コラム

第130話 幸運なシンデレラボーイひかる不運との闘い⑤ 白血病陽性の余波

このコラムは、私が里親として迎えた龍馬(第1話から第3話)を脱走させてしまい、地獄の捜索体験(第5話から第22話)をした際に、野良猫の不妊去勢手術にかかわったことや、可哀想な猫を沢山見てしまったことがきっかけで始めることになった猫救済ボランティアの体験記である。これまでの記録はこちら→(第23話から第129話)。一人でも多くの方に不幸な猫達の実情を知ってもらう為に書き続けている。

時は2016年11月。6月に保護し1カ月以内に家猫に昇格したひかる。ひかるは3歳位になっていたのに保護され(第126話)、子猫まつりと言われた7月の里親会ですばらしい里親さんに巡り合うと言う幸運中の幸運、まさにシンデレラボーイそのものだった(第127話第128話第129話)。その後紆余曲折を経て、この里親さんにもう1匹礼ちゃんというメスの子猫を迎えてもらい、4人家族の幸せな構図が出来上がり、穏やかな日々が継続していくはずだった…。それが、11月頃里親さんが気軽にひかるの健診を受けさせてくださった結果、まさかまさか白血病陽性という誰も予想していなかった不運が!勿論譲渡前にエイズ白血病検査を含む必要な医療ケアはすべて行い陰性であったのにだ。

その知らせを受けて私は何かの間違いとしか思えず、メールではらちがあかないので、里親さんに「そんな馬鹿な!あとでお電話します」とパニックしながら返事(第129話)。

猫の白血病に接した経験が全くなかった私は全く知識なく、怖いものということ、子猫の場合は陽性でも陰転(陰性に転ずること第123話)があることを漠然と知っているくらいだった。どんな病気なのか、どんな症状なのか、どのくらい生きられるのか、感染力はどのくらいなのか、里親さんと話が出来るほどの知識なく、本来なら私は譲渡主としてひかるや礼が幸せに生涯を終えられるように、里親さんと連絡を取りながらサポートしていく義務があるのに、当時の私はこんな危機にあっても何の役にも立たない。帰宅して里親さんと電話で話せるまでににわか知識をつけなければと焦りながら、私がすべきことは、えーっとえーっと、とすべきことを考えようとしたが、パニックして何もまとまらない。 
まずは、何はさておいても、ひかるを保護した時に預かってくれ最初の検査をしてくれた獣医の先生に相談。何かの間違いであることを祈るような気持ちであった。 

先生によると、エイズ白血病ウイルスには潜伏期間があり、保護してすぐに検査したら正確な検査結果は出ない。だからひかるが実は陽性だったということはありえる。本来は、潜伏期間の1カ月を経過してからの検査が望ましいとのことだった。詳しいことは第122話から第124話に。

私はそれを知らなかった。その瞬間、ひかるの白血病陽性は間違いではなかったんだと理解し、同時に沢山の思いが頭の中をぐるぐる回り、何から処理してよいかわからなくなった。 
まずは、間違いではなかった、やはりひかるは陽性だった、という落胆の気持ち、一度目の検査は何だったのかという疑問の気持ち、また、そんな話聞いたことがない、という困惑の気持ち、それは譲渡する上で常識だったのか?としたら新米がゆえに知らなかった私は譲渡する資格などない、知らずに譲渡してしまい、何という無責任なことをしてしまったのだろう、という懺悔の気持ち、しかし、一度も聞いたことがないのはどうしてなのか?他の保護主はどうしているのだろう?沢山保護猫を抱えている人が、すべての猫を1カ月隔離するのは不可能なはずだ。未検査のまま他の猫と接触させるわけはない。2回検査をしていると言うことか?しかしそんな話は聞いたことないという疑問。

そういえば私だって里親だ、うちに来た龍馬はどうだったのだろう?2回検査しているなどと譲渡主のSさん(第1話)から聞いた記憶はない。龍馬が脱走し見つけた直後に検査をして陰性だった。その時の獣医さんも、潜伏期間のこと、その検査が正確ではない何も言わなかった、なぜだ?これまで保護猫のエイズ白血病検査を色々な病院で多数やってきたがどの病院でも何も言われなかった。それは何故だ?どんどん疑問が広がっていく。 

いやいや、そんな過去のことは後回しだ、まずはひかるがどうなるのか、どうしたら救えるのかを考える方が先だ。
あ、そうだ、2匹目に迎えてもらっている礼にも感染のリスクが!早急に隔離してもらわねば危険だ。いや、隔離してももう遅いかもしれない、いや、隔離ではすまない。引き取らねばならないか?いや、それも無理だ…。

あぁ、そういえば、礼を迎えてもらう直前に、色々あって(後日詳しく書くが)、礼の姉妹の愛ちゃんを迎えてもらうことになり、愛ちゃんはしばらくひかると同居していたことがあったなぁ、愛ちゃんはその後別の里親さんに迎えられたが、その人にも愛ちゃんの感染の可能性を知らせなきゃ。
あ、それに、うちにもひかるはいたんだ。当時うちにいた5匹、一緒にチュールを舐めさせてしまった。皆感染した可能性があるということか…。
そして、そして、それまでに保護して譲渡した猫達全て保護して直後に一回検査して陰性だったので 陰性として譲渡してしまった。その子達とて、ひかると同様実は陽性だったという可能性もあるのだ。皆さんに知らせなきゃ。
ということは、うちの5匹も一度しか検査していないならば、ひかるから感染しなくても、もともと陽性だったかもしれないという可能性もあるのだ。

ひかるの白血病陽性の知らせを受けて、こんなにもあちこちに影響があり考えねばならないこと、やらねばならないこと、知らせねばならない人が沢山出てきた。感染症というものはこんなにも余波があるのだ。自分の無知がこんなに大きな影響を及ぼしている事実を突きつけられ、色んな思いが一気に吹き上げて頭の中をぐるぐる回り、一体何をどこから手をつけてよいのか心も頭も爆発して破れそうだった。

落ちつけ、落ち着け、やるべきことを一つづ、優先順位を付けて考えねばならない。
まず、今はひかると里親さんを助けることが私の譲渡主としての役割だ。とにかく今は、頭の中を整理して、獣医さんとの電話ではひかるの話に集中することにした。

獣医さんとの話を整理すると、
1回目の検査は保護して数日後。そこで陰性と出たと言うことは感染してから1カ月以内、潜伏期間中であっただろ。3年も外で生きてきたのに、たまたま保護する27日前以内に感染してしまったということになる。なんたる不運。
その先生によると、インターフェロンを毎日打つという方法もあるが、白血病陽性の大人の猫は、たいてい感染から2年以内に発症し、発症したら間もなく亡くなってしまうとのことだった。何も知らなかった私は大いに落胆したし、里親さんと電話で何をどう話したらよいのか途方に暮れていた。
続く

【追記】
同じような状況の方がこのコラムを読んでいらっしゃり失望されるといけないので、先に結論を言っておく。
今の私はそれから数年経過、色々調べて例外も奇跡もあることを知り、希望を持っている。それから2年半以上経過した2019年3月現在、ひかるは発症せず元気そのもの!2匹目の礼もワクチンを打ちながら仲良く元気に生活している。これも全ては里親さんが自発的に検査をし、事実を早期に知り充分手を尽くして下さったからだ。まだ続きを書いていくが、全ての飼い主さん、里親希望者さん、保護主さんに教訓と参考にしていただき、出来るだけ早く2度目の検査をされることをお勧めする。

コラムニスト:Candy (キャンディ)
ネコジルシ:保護猫日記
猫の里親募集:
大田区のW字の髪型が可愛い11ヵ月 蓮くん

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