔離ができない、誰かしばらく礼を預かってくれる人はいないかと、何度か相談があった。もちろん私も預かり先を必死で探したものの、白血病感染可能性がある子となると、申し訳ないながら見つけることはできなかった。

里親さんのご主人は猫飼い初めて。譲渡を受けるということにも若干不安をお持ちだったのに、譲渡会でひかるに一目ぼれしてひかるを強力に奥様に推挙してくださったのはご主人。ひかるを溺愛されていたご主人の気持ちになると、ひかるが白血病の問題のみならず、引き離されてパニックして、余計ひかるを追いかけ回す礼の姿、困惑して逃げ回るひかる。よく耐えてくださった。そして、猫達の面倒を見ながら、ご主人のサポートもしてくださった奥様のお陰もあり、何とか礼を預けずに1カ月経過し、礼の白血病検査へ。結果は陰性。よかったぁ!あんなにひかると濃厚は接触をしても礼には感染していなかった。これで礼は白血病ワクチンを接種して、大好きなひかるお兄ちゃんと一緒にいられる。もちろん医学的なことを考えたら、2匹を隔離する方が望ましいが、礼にとっては大好きなひかると離れたら生きていけない。何かあっても里親さんが、2匹を最期まで看る覚悟を決めてくださっているのだ。運命共同体で仲良く生きていってほしい。やっと大きな心配の中の小さな安心ができた瞬間だった。

しかし、私のすべきことがこれで終わりではなかった。ひかると接触した猫達の隔離、検査、そして潜伏期間を知らない人達への情報共有などやる事山積だった。

コラムニスト:Candy (キャンディ)
ネコジルシ:保護猫日記
猫の里親募集:
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