コラム

第12話 龍馬脱走事件 その8

里子に迎えた龍馬(第1話第2話)が脱走して6日が過ぎた。色々策を講じるも失敗や不運続き。(経緯は第5話第6話第7話第8話第9話第10話第11話)。
探偵を雇うも探偵社の社長の対応に不信を抱き断念(第11話)。

娘に経緯を話したところ、
「何考えてんの? 頭が良い龍馬が見ず知らずの探偵なんかにつかまるようなヘボするわけない。知らない匂いの人が近所をうろうろしたら余計出てこなくなるでしょ、ちょっと冷静になってよ!」と叱責される。

その夜7時半、迷い猫のチラシを見たという近所の人から電話。飛び上がって喜びそうになっている姿が先方から見えたのかと思うほど、開口一番釘をさされた。
「いや、保護しているわけじゃないから期待しないで聞いて下さい。」
話を聞く前からがっかりするも、チラシの効果第一号の目撃情報は嬉しい。
その人は「どうぞ、うちの中から見てください」と家に入れてくれ、前日の昼間にベランダから外の塀の上で緑の首輪をしている龍馬らしき猫が近所の野良猫とけん制し合って、最終的には龍馬が相手を威嚇して勝ち、裏通りの方へゆっくり歩いて行ったと教えてくれた。
臆病な龍馬が昼間に現れ、しかも野良猫に勝つとも想像できないのだが、この近隣に首輪した野良はいない。しかも緑の鈴付き首輪で、尻尾が長く顔も写真通りだと言う。

飼い主ながら、自分の猫のことがよくわからなくなった。この猫も多分龍馬だろう。先日飼い主である私の声を全く無視して藪の中へ走り去ったのも龍馬だと思う(第11話)。1階の住戸のベランダから部屋の中を覗いたのも龍馬だろう。でも本来は臆病で他人には姿を見せず、飼い主には甘えん坊なはず。一体どういう子なんだ、お前は。

龍馬の譲渡主のSさん(第1話)に相談する。近所にいることは確かなのだから、捕獲器をその人の自宅前を含む近隣に重点的に置き、聞き込みを強化するよう助言される。
Sさんが貸してくれた5台の捕獲器を自宅マンション敷地の飛び降りた現場、私が先日見かけたマンション内の庭の藪の中、それから近隣の捕獲器を置かせてくれるという住宅の庭に設置。
その5か所で早朝猫がかかっていないか確認し、捕獲器を回収、洗浄、消毒し、また夜にしかけにいく。

翌朝脱走7日目。早朝捕獲器を回収しながら犬の散歩の人に聞き込み調査。
すると前日夜10時頃、道路に座って悲しそうな声で鳴いていた猫を見たと。この辺の野良猫は皆強く、悲しそうな声では鳴くような野良はいない。とすると龍馬なのか。
夜見かけたと言う猫は朝にはその場にはいない。仕事も手につかないが休むわけにはいかない。
帰宅後、目撃したといわれた時間にその場所に行ってみるがいない。
チラシを配りながら別の目撃証言を得る。先週後半に似たような子を少し離れた通りで見かけた、と。別の場所では、首輪した猫が犬の散歩についてきた猫がいたとも。

時間が経てば目撃情報は増え目撃場所も広がり、うちの子ではない情報も増えてくる。しかし目撃したと言われたらその場まで行ってみなければ気が済まない。
どんどんしんどくなってくる。
Sさんも私が仕事に行っている間、うちに来て捜索、チラシ配り、捕獲器の設置など手伝ってはくれたが、何せ車で1時間かかるので毎日は来れない。別ルートでもっと近くの猫ボランティアXさんを紹介され手伝ってもらうことに。

Xさんの発想はSさんとは全く逆のものだった。捕獲器設置は龍馬の姿を見てからにせよ、餌付けをして毎日龍馬が来るとわかってからでないと、いくらでも野良猫が集まってきて大変なことになる、今の時代、内緒で餌をやっている人はいくらでもいるのだから、食いっぱぐれを心配する必要ないと。

Sさんの意見は、龍馬は絶対に姿を見せない、捕獲器でないと捕まらない、野良猫も捕まえて手術しないと龍馬は自宅近辺に戻って来れない、近所に撒いた餌もすぐに無くなっているので近隣に十分に餌があるとは思えない、おなかがすけば必ず捕獲器に入るから、捕獲器を外すのは反対だと。

私は混乱し獣医にも相談した。捕獲器というものは罠であり、そんなものを使う発想自体反対だと。そもそも沢山の野良猫を捕まえた捕獲器は他の猫の匂いがしみついているから入らないだろう、自分の匂いのする物や、一緒に飼っている猫の鳴き声が周辺に置いておけば帰ってくると。

また、先日契約破棄となった猫探偵社の社員が、置いてあった捕獲グッズを取りに来たので、その人にも相談。おかしな発想の社長とは喧嘩したが、社員の探偵は悪い人ではなさそうだった。探偵曰く、捕獲器を外して自分で帰って来れるようにした方が良い、大工を呼んで設置したスロープ(第9話)を上って帰ってくるだろうと。

Sさんは、龍馬はスロープで自分で上って帰るような子ではない、姿を見なくても捕獲器を置き続けないと絶対に捕まらないと主張。
しかし、毎日の捕獲器の設置がしんどくなっていた私は、捕獲器設置をしばらくやめる案を採用したくなっていた。捕獲器を外し、一旦自宅周辺に龍馬を引き戻し姿を見たいと思った。

またここで私は大きな間違いをした。人間は、体が疲れ栄養不足になると正しい判断ができなくなる様だ。
続く。

コラムニスト:Candy (キャンディ)
ネコジルシ:保護猫日記

■関連記事
第13話 龍馬脱走事件 その9(Candy)
ペット保険を探そう!
  • Facebookでシェア
  • Twitterでシェア
  • Google+でシェア
  • LINEで送る
  • このエントリーをはてなブックマークに追加