コラム

第127話 幸せから不運に見舞われたひかる その2 リリースの危機を乗り越えて

昔からの猫好きの私。2011年2月に里親として龍馬と凛子を迎えたものの(第1話第2話第3話)、その後に龍馬を脱走させてしまい、地獄の捜索体験(第5話から第22話)をした際に、野良猫の不妊去勢手術にかかわったことや、可哀想な猫を沢山見てしまったことがきっかけで、猫救済ボランティアを始めることになった。このコラムはその体験記を綴ったものである。これまでの記録はこちら→(第23話から第126話)。一人でも多くの方に不幸な猫達の実情を知ってもらい、多くの猫が救われることを願って書き続けている。

時は2016年6月。この近所では良く知られた猫のたまり場である通称猫道にてひかるに出会った(第126話)。3歳で普通のキジトラ。子猫の時期を過ぎた子はなかなか保護してもらえないのが実情だ。私も迷ったが、ひかるは外でも人恋しいらしく、通りすがりの人にもニャーニャー話しかける甘えん坊。虐待されては大変だと思い、意を決して保護し、いつもお世話になっている病院に預かりをお願いした。

127しかし、暫くして、意外にもひかるは警戒心マックスでずっとハンストしていると病院から聞く。外ではあんなに甘えん坊だったのにびっくりだった。外で人馴れしている子を家に入れたら、パニックしてその後全く捕まらない子になったという話は聞いたことがあった。ひかるは何が気に入らなかっただろう。
ケージが嫌だったのか、病院の匂いか、検査やワクチン注射が怖かったのか。それとも、人馴れしているから元飼い猫だと思いこんだことがそもそも違ったのか、お外がいいのか。
ボラ経験が少ない私には何か間違った判断をしたのだろうか。
少なくともご飯も食べられないほど警戒しているひかるは今不幸だよね。ごめんね、と悩むことに。

じゃあ、外に戻すのか?いやー、この辺りは猫治安が悪い。どんどん野良猫が理由不明で居なくなっている。全国ニュースに出るような虐待事件も近隣で起こったばかり。一度保護した猫を外に戻したことがない私にはなかなか出来ない決断だ。

だからと言って最悪うちに抱える覚悟をして保護継続するのか?いやー、それも怖い。うちには既に5匹もいて、そのうち2匹は人馴れに失敗した家庭内野良になっている。それ以上うちの猫を増やすわけにはいかないので、その後は確実にべた慣れで里親探しが可能な子のみ保護すると固く決めていたのだ。例外は作れない。

外に放すなら早い方が良い、長く室内にいたら元の餌場に戻れなくなることもある。それにそれ以上ハンストが長く続くと、栄養が取れず体調も崩す。今の警戒レベルでは治療できない。外に放すなら決断を急がなければ。

その時私は遠方の実家にいてすぐには面会に行けなかったが、リリースの方向で検討することに。丁度その当時、他にも保護していた骨肉腫の珠子、人馴れした美猫で絶対に里親募集してやらねばならないジュノンを抱えていたこともあり、ひかるが長く残ることになるのはどうしても無理に思えたのだ。

心重くじっとしていられず、その日のうちに東京に戻り、翌朝リリース(元の場所に放すこと)を覚悟で病院に迎えに行った。ひかるは恨めしそうに上目遣いで私を見た。その目を見ると、これから外に放すよとはとても言えそうになかった。先生からも「まだハンスト中ではあるけど、一口は食べるようになった」と。暫く預かった猫をリリースするのは先生にも辛いことのようだ。優しい先生なのだ。それを聞くと私も心がまた動く。

最終確認の意味で、ケージの中に恐る恐る手を入れてみる。先生からは脱走させないよう気を付けてと言われる。診察しようとすると目を光らせて脱走のチャンスをうかがうらしかった。いきなり捕まえられて知らない所に連れて来られ、診察、検査されたことがよほど怖かったのだろう。
私は毎日現場に通う餌やりではない。たまに様子を見に行く程度で、ひかるとも数回しか会っていない。私の手の匂いにどう反応してくるのか想像つかなかった。が、何と、ひかるは私の手にスリスリしてきて、か細い声でニャーと鳴いたのだ。先生も驚きだった。そして私の口から出た言葉は「いやーだー。」これでは決断などできやしない。涙が出てくる。
いっそ威嚇して噛みついてくれたら心置きなく外に戻す決断ができたのだろうに。

猫とは言えこの子の運命を決めるのはとても重い。外に戻すなら急がなきゃ。決断するつもりで来たのに、また私は決められなくなった。
判断を誤り、家猫になれる可能性のある猫を外に放してしまったら猫に申し訳ない。今ここで外に放したら、もう2度と捕まらない。外猫に戻れば過酷な日々が待っている。しかし、かといって、保護しても人馴れできなければ、里親募集は無理、うちでも家庭内野良になってしまう。またうちの猫が増えてしまうことになるのだ。

しかし、迷うということは、今、放せないということなのだ。先生に「やはり今日はリリース決められません(涙)。」と伝えて、家猫になる可能性が本当にないのかの見極めをもう一段やってみようと思った。つまり、ひかるがこんなに豹変したのは病院が苦手だったからだという可能性を否定できていない。もしかしてうちに連れてくれば、今まで通りの甘えん坊のひかるになれるのかもしれない。先生とも相談し、うちに数日だけ連れて帰ってみることに。あともう少しならば保護を継続しても、最終的に外に放せなくもないとのことだったので。

丁度翌日は長時間外出の予定だったので、もう一晩だけ病院で預かってもらい、翌日の夜に迎えに来ることに。そしてその翌日、迎えに来るつもりでいたら、病院から電話あり。「ひかるがご飯を完食し、診察もスムーズにできた。これならこのまま病院で預かって、ゆっくり里親探しができる。」と。何と言うことだ、一体何だったのだろう。ひかるは私のことを覚えていて、私を見て安心したのか?いや、そんな力が私にあるとは思えない。訳わからないがとにかく良かった。仕方なくでもリリースしていたら、きっと私は毎日うなされそうな気がしていたのだ。

かくしてひかるは幸せ目指して家猫への道を歩むことになった。猫様は本当に不可解で奥が深い。
続く。

コラムニスト:Candy (キャンディ)
ネコジルシ:保護猫日記
猫の里親募集:
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